■業績動向



1. 2022年3月期の業績概要

フェイスネットワーク<3489>の2022年3月期の業績は、売上高が前期比9.3%減の17,020百万円、営業利益が同64.6%増の1,759百万円、経常利益が同68.9%増の1,511百万円、当期純利益が同76.8%増の1,034百万円となった。マーケット環境においては、コロナ禍で住居用不動産の安定性が再評価されている。不動産投資に係る余剰資金が東京を中心とした優良な不動産商品への投資需要に向かい、業績は好調に推移した。期中に期初予想を上回る利益の確保が見込めたため、販売予定時期の見直しを行った。2023年3月期業績の安定化を優先し、営業活動をコントロールしたことにより前期比減収となるも、販売状況に特段の懸念はない。販管費では、積極的な人材採用により人件費が増加した一方で、自社顧客取引の増加により仲介手数料が抑制された。また、営業力強化・DX推進により効率的な用地仕入を推進することで利益率が改善したほか、施工能力の強化や販管費の適正なコントロールを実施した。これらの結果、営業利益は3期連続の増益となり、営業利益・経常利益・当期純利益のすべてにおいて過去最高を更新した。



セグメント別の業績は以下のとおりである。



(1) 不動産投資支援事業

不動産投資支援事業の売上高は前期比9.7%減の16,387百万円、営業利益は同74.0%増の1,688百万円となった。需要が堅調に推移したことにより、不動産商品11件(前期は27件)、建築商品24件(同16件)を販売したほか、大型物件の開発も推進した。



(2) 不動産マネジメント事業

不動産マネジメント事業の売上高は前期比1.9%増の633百万円、営業利益は同27.7%減の71百万円となった。2022年3月末時点の管理運営受託戸数は同1.2%増の1,824戸(157棟)と順調に増加したものの、販売物件の在庫保有期間短期化によって賃料収入が減少し、減益となった。2021年3月期以前は、コロナ禍による実質的な営業活動停止期間の影響や、不動産投資に関わる金融機関の不正融資などの影響を受け、在庫保有期間が長期化する傾向にあったが、2022年3月期は販売が進み、在庫保有期間も適正となっている。管理戸数は販売物件数に相関して伸長するものであり、不動産マネジメント事業の営業利益については、2022年3月期の水準で下げ止まるものと弊社では見ている。



2. 財務状況

2022年3月期末の資産合計は、前期末比4,193百万円増の16,826百万円となった。現金及び預金が1,547百万円、仕掛販売用不動産が4,525百万円、完成工事未収入金が156百万円増加した一方で、販売用不動産が1,512百万円、出資金が502百万円減少した。仕掛販売用不動産の増加は開発用地の仕入によるものであり、営業力強化とDX推進の効果により効率的な用地仕入が推進されている。出資金の減少は2021年3月期に完売した不動産小口化商品に係るものであり、出資持分の売却によって減少した。負債合計は同3,343百万円増の11,325百万円となった。長期借入金が2,667百万円、1年内返済予定の長期借入金が439百万円、工事未払金が360百万円増加した一方で、前受金が540百万円減少した。純資産合計は同850百万円増の5,501百万円となった。当期純利益の獲得等により利益剰余金が875百万円増加した。これらの結果、自己資本比率は32.7%(前期末は36.8%)となった。



なお、借入金のうち短期借入金434百万円は、建築資金やクラウドファンディングによる調達資金である。建築資金は短期借入を中心に物件に紐づけた形で調達している。また、1年内返済予定の長期借入金1,399百万円及び長期借入金7,088百万円は、設備資金及び運転資金が約3,000百万円、その他は用地仕入に係るものである。運転資金はおおむね5〜10年、用地仕入はおおむね2年程度の長期借入にて調達している。建築資金や用地仕入に係る借入れは、いずれも物件の売却とともに都度返済が行われており、健全な資金調達と運用が行われている。不動産デベロッパーの場合は過大な有利子負債がリスク要因となるが、同社の場合は自己資本比率30%台を維持しており、有利子負債の運用は仕入状況に合わせて機動的に修正を行っている。



2022年3月期の営業キャッシュ・フローは1,904百万円の支出となったが、2023年3月期業績の安定化を優先した販売時期の見直し、開発用地の仕入先行によるものである。2021年3月期はコロナ禍による先行き不透明な状況を勘案し、保有物件の売却による資金化を優先しており、2022年3月期の営業キャッシュ・フローとの乖離要因の1つとなっている。足元の市況動向は旺盛であり、売上の源泉となる開発用地取得も順調に推移していることから、財務面での大きな懸念材料は見当たらないと弊社では見ている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)