■成長戦略



フェイスネットワーク<3489>は2021年12月15日に、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた中期経営計画の更新を発表した。前回の中期経営計画策定時からの外部環境・内部環境の変化を織り込み、より実効性の高い経営計画とするため、計画期間を1年延長し、「NEXT VISION 2025」に更新した。計画の基本方針では、「既存事業の安定的な成長による事業基盤の強化」「コーポレート・ガバナンスの強化とIRの積極的な取り組み」「DX推進により業務効率化を図り、強固な経営基盤を構築」「持続可能な社会の実現に貢献する取り組みの推進」を掲げている。また、数値計画としては、最終年度である2025年3月期に売上高28,000百万円、営業利益2,500百万円、経常利益2,100百万円、当期純利益1,400百万円を掲げている。



1. 基本方針

同社は基本方針として、(1) 既存事業の安定した成長による事業基盤の強化、(2) コーポレート・ガバナンスの強化とIRの積極的な取り組み、(3) DX推進により業務効率化を図り、強固な経営基盤を構築、(4) 持続可能な社会の実現に貢献する取り組みの推進、を掲げている。



(1) 既存事業の安定した成長による事業基盤の強化

多様化する顧客ニーズに対応した物件開発をスピード感を持って推進するために、人材採用強化や営業領域拡大による仕入機能の強化、不動産小口化商品や私募ファンド組成による商品展開の拡充、10億円以上の大型物件の強化、第三者評価機関の活用やセキュリティ面の強化などによる物件価値向上、組織改編・人材育成・DX推進による業務管理体制強化などに注力する。



(2) コーポレート・ガバナンスの強化とIRの積極的な取り組み

コーポレート・ガバナンスを強化し、改定コーポレートガバナンス・コードへの対応を推進する。2021年6月の監査等委員会設置会社への移行後、監査等委員会の月2回の実施や幹部社員へのヒアリング実施による状況把握等、社外取締役の活動を強化している。また、これまで以上にIRの積極的な取り組みを進める方針だ。具体的には、「情報発信ツールの活用による各種投資家への情報発信の強化」「コミュニケーションツールのオンライン化の推進、個人投資家向け説明会の継続開催等、各種投資家とのコミュニケーション強化」「IR・PRイベントの拡大による企業認知の拡大」などの施策を行っていく。



(3) DX推進により業務効率化を図り、強固な経営基盤を構築

将来的なビジネスモデル変革と事業領域拡大への布石として、部門横断型のDX担当チームを設置し、全社で網羅的にDXを推進する。グループ全体の最適化に向け段階的に進化し、システム投資による業務プロセスの変革、グループ全体最適による生産性向上、既存事業の変革に取り組む方針だ。



(4) 持続可能な社会の実現に貢献する取り組みの推進

同社は、従来から建築資材再利用を目的としたバザーの開催、自社開発物件における保育園の誘致や屋上・壁面緑化など、社会・地域・環境への貢献に向けた様々な活動を行ってきた。2021年3月には、継続的な取り組みを実践するとともに、地域社会との協業による価値創造の推進を目指し、SDGs推進室を設置したほか、2022年4月にはサステナビリティ委員会を設置した。このうち、SDGs推進室では会社全体の意識向上を目的として、ボトムアップとして社内でできる取り組みを推進していく。これに対し、サステナビリティ委員会はSDGs推進室の上位に位置し、全体をけん引しながらSDGs推進室に働きかけていく。事業全体に関わる施策や取り組みを検討し、会社の意思決定に関わるところでサステナビリティを推進していく。具体的には、「環境に配慮した持続可能な物件開発の推進」「社員の多様性を活かした働きがいを創出する制度設計、女性活躍推進」「プライム市場上場企業として適切なコーポレート・ガバナンス体制の整備」を推し進めていく。事業におけるSDGs推進の強化のみならず、部門ごとの連携を強化し全役職員の行動変容を促す方針である。



2. 上場維持基準適合に向けた取り組み

同社は、東証プライム市場の上場維持基準適合に向け、企業価値の向上による「時価総額の向上」により、「流通時価総額」基準達成を目指すことを基本方針としている。基準達成に向けては、売上・利益の持続的な成長と企業価値の向上とともに、株式市場で適正な評価を得ることが課題と捉えており、中期経営計画に基づき課題解決に向けた取り組みを推進していく。具体的な施策としては、「中期経営計画の推進による業績の安定的な成長」「コーポレート・ガバナンスの強化とIRの積極的な取り組み」「積極的な株主還元策の取り組み」「ROICをKPIとした効率化経営の推進」を挙げている。これらの取り組みを着実に実行することにより、2027年3月期末におけるプライム市場の上場維持基準適合を目指す。



3. 弊社の注目点

外部要因によって世界的に経済活動の不透明感が強いものの、日本の不動産投資市場、なかでも安定した収益が見込める東京のレジデンスに対する注目度は高く、賃貸用不動産への投資需要は引き続き増加基調が予想されている。また同社がメインターゲットとする城南3区は立地面で安定的な収益が見込まれるエリアである。事業環境はおおむね良好であり、当該エリアでの競合優位性もあることに加え、新たな収益柱の育成に向けて新規領域への展開にも積極的であることから、中期成長性を評価できると弊社では見ている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)