■中長期の成長戦略



1. 中期経営計画の概要

フェローテックホールディングス<6890>では、2021年春に中期経営計画(2022年3月期〜2024年3月期)を発表した。しかし足元の業績が絶好調であることから、この計画の目標を前倒しで達成した。このため、同社は基本方針は変えていないが、中期経営計画の目標値を大幅に上方修正した。



成長を追求していく基本方針は変わらないが、「事業成長」「財務強化」「品質強化」「人材強化」

の4つの項目については施策を強めていく。



a) 事業成長:成長の徹底追求をさらに加速、投資計画を1,800億円(+850億円)へ

顧客から生産能力の増強を求められていたことから、新設した常山・東台工場をフル稼働する。

主要事業の同社シェア・ポジジョンを向上させる。

将来的な子会社IPO機会等も背景に、財務体力のさらなる向上を目指す。

各事業の研究・開発機能を拡充、グローバル生産体制(マレーシア・日本)も強化する。



b) 財務強化:財務基盤の強化が進展、中国子会社IPOによる資本調達を見込む

投資機会と財務状況の適切なバランスを確保し、外部資本の活用を適切に検討する。

当期純利益を重視、投資リターン・ROIC管理の強化を継続する。



c) 品質強化:品質管理の強化及び、デジタル化・自動化・AI活用・見える化を加速させる

「品質は命」と考え、品質管理の強化を継続する。

生産規模拡大と並行して、生産のデジタル化・自動化投資を加速させる。



d) 人材強化:事業の拡大に見合う、組織・人材の強化を加速させる

企業規模が拡大しているため、さらなる成長へ技術・事業・管理や技能工の人材強化を加速させる。

中国本部設立の決定に伴い、中国における組織・人材の強化を推進する。



2. 定量的目標(KPI)

(1) 業績目標

当初の業績目標は、最終年度である2024年3月期に売上高1,500億円、営業利益250億円であったが、売上高2,300億円、営業利益400億円、営業利益率17.4%、親会社株主に帰属する当期純利益210億円へ修正された。さらに新たに3年後の目標として、2025年3月期に売上高2,900億円、営業利益520億円、営業利益率17.9%、親会社株主に帰属する当期純利益270億円を掲げた。



(2) 資本効率目標と配当方針

資本効率の目標値(2024年3月期までにROE15%、ROIC8%、自己資本比率40%以上)は旧計画と変わっていないものの、同社は今回の中期経営計画の修正において、新たに配当方針を発表した。これによれば、2023年3月期の年間配当は70円(予想配当性向18.4%)が予定されている。同社は「2024年3月期における配当金については、配当性向20%水準を目安とする」と述べている。同社が配当性向(株主還元)に言及するのはここ数年なかったことであり、今後の株主還元策が注目される。



(3) 長期業績目標

また同社では、好調な業績推移に伴い、長期業績目標を「2031年3月期に売上高5,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益500億円の達成を目指す」に更新した。従来の長期業績目標は2031年3月期に売上高3,000億円であったが、そこから2,000億円増とした。



3. カテゴリー別目標売上高

各カテゴリー別の2024年3月期の目標売上高は、半導体マテリアルが76,493百万円(2022年3月期比48.3%増)、半導体サービスが17,269百万円(同75.7%増)、半導体金属・装置が41,008百万円(同97.9%増)、電子デバイスが51,164百万円(同89.3%増)、その他が15,436百万円(同37.4%減)、新規事業が28,630百万円となっている。新規事業は、新拠点事業、M&A候補事業など、現時点でカテゴリー分けができない事業を集計したものとなっている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)