■業績動向



1. 2022年3月期業績は実質的に良好な内容

テリロジー<3356>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.1%増の5,223百万円、営業利益が同18.3%減の441百万円となった。また、営業利益率は8.5%と前期比3.0ポイント低下、期中受注高が6,058百万円と前期比11.1%増、期末受注残高は前期末比79.1%増の1,890百万円へと積み上がった。



2022年3月期から収益認識会計基準等を適用したことによる収益押し下げ影響は、売上高が516百万円減、営業利益が139百万円減であった。こうしたなかで、営業利益については従来予想(期初予想170百万円→上期決算発表時予想250百万円)から大きく上振れて着地しており、実質的には順調な業容拡大を示す決算内容であったと考える。



営業利益率の低下が目立つわけだが、2021年3月期が出来過ぎの感があったところに、収益認識会計基準等の適用やIGLOOO及びクレシードの新規連結にかかる影響が重なったためであり、オーガニックベースで見れば特に問題視する必要はない。



2022年3月期における事業部門別売上高は、ネットワーク部門の売上高が前期比13.4%減、セキュリティ部門が同6.0%増、モニタリング部門が同25.6%減、ソリューションサービス部門が同82.7%増であった。



ネットワーク部門の減収は、2021年3月期下期のハードルが高かったことに収益認識会計基準等の適用というテクニカルな要因が重なったことによる。買い替え期を迎えた米国Infoblox製のDHCP/DNSアプライアンス(IPアドレス管理サーバー「Infoblox」)製品と2021年3月期から販売を開始した「Radware」製品の受注は堅調に推移し、セキュアなクラウド型無線LAN「Extreme Networks」製品の受注活動は概ね予定通りとなった。



セキュリティ部門については、東京オリンピック・パラリンピックの開催やコロナ禍における社会生活や経済活動でのインターネット依存度の高まりを受けてサイバー攻撃の脅威が増大するなかで順調に推移した。具体的には、1)OT/IoTの普及で喚起された電力系などの重要インフラや工場及びビル管理といった産業制御システムにおけるセキュリティ対策需要に対応する「Nozomi Networks」製品、2)日々高度化・複雑化するサイバー攻撃や不正アクセスといった脅威に対抗するネットワーク不正侵入防御セキュリティや標的型攻撃対策クラウドサービス、3)サイバー犯罪・テロ等に関する情報を収集・分析する「KELA」CTIサービスや、サプライチェーンのリスクを可視化するサイバーリスク自動評価サービス「BitSight」、などが好調であった。また、SNSをAIで分析し犯罪グループ間の隠れた関係や裏アカウントなどを特定するサービスが官公庁からの受注を獲得したほか、次の大きなテーマとして取り組んでいるソフトウェアサプライチェーンリスクのサービスも大手通信事業者への導入を実現している。



モニタリング部門は、電力系インターネットサービスプロバイダや国内金融機関からパケットキャプチャ製品「momentum」の受注を獲得したものの、「momentum」の新モデルへの切り替えに伴う販売体制の立ち上げに時間を要したことで減収となった。運用監視クラウドサービス「CloudTriage」は既存主要顧客向けを軸に据えた需要掘り起こし活動に注力しており、同部門の下期売上高は上期に比べ増加している。「momentum」と「CloudTriage」は高い採算性が期待できる自社製品/サービスであるだけに、今後の行方に注目しておきたい。



ソリューションサービス部門の大幅増収はクレシードの新規連結によるところが大きいわけだが、オーガニックベースでも2桁増収を実現した模様である。コロナ禍が続くなかで、1)同部門の既存主力プロダクトである「みえる通訳」(手話を含む多言語リアルタイム映像通訳サービス)への評価が高まり、在留外国人や聴覚障害者とのコミュニケーション手段としてワクチン接種会場等での需要が拡大した、2)「Web会議サービス」が当たり前となりつつあるなかで、従来のライセンス及びウェビナー契約に加えて映像・音響機器等の付帯商材の需要も拡大、「かんたん接続クラウドマネージドVPNサービス」がその簡便性と値頃感によりクラウドPBXや理美容サロンをはじめとする小売流通や中堅企業等からの引合いを集めたことなどがオーガニック成長に貢献した。なお、自社開発のRPAツール「EzAvater」は販売代理店網の拡大とブランドの知名度向上のマーケティング活動に注力しており、IGLOOOとクレシードの受注活動は想定線で推移している。



2022年3月期の売上原価率は60.5%と前期比1.9ポイントの上昇、販管費率は31.0%と同1.1ポイントの上昇となった。いずれも、収益認識会計基準等の適用や先行投資局面にあるIGLOOO及びクレシードの新規連結が直接的な要因として指摘できる。



結果、2022年3月期の営業利益率は8.5%と2021年 3月期の11.5%から3.0ポイントの低下となった。ただ弊社では、利益率が低いハードウェア販売を伴う同社のビジネスモデルを勘案すると現時点における同社の実力値を営業利益率7%程度と考えており、2021年3月期の利益率水準は出来過ぎ、2022年3月期は良好な水準との印象を持っている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)