■高千穂交易<2676>の業績動向



1. 2022年3月期の業績概要

(1) 損益状況

2022年3月期は、売上高20,784百万円(前期比0.9%増)、営業利益1,024百万円(同15.6%増)、経常利益1,247百万円(同34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益878百万円(同60.2%増)となった。リテールソリューションやオフィスソリューションが前期の反動などから減収となり、システム事業は5.3%減収となった。デバイス事業は、電子、産機ともに好調に推移したことから11.0%の増収となった。



売上総利益率は前期の23.9%から24.5%へ上昇したが、比較的利益率の高い「サービス&サポート」の売上比率が上がったことや、高収益事業への集中が進んだことなどによる。加えて販管費の抑制に努めたことから、営業利益は前期比で15.6%増となった。営業外収益として外貨建債権の為替評価益191百万円を計上したことから経常利益の伸び率は営業利益を上回った。さらに親会社株主に帰属する当期純利益は前期比60.2%増となり、上場以来最大を記録した。



(2) 財務状況

2022年3月期末の財務状況は、流動資産は17,390百万円(前期末比873百万円増)となった。主要科目では現金及び預金708百万円増、売掛金が19億48百万円減、契約資産が13億11百万円増、たな卸資産675百万円増であった。固定資産は3,203百万円(同246百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が539百万円(同38百万円減)、無形固定資産299百万円(同38百万円減)、投資その他の資産2,364百万円(同322百万円増)となった。有形固定資産と無形固定資産の減少は償却によるもので、投資その他の資産の増加は主に投資有価証券の取得によるものである。以上のような結果から、資産合計は20,593百万円(同1,119百万円増)となった。



流動負債は4,807百万円(同259百万円増)となったが、主な変動は支払手形及び買掛金の増加144百万円などであった。固定負債は前期末と変動がなく751百万円であった。純資産は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加655百万円などから15,034百万円(同859百万円増)となった。期末で1,238,578株の自己株式を所有している。なお、長年無借金経営を続けており、自己資本比率は14年連続で70%超を維持している。財務基盤は安定していると言えるだろう。



(3) キャッシュ・フローの状況

2022年3月期のキャッシュ・フローは以下のようであった。営業活動によるキャッシュ・フローは1,184百万円の収入となった。主な収入は税金等調整前当期純利益の計上1,243百万円、減価償却費182百万円、売上債権(電子記録含む)の減少656百万円、仕入債務の増加70百万円等であった。一方で主な支出は、棚卸資産の増加659百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは393百万円の支出となったが、主に有形固定資産の取得による支出56百万円、無形固定資産の取得による支出84百万円、投資有価証券の取得による支出250百万円などである。財務活動によるキャッシュ・フローは189百万円の支出となったが、主に配当金の支払いによる支出223百万円、自己株式の処分による収入113百万円などによる。この結果、期中の現金及び現金同等物は708百万円増加し、期末残高は5,608百万円となった。



2. 2022年3月期のセグメント別状況

セグメント及びサブセグメント別の状況は以下のようであった。



(1) システム事業

システム事業の売上高は12,011百万円(前期比5.3%減)、営業利益は529百万円(同13.1%減)と減収・減益となった。各サブセグメントの状況は以下のようであった。



a) リテールソリューション

売上高は3,721百万円(同15.6%減)となった。CCTVや顔認証システムの大型案件などが堅調であったものの、前期に計上した携帯キャリア向け大型案件の反動により、減収となった。



b) オフィスソリューション

データセンター向け入退室管理システムが堅調であったものの、前期にコロナ禍の影響により好調だったリモートアクセス商品の販売が減少したことなどにより、売上高は3,246百万円(同9.8%減)となった。



c) グローバル

グローバル商品類は、前期に大きく減速したタイの高度防火システムの売上が堅調に推移し、売上高は前期比6.8%増の2,926百万円となった。



d) サービス&サポート

サービス&サポート商品類は、MSPサービスが好調に推移し、売上高は前期比9.0%増の2,115百万円となった。



(2) デバイス事業

デバイス事業の売上高は8,773百万円(同11.0%増)、営業利益は494百万円(同78.6%増)となった。電子、産機ともに増収であった。



a) 電子

電子では、5G基地局向けやテレワーク需要増加による家庭用プリンター向け、半導体製造装置向けなどの電子部品の販売が好調に推移し、売上高は前期比12.2%増の4,452百万円となった。



b) 産機

米国住宅設備向けソフトクローズ部品や産業機器向け通信ケーブルの販売が好調だったことなどにより、売上高は前期比9.8%増の4,320百万円となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)