■業績動向



1. 2022年3月期の業績概要

(1) 損益状況

ムサシ<7521>の2022年3月期の連結業績は、売上高36,213百万円(前期比19.7%増)、営業利益1,746百万円(前期は97百万円の損失)、経常利益1,848百万円(同24百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益981百万円(同28百万円の損失)となった。



主力の選挙システム機材において、東京都議会議員選挙や衆議院選挙があったことから、売上高が前期比161.7%増となったことが業績を牽引した。他の事業もコロナ禍からの回復もあり全般的に堅調であったが、金融システム機材は微減収となった。注力しているメディアコンバート事業(情報・産業システム機材の内数)も堅調に推移した。



利益面では、自社製品である選挙システム機材の売上高比率が上昇したことなどから、売上総利益率は24.2%となり前期比で1.8ポイント改善した。販管費は、コロナ禍からの反動があったものの、経費削減に努めた結果、前期比で2.2%増にとどまった。この結果、営業利益は前期比で大幅増となった。設備投資額は、772百万円(前期312百万円)、減価償却費421百万円(同326百万円)であった。設備投資額が増加したのは、主にメディアコンバート事業の能力拡大のためである。



(2) 財務状況

2022年3月期末の財務状況は、流動資産は前期末比で1,891百万円増加し32,459百万円となった。主に現金及び預金の増加1,004百万円、受取手形及び売掛金の増加1,010百万円による。固定資産は前期末比で278百万円増加し11,022百万円となったが、主に子会社でのリース資産計上による有形固定資産の増加402百万円、株価上昇の影響等による投資有価証券の増加1億57百万円による。その結果、資産合計は43,481百万円(前期末比2,169百万円増)となった。



負債合計は、16,457百万円(前期末比2,178百万円増)となったが、主に電子記録を含めた仕入債務の増加376百万円、未払法人税等の増加674百万円、その他流動負債(主に未払消費税等、リース債務)の増加666百万円、その他固定負債の増加336百万円等による。また、純資産合計は、27,024百万円(同8百万円減)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加773百万円、自己株式の増加(金額の減少)765百万円等による。この結果、2022年3月期末の自己資本比率は62.2%(前期末65.4%)となった。また期末のネットキャッシュ(=現預金−有利子負債)は15,969百万円と売上規模に比べて潤沢である。



(3) キャッシュ・フローの状況

2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,601百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上1,821百万円、減価償却費421百万円、仕入債務の増加374百万円などで、主な支出は、売上債権の増加991百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは904百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出678百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは594百万円の支出であったが、主な収入はセール・アンド・リースバック442百万円、主な支出は、自己株式の取得764百万円、配当金の支払額209百万円による。



以上から2022年3月期の現金及び現金同等物は1,104百万円増加し、期末残高は18,495百万円となった。



2. 2022年3月期のセグメント別状況

セグメント別及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。



(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント

セグメント売上高は20,451百万円(前期比12.5%増)、セグメント損失23百万円(前期は5百万円の利益)となった。増収となったが、連結子会社において一部遅れが発生し、一方で受注拡大に伴う環境整備費用が増加したことなどから、セグメント損失が拡大した。



a) 情報・産業システム機材

注力している文書のデジタル化事業(メディアコンバート事業)の連結売上高は、5,371百万円(前期比33.7%増)と堅調に推移した。民間企業、官公庁ともに需要が拡大している。もう1つ成長が期待されている業務用ろ過フィルターの売上高も647百万円(同20.0%増)と好調であったが、コロナ禍からの反動で飲料向けが回復したことに加え、工業用(半導体向けなど)の販売も堅調であった。スキャナー等の機器類の販売も好調に推移したが、工業用検査機器の販売は設備投資意欲減退の影響で減収となった。これらの結果、サブセグメントの売上高(単体ベース)は、9,059百万円(同32.7%増)となった。



b) 印刷システム機材

印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、8,960百万円(同6.0%増)となった。印刷材料の販売は順調であったが、印刷会社の設備投資意欲減退により機器販売が減収となった。



(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント

東京都議会議員選挙や衆議院選挙が行われたことなどから、選挙システム機材が大幅増となりセグメント売上高は、7,245百万円(同107.5%増)、セグメント営業利益は1,570百万円(前期は155百万円の損失)となった。



a) 選挙システム機材

衆議院選挙や東京都議会議員選挙などの各地方選挙向けに、「投票用紙読取分類機」や「投票用紙交付機」「計数機」などの選挙機器、及び「投開票管理システム」の販売が大幅に伸長し、売上高(単体ベース)は6,106百万円(前期比161.7%増)と大幅増収となり、過去最高額を記録した。これらの製品は、自社開発品であるため、利益率も比較的高いことから、全体の利益にも大きく貢献した。



b) 金融汎用システム機材

紙幣入金整理機など、金融機関向け貨幣処理機器の販売が設備投資抑制の影響により低調に推移し、前期実績を下回った。この結果、金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は1,052百万円(前期比3.2%減)となった。



(3) 紙・紙加工品セグメント

医薬品向け高機能紙器用板紙の販売は増加したが、コロナ禍による経済活動の停滞やテレワークの拡大で、印刷用紙や情報用紙の販売が低迷した。この結果、セグメント売上高は8,241百万円(前期比0.9%減)、セグメント営業損失は3百万円(前期は92百万円の損失)となった。



(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメント

おおむね順調に推移し、セグメント売上高は274百万円(前期比0.4%増)、セグメント営業利益は201百万円(同41.5%増)となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)