■要約



神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開しているほか、外食・中食事業やエコ再生エネルギー事業も手掛けている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社グループ商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることにより成長を続けている。



1. 2022年10月期第2四半期累計の業績概要

2022年10月期第2四半期累計(2021年11月-2022年4月)の連結業績は、売上高で前年同期比12.3%増の198,161百万円、営業利益で同2.4%増の14,733百万円と過去最高業績を連続更新した。主力の業務スーパー事業が売上高で前年同期比11.5%増、営業利益で同3.5%増となり、業績をけん引した。第2四半期末の店舗数が前年同期末比47店舗増の969店舗に拡大したほか、メディアやSNSへの露出効果並びに値上げ効果によって、直轄エリア※の既存店(以下、既存店)向け商品出荷額が同4.1%増と堅調に推移したことが増収要因となった。営業利益の伸びが鈍化したのは、原材料価格の上昇によりグループ会社の収益が悪化したことに加え、物流コストも上昇したことが要因だ。適宜値上げを実施したものの、コスト上昇分をすべてカバーしきれなかった。ただ、食品スーパー業界全体の既存店売上高が前年同期比約1%減となるなかで、「業務スーパー」は4.1%増と増加基調を維持しており、引き続き商品力や集客力の高さが確認される結果となった。



※直轄エリアは、関西2府4県(淡路島除く)、関東1都3県、九州(鹿児島県、沖縄県除く)、北海道で、それ以外は地方エリアとしている。





2. 2022年10月期の業績見通し

2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円と期初計画を据え置いた。2022年5月以降も原材料価格の高騰や円安進展といった収益圧迫要因が続いているものの、適宜値上げを実施していくことでコスト増を吸収していく方針となっている。「業務スーパー」の店舗数は前期末比60店舗増の1,010店舗を計画している。9月〜10月にかけて新規出店が集中する見込みで、計画達成の目途はついているようだ。既存店向け商品出荷額については期初計画で前年同期比微増を見込んでいたが、下期も値上げ等が実施する予定となっていることから、計画を若干上回るものと予想される。値上げについては販売数量に影響を与えない範囲で進めていくことにしている。食材価格の上昇によって一般消費者の低価格志向が一段と強まると考えられることから、下期も業務スーパー事業の優位性は変わらず順調に売上高を伸ばしていくものと予想される。



3. 中期経営計画

同社は中期経営計画の業績目標として、2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円の達成を目指している。3ヶ年の年平均成長率は売上高で4.2%、営業利益で5.4%と堅実な計画となっており、引き続き業務スーパー事業における店舗数拡大とPB商品の拡充による持続的な成長を見込んでいる。また、新たな取り組みとして販売チャネル拡大(EC販売)の検討を進めているほか、ITを活用した次世代型店舗の開発も進めている。EC販売については業務スーパーが近隣にない地域における潜在顧客の掘り起こしが狙いとなっており、現在収益モデルを固めるためのシミュレーションを行っている。一方、次世代型店舗については2021年8月より「業務スーパー天下茶屋駅前店」を直営で出店し、データ収集とシステム改善を実施している。商品の自動発注システムや、セルフレジとの連携によりレジ待ち時間を削減できるタブレット端末付きショッピングカートの実用化に向けた効果検証等を行っている。効果を確認後、FC店舗への導入を進めていきたい考えだ。また、物流コストの低減を図るため、関東エリアに物流機能を有する生産拠点を開設する計画を立てている。現在、関東エリアについては外部の物流センターを活用しているが、同拠点が稼働すれば物流コストの改善に寄与することになる。順調に進めば2025年頃には稼働できるものと弊社では予想している。なお、「業務スーパー」の出店余地は依然大きく、FCオーナーの出店意欲も旺盛なことから、今後も年間60店舗前後のペースで拡大を続けていく可能性は十分あると弊社では見ている。



■Key Points

・原材料価格の上昇を増収効果で吸収し、2022年10月期第2四半期累計は増収増益を達成

・出店拡大に加えて店舗運営のDX化と販売チャネル拡大により2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円を目指す

・業務スーパーの出店余地は依然大きく、当面は1,200店舗、長期目標は1,500店舗を掲げる



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)