■業績動向



1. 2022年3月期の業績概要

ネットイヤーグループ<3622>の2022年3月期の単体業績は、売上高で前期比0.2%増の3,416百万円、営業利益で同46.1%増の205百万円、経常利益で同46.4%増の205百万円、当期純利益で同119.9%増の580百万円となった。2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等の適用しており、従来は売上高及び売上原価に計上していたソフトウェアライセンスや広告等の販売及び費用を純額計上処理(手数料収入を計上)している。この結果、売上高及び売上原価が415百万円減少しており、同要因を除いた実質増収率は12.4%と実質2ケタ増収増益となる。なお、特別利益としてトライバルメディアハウスの株式売却益604百万円を計上している。



顧客起点のDXに対する企業の投資意欲が旺盛で、なかでもNTTデータとの共同プロジェクトとなる大型案件が増収に大きく貢献した。NTTデータ向けの売上高は前期比75.2%増の1,130百万円となり、売上構成比率では33.1%まで上昇した。そのほかの増収要因としては、2021年3月期後半からスタートしている通信会社向け大型開発案件が通年で寄与したことに加え、金融向けではUXデザインの設計から構築まで顧客起点でのDX開発案件を、また自治体向けでもLINEを活用した行政サービスの提供システム等の案件を受注した。NTTデータ向け以外の大型案件としては、スターバックスコーヒージャパン(株)からのデジタル化施策の受注も好調で、同社向けの売上高も増加した。



利益面では、増収効果に加えて大型案件が期初から寄与したことで、稼働率が年間を通じて高水準で推移したこともあり、売上原価率が大きく改善したことが増益要因となった。売上原価率は、2021年3月期の80.9%から75.0%(旧会計基準では77.7%)に改善している。売上原価の内訳を見ると、労務費が前期比36百万円減少したほか、外注費が同139百万円減少しており、人員の最適配置等によりプロジェクトの生産性が向上したことが窺える。2〜3年前から取り組んできた不採算プロジェクト撲滅の成果が顕在化してきたことも挙げられる。



一方、販管費は前期比26.8%増の647百万円となった。主要項目別では人件費が25百万円、支払手数料が13百万円それぞれ増加したほか、「Shopify」のアプリ開発費用として研究開発費62百万円を計上した。また、外形標準課税の増加や新型コロナウイルス感染症対策での職域接種実施等により、その他が35百万円増加した。



「Shopify」のストアアプリは全世界で7,000本以上が販売されているが、日系企業の開発アプリはまだ少なく、成長余地があると見て参入した。2022年6月時点でEC事業者の販促や業務支援等につながるアプリを8本リリースしており、製品レビューの評価はおおむね良好のようだ。今後はこれらアプリの機能強化を図りながら収益化を目指していく。





子会社株式売却で増加したキャッシュを成長投資に振り向ける



2. 財務状況と経営指標

2022年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比806百万円増加の3,122百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では関係会社株式を700百万円で売却したことや収益増により現金及び預金が888百万円増加したほか、売上債権が149百万円増加した。一方、固定資産は関係会社株式が95百万円減少したほか、繰延税金資産が93百万円減少した。



負債合計は前期末比248百万円増加の648百万円となった。仕入債務が103百万円、未払法人税等が119百万円それぞれ増加したことによる。純資産合計は同558百万円増加の2,474百万円となった。当期純利益580百万円の計上と配当金22百万円の支出により利益剰余金が557百万円増加した。



経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の82.7%から79.2%とやや低下したものの、無借金経営で現金及び預金も過去最高水準まで積み上がるなど、財務内容は健全な状態にあると判断される。また、収益性については売上高営業利益率が6.0%となり、2020年3月期を底に回復傾向が続いている。過去最高業績を記録した2015年2月期(単体)の売上高営業利益率(7.8%)には及ばないものの、NTTデータグループに入ったことで、収益力も着実に向上していると評価できる。同社では収益力の維持向上を図りつつ、積み上がったキャッシュについては成長基盤構築のための新規事業等投資に投下していく方針だ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)