■クリアル<2998>の事業内容と特長



(2) 「CREAL Partners」

連結子会社であるクリアルパートナーズが展開する個人投資家向けの資産運用サービスである。長期の運用(5年以上)のための実物不動産が対象となっている。自社開発のAIを活用して、不動産市場から効率的に優良物件(主に首都圏の中古区分レジデンス)を発掘するところに大きな特徴がある。売上総利益は売上高×利益率で算出される。



具体的には、クリアルパートナーズが投資用不動産を仕入れ、個人投資家に販売することにより売却益を獲得するスキームとなっている。また、「CREAL Partners」では不動産販売後、投資家にとって必要な各種管理業務サービスも提供することで個人投資家の利便性を高めつつ、売却益だけではなく集金代行手数料や契約事務手数料等の賃貸管理収入を継続して受領できる仕組みを構築している。



「CREAL Partners」では、不動産投資に関わる一連のプロセス各所でのAIの活用とDXの推進を通じ、投資リターン向上に加え、インターフェース機能の充実など顧客にとっての投資魅力と利便性が高まるような取り組みを進めており、業務改善やコスト削減にも注力している。



注目すべきシステムの1つは、投資案件の物件評価・仕入システム「CREAL buyer」である。「CREAL buyer」は、物件評価・仕入を効率的に行うために自社開発したAIである。「CREAL buyer」は、インターネット上の不動産売買に関わる膨大な量のデータを常時学習しており、ロケーションやエリア、面積・築年数・スペック等に応じた適正な賃料や価格査定を可能としている。割安な価格や賃料が設定されているリーズナブルな物件をインターネット上で常に選別し、目ぼしい物件がある際には仕入れの提案を担当者に通知することで、スピーディーな仕入交渉が可能となる。



不動産投資運用の効率化を推進するシステムとしては、「CREAL concierge」を開発し、これまで書面や対面でのやりとりに大きく依存していた不動産投資運用プロセスのDXを推進している。「CREAL concierge」によって、同社の顧客である不動産オーナーは、物件の賃貸状況をオンラインでいつでも確認することができ、資産運用の利便性を高めることにつながっている。また、顧客である不動産オーナーに対して最新の販売中の不動産を表示することも可能とすることにより、物件の買い増しを促進する機能も有している。



物件管理業務効率化に当たっては「CREAL manager」を開発し、区分中古レジデンス不動産における賃貸管理業務を効率的に運用できる仕組みを構築している。「CREAL manager」により従来書面やExcelなどで分散管理していた情報の一元化が促進され、契約管理及び入出金管理をはじめ、オーナー向け明細の作成や希望者への郵送が自動化されるなど、顧客と同社の双方の大きなメリットを発揮する効率的な作業環境の形成を実現している。



(3) 「CREAL Pro」

1億円からの資産運用となる機関投資家・超富裕層といったプロ向けの大型不動産への投資を対象とした資産運用サービスである。ESG不動産、レジデンス、ホテルといった不動産へ投資できるよう構成されており、フィービジネス主体であることから、売上の大部分がそのまま売上総利益となる。



「CREAL Pro」では、主に同社が情報を入手した投資物件を基に仲介業務や私募ファンドを組成・運用する業務が中心となる。基本的には外部出資者のために運用を行う事業であるが、一部同社グループが保有し開発や運営を手がける事業も含まれている(バリューアップ後には「CREAL」への掲載や外部売却を行う)。



「CREAL Pro」の主要な業務の流れは以下のとおりとなっている。

a) 物件供給の業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営会社、仲介会社等から収集した投資物件情報のスクリーニングを行い投資適格物件の選定を行う。

b) 同社が選定した投資適格物件についてファンドの組成もしくは仲介業務を行い、当該ファンドへの出資に興味を持つ投資家の探索もしくは当該物件への購入意欲のある投資家の探索を行う。

c) 投資家による当該ファンドへの出資が行われファンドが成立した場合、もしくは投資物件を購入した場合には、同社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)もしくは仲介手数料を受領する。

d) 運用期間中、同社は物件の運用管理を行うことにより管理手数料(アセットマネジメント・フィー) を受領する。

e) 運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家は投資元本の回収及び最終利益の確定を行う。運用終了時においては不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに 同社が物件を売却して利益が生じた場合には、同社は当該売却利益の一部(プロフィット・シェア)を受領する。



さらに「CREAL Pro」では、「CREAL」との連携シナジーを強く意識した事業を展開している。具体的には、「CREAL」で運用している小〜中規模物件のポートフォリオを物件ごとに外部売却する以外に、50~100億円程度の規模に束ねて「CREAL Pro」の顧客である機関投資家等へ一括バルク売却を行い、さらに当該物件管理について「CREAL Pro」としてアセットマネジメント業務を受託するといった、同社事業間のシナジーを発揮したビジネスモデルとなっている。こうしたスキームは2021年のドイツ大手生命保険会社Allianz、2022年4月28日の株式上場と同時に発表された香港大手不動産ファンドGaw Capitalとの取引実績で既に具現化しており、「CREAL」で運用中及び運用予定の東京23区所在のマンション13棟(竣工予定を含む)ついて、Gaw Capitalの組成するファンドとの売買契約を締結している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 中村昌雄)