■要約



ウイングアーク1st<4432>は企業向けにソフトウェア及びクラウドサービスを提供している。企業の基幹業務を支える帳票・文書管理ソリューションとデータから価値を生み出すデータエンパワーメントソリューションを手掛ける。2013年にMBOにより上場廃止となるも、競争優位性を維持し、将来にわたって安定的かつ持続的に企業価値を向上させるというMBOの目的を達成したと判断し、2021年3月に東証1部に再上場し、2022年4月に東証プライム市場に移行した。



1. 2022年2月期の業績概要

2022年2月期の連結業績は、売上収益は前期比8.5%増の19,833百万円、営業利益は前期に発生した一時的な費用(本社縮小に伴うオフィス解約費用)の発生が無くなったため、同86.7%増の5,986百万円、一時的な費用の影響を除いた利益指標である調整後EBITDAは同11.1%増の7,314百万円となり、会社計画(売上収益19,000百万円、営業利益5,880百万円、調整後EBITDA7,180百万円)を上回った。帳票・文書管理ソリューションとデータエンパワーメントソリューションがともに堅調に推移したことが大きい。帳票・文書管理ソリューションの売上収益は同7.2%増の12,337百万円、データエンパワーメントソリューションの売上収益は同10.7%増の7,495百万円となった。



2. 2023年2月期の業績見通し

2023年2月期の会社計画は、売上収益は前期比5.9%増の21,000百万円、営業利益は同20.6%減の4,750百万円、調整後EBITDAは同18.0%減の6,000百万円の見通しである。帳票・文書管理ソリューションは、電子帳簿保存法やインボイス制度等への対応を軸に「invoiceAgent」の強化・拡販を見込んでいる。データエンパワーメントソリューションは、クラウドベースでの業種・業務ソリューション及び大企業のデータ活用支援サービスである「Dataring」に注力し、顧客の獲得が進むと思われる。営業利益の減益理由は、事業強化のための戦略投資1,800百万円の実行を織り込んでいる影響によるものである。仮に戦略投資を除いた場合、調整後EBITDAは同6.6%増の7,800百万円となる。



3. 中長期の成長戦略

同社は2022年1月に5ヶ年の「中期経営方針(2023年2月期〜2027年2月期)」を発表した。「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に据え、主にクラウドビジネスでの大きな成長を目指す計画である。このプラットフォームをベースに、帳票・文書管理ソリューションはデータを流通させ、企業間取引の変革を実現する「企業間DX」、データエンパワーメントソリューションはデータから価値を引き出し、生産性の向上や新しいビジネスの創出に資する「企業内DX」に取り組む方針である。当該期間中に同社が達成を目指す目標は、「クラウド成長率40%(2022年2月期〜2027年2月期平均)」「リカーリング比率75%(2027年2月期)」「クラウド比率40%(2027年2月期)」「調整後EBITDA 120億円(2027年2月期)」としている。



■Key Points

・2022年2月期は前期比8.5%増収・11.1%増益(調整後EBITDA)、各ソリューションが堅調に推移

・ 2023年2月期の会社計画は前期比5.9%増収・18.0%減益(調整後EBITDA)、事業環境は良好な状態が続くも、事業強化のための戦略投資が織り込まれている

・ 2022年1月に「中期経営方針」を発表、「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に、クラウドビジネスでの大きな成長を目指す方針



(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)