■ウイングアーク1st<4432>の事業概要



3. データエンパワーメントソリューション

データエンパワーメントソリューションでは、エンドユーザーに対して、ソフトウェアの販売、クラウドサービス、保守サポートの提供を主に行っている。これらは様々な種類のデータを組み合わせ、分析することにより、気づきや今までにない価値を生み出すビジネスの基盤となる(一般的にBI(Business Intelligence)と呼ばれる)ソフトウェア及びそれらをベースとしたソリューションを提供している。生産性の向上やビジネスプロセスの効率化による経営スピードの向上を実現することをコンセプトとし、データの集計、分析、可視化、意思決定支援というデータ活用の一連の流れをカバーしている。企業の業務プロセス等に組み込まれるなどして、経営者から現場の業務担当者まで多くの利用者がいる。



(a) Dr.Sum

「Dr.Sum」は、企業内外のデータを収集、蓄積し、そのデータを加工・分析することによって企業の意思決定に活用することを目的としたソフトウェアである。数百億件ものビッグデータを数秒で処理できる性能と、ユーザーが使い慣れたWebベースとExcelベースのユーザーインターフェイスを備えており、システム担当者でなくともビッグデータの集計や分析を容易に行うことが可能となっている。また、「Dr.Sum」上で販売や会計といった社内の様々なデータを統合管理することで、企業を支える情報分析基盤として利用されている。



(b) MotionBoard

「MotionBoard」は、企業をとりまく様々なデータを価値ある情報に変え、企業にイノベーションをもたらすことをコンセプトとした情報活用ダッシュボードである。第1の特徴は多彩な表現力である。PC画面上にグラフィカルな数多くのチャートを自由に配置可能で、業務内容の確認から事業戦略の遂行状況の確認まで、目的に合わせた使い方が可能である。また、GIS機能を備えており、位置情報を持つデータを地図上にプロットすることも可能である。これにより、競合店舗情報と人口動態情報を組み合わせた店舗戦略や走行情報を利用したトラックの運行管理等、新しい情報活用の形が生まれている。第2の特徴は、リアルタイム処理である。「MotionBoard」は、基幹システム、情報系システム、SFAやCRM、外部のクラウドサービス等様々なデータソースとリアルタイムに接続し、これらの情報を一つのチャート上で統合し、分析して可視化することができる。またノンプログラミングで利用できることが特長で、多くは企業内のシステムに組み込まれる形で利用されている。近年では、Salesforceと連携した営業の生産性向上や小売業でのビッグデータ活用に加え、IoTで発生するデータの分析、可視化や閾値の設定によるリスク検知等にも利用されている。第3の特徴は、高いメンテナンス性である。通常、情報システムの構築は、高度な知識を持ったシステム担当者が行うことが一般的だが、「MotionBoard」は、ユーザーが自由な発想で可視化や分析を行うことを想定している。データの設定から表示項目やチャートの選定、配置までユーザー自身で行うことが可能である。これにより、業務フローの変更等にも迅速に対応できる。





強みは、独自のテクノロジー・強力なビジネスチャネル・厚いリカーリングレベニューによる強固な財務基盤

4. 強み

(1) 独自のテクノロジー

同社グループは、創業以来、企業の情報活用に特化した独自の技術開発に取り組んでいる。超高速集計、データの仮想統合、IoTデータのリアルタイム処理は代表的な特長的技術であり、同社グループの競争力の源泉となっている。それぞれ技術は高度で難解なものであるが、「誰でも簡単」に利用することができ、素早く効果をあげられるようにシンプルで直観的に使用できるユーザーインターフェイスを備えたソフトウェア及びサービスとして提供している。なお、研究開発活動及びソフトウェア開発のコア部分は、すべて自社グループ内で行っている。



(2) 強力なビジネスチャネル

同社グループの販売モデルは、パートナーを介した間接販売が主となっている。大都市圏で大企業や官公庁の大型案件を得意とするSIerや地方を拠点とするSIer、特定領域に特化したコンサルティングファームやクラウドシステムの構築を専業とするクラウドSIer等多くのパートナー企業と契約しており、日本全国のシステム開発案件をカバーするソリューション/サービス提供体制を構築している。これにより、継続的な案件創出と営業コストの抑制が可能となり、効率的な販売活動が可能となっている。なお、2021年2月期には、同社グループのソフトウェア及びサービスの販売だけではなく、パートナーとともに新たな市場を開拓していくという考えのもとパートナー制度を改定した。今後もパートナーとより良い関係を築き、双方のビジネスの発展に努めていく考えのようだ。契約パートナー数は、500社を超えている。特に大口は日本電気<6701>であり、取引関係は安定している(2022年2月期の売上高1,747百万円(割合:8.8%))。



(3) 厚いリカーリングレベニュー

同社グループが提供するソフトウェア及びサービスは、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されている。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、同社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献している。2022年2月期のリカーリング比率は61.4%(前期は61.9%)であった。四半期ベースでは、リカーリング収益は順調に増加している。



また、同社グループは保守契約の継続率をリカーリングビジネスの最も重要なKPIの一つとしている。2022年2月期は93.2%(前期は93.8%)と高い水準で安定している。高い保守契約継続率を維持することによって、既存の契約は最大限維持しつつ、新規契約を積み上げ、持続的な成長を実現していく考えのようだ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)