■今後の見通し



2. 中期経営計画の概要

タナベ経営<9644>は、2022年3月期から5ヶ年の中期経営計画(2021〜2025)「TCG Future Vision 2030」をスタートさせている。同社が従来から強みとしてきた経営戦略の策定(上流)をアップデートするとともに、現場におけるマネジメント実装・オペレーション(中流〜下流)もデジタル技術を駆使する「プロフェッショナルDXサービス」として強化し、企業経営を一気通貫で支援できる唯一無二の「経営コンサルティング・バリューチェーン」の構築を進め、成長を加速していく考えだ。



業績数値目標については、最終年度となる2026年3月期に売上高150億円、営業利益18億円、ROE10%、ROA15%を掲げ、2022年3月期実績を起点とした4年間の年平均成長率では、売上高で9.1%、営業利益で18.1%を目標としている。また、収益性についても営業利益率で2022年3月期の8.8%から12.0%に、ROEで同5.4%から10.0%に引き上げていく。付加価値の高いチームコンサルティングサービスを中心に伸ばしていくことで収益性を高めていく戦略だ。コロナ禍前の2015年3月期から2020年3月期までの5年間の年平均成長率は、売上高で3.6%、営業利益で5.3%と堅実な成長を続けてきたが、2020年3月期以降はM&A戦略も取り入れながらDX支援サービスなど成長性の高い分野を取り込んでいくことで、成長を加速していく戦略となっている。



なお、同社は2023年3月期より、新たに「ストラテジー&ドメイン」「デジタル」「HR」「ファイナンス・M&A」「ブランディング&マーケティング」という5つの経営コンサルティング領域、これに「プロモーションツール」を加えた6つのカテゴリーに組み替えている。2026年3月期までに最も売上を伸ばす計画となっているのは「デジタル」領域で、2023年3月期の2,450百万円から5,000百万円と約2倍増を目標としている。全体の増収分の7割弱を「デジタル」領域で稼ぐ計算だ。一方で、「プロモーションツール」については2023年3月期の550百万円から500百万円とほぼ横ばい水準で計画している。各領域の事業環境と売上計画、強化ポイントについては以下のとおり。



(1) ストラテジー&ドメインコンサルティング

「ストラテジー&ドメイン」領域の売上高は2023年3月期の2,750百万円から2026年3月期は3,000百万円、年平均成長率で2.9%と堅実な成長を見込んでいる。同領域は、中長期ビジョンやビジネスモデルの構築、サステナビリティ経営といった経営戦略の策定や、事業別成長戦略の構築等の経営コンサルティングサービスとなり、同社が従前から得意としてきた経営コンサルティング・バリューチェーンの上流部分に該当する。



景気の先行き不透明感が強まるなかでも、企業は中長期ビジョンの構築や人材育成強化、新規事業・サービスの開発、ビジネスモデル変革等のテーマについては重要な経営課題であるとの認識であり、これらの領域におけるコンサルティングニーズは今後も堅調に推移する見通しとなっている。こうした環境下で同社は、DXやM&A、グローバル、サステナビリティ等をテーマとした経営ビジョンの構築や、新規事業開発、ビジネスモデル変革、SDGs等の戦略テーマ及び業種×地域戦略に注力していくことで、チームコンサルティング契約の積み上げを図っていく。



(2) デジタルコンサルティング

「デジタル」領域の売上高は2023年3月期の2,450百万円から2026年3月期は5,000百万円、年平均成長率で26.8%と高成長を見込んでいる。同領域では、ビジネスプラットフォームやデジタルマーケティング(BtoB、BtoC)、ブランディングDX、CXデザイン、採用サイト、アカデミークラウド、ERP&マネジメント、業種別DXCloud、オペレーションDX等の経営に関わるDXビジョンの策定からデジタル実装及び実行推進支援サービスなどを提供する。



ここ数年、経営のDXに取り組む企業が増えているものの、地方でのDXの取り組み状況は首都圏と比べてまだ大幅に遅れており、こうした需要を取り込んでいく。同社が全国10拠点に事業所を展開している強みが生かせる領域であると同時に、(株)リーディング・ソリューションやグローウィン・パートナーズ(株)、(株)ジェイスリーなどにこれら地方の顧客企業を紹介し、受注に結び付けていくといったグループシナジーが発揮される領域でもあり、今後の成長余地が大きいと弊社でも見ている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)