■今後の見通し



1. 2022年12月期業績見通し

2022年12月期の連結業績予想についてすららネット<3998>は、売上高2,120百万円、営業利益417百万円、経常利益427百万円、親会社株主に帰属する当期純利益284百万円と下方修正した。また、単体ベースの売上高は2,037百万円(前期比4.3%増)、営業利益は443百万円(同15.0%減)と予想している。



競争力強化のためのコンテンツの拡充やシステムへの投資を継続して行うことから、期初から減益予想であったが、今回下方修正した理由として同社は、「第2四半期末のID数が社内計画を下回り、学習塾マーケットのID数は前年同期末比で減少したため」と述べている。また、新規に連結子会社となったファンタムスティック(株)は、一部の受託開発案件が2023年12月期にずれ込んだことから、当初の黒字決算予想から損失予想となった。ただし、案件そのものが消失したわけではなく、ずれ込んだだけなので、内容としては懸念されるものではない。また、連結決算上では内部取引が調整されているため、実質の損失幅は単純に連結決算から単体決算を差し引いたものほど悪くない。このように、ファンタムスティックが行う受託開発事業は、年度によって金額や納期のずれが生じて決算数値に影響を与える。これが、中長期経営計画の数値目標を非開示とした理由の1つでもある(詳細は後述)。



しかし現在の予想数値では、下期の営業利益は115百万円(前年同期は261百万円、単体ベース)になってしまう。下期によほど大きな投資を行うのでなければ、現在の予想はかなり控え目であり、通期での上方修正はあり得ると弊社では見ている。



2. マーケット別売上高見通し

e-ラーニング事業のマーケット別売上高見通しは、以下のとおり。



(1) 学習塾マーケット

学習塾マーケットの売上高は658百万円(前期比10.8%減)を見込んでいる。導入校数は増加傾向にあるものの、コロナ禍の影響により既存導入塾の通塾生徒数(ID数)が減少していることから、下期もこの傾向が続くと予想している。なお、放課後等デイサービス市場での導入は引き続き伸長する見込み。



(2) 学校マーケット

GIGAスクール構想の進捗により公立学校を中心とした教育現場でのICT化が進んでいる。直近では公立高校での端末整備が進み、運用がスタートするなど活用が拡大している。自治体への販路拡大、学校法人市場への個別対応力強化を提案することで、学校マーケットの売上高は951百万円(前期比13.7%増)を見込んでいる。



(3) BtoCマーケット

BtoCマーケットの売上高は396百万円(前期比8.4%増)を見込んでいる。不登校・発達障がいの生徒にも対応した教材という同社独自のポジショニングが幅広く認知されつつあり、堅調に推移すると予想される。



(4) その他マーケット

その他マーケットの売上高は30百万円(前期比136.3%増)を見込んでいる。海外市場については、コロナ禍で依然として厳しい状況ではあるものの、政府や教育機関のオンライン教育への関心やニーズは高まっており、コロナ禍収束後は従来以上の成長が期待できる。既述のとおり、インドネシアではADBIとの大型パイロット事業がスタートしており、今後の動向が注目される。



3. 売上原価と主な費用の見通し

e-ラーニング事業の売上原価と主な費用の見通しは、以下のとおり。



(1) 売上原価

売上原価は567百万円(前期比19.5%増)を予想している。開発費及びコンテンツ拡充や「すらら」システム開発強化による減価償却費の増加のほか、利用者数増加に伴うサーバーコスト、新機能リリースによる運用・保守費用の増加を見込んでいる。



(2) 人件費、広告宣伝費及びその他経費

顧客サービスの充実とコンテンツ拡充・システム強化のための人員を積極的に採用(正社員は前期末比18名増の86名を計画)する。ただし、2022年12月期より開発人件費は原価計算を行い、一部をソフトウェア、ソフトウェア仮勘定、売上原価に振り替えていることから、人件費は497百万円(前期比4.6%減)を見込んでいる。一方、顧客基盤拡大のために広告宣伝費は171百万円(同14.0%増)を予定している。また、採用に伴う支払手数料及び業務委託費の増加、子会社対応、M&A対応、ガバナンス強化に伴う専門家報酬の増加などにより、その他経費は357百万円(同25.3%増)を予想している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)