■要約



1. 会社概要

Jトラスト<8508>は、東京証券取引所(以下、東証)スタンダード市場に上場しており、傘下に国内外の金融事業を有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)社長の下、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に資産規模を拡大してきたが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による世界的な経済環境悪化に直面し、抜本的な事業ポートフォリオの再編に着手した。2020年8月以降、不動産事業ではキーノート(株)(現 (株)グローベルス)、日本金融事業ではJトラストカード(株)(現 Nexus Card(株))、韓国及びモンゴル金融事業ではJT親愛貯蓄銀行(株)及びJTキャピタル(株)を売却した。その後は利益拡大に向け、成長性が高いJT親愛貯蓄銀行及びNexus Cardを再グループ化するとともに、エイチ・エス証券(株)(2022年10月1日付でJトラストグローバル証券(株)に商号変更予定)を子会社化するなど事業再編を実施し、2022年からは本格的な成長段階に入っている。



2. 2022年12月期第2四半期の業績概要

2022年12月期第2四半期の営業収益は33,431百万円(前年同期比63.8%増)、営業利益は10,927百万円(同54.8%増)、税引前利益は13,707百万円(同83.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は10,827百万円(同178.0%増)と大幅な増収増益決算となった。セグメント別営業収益では、東南アジア金融事業が同4,754百万円増、韓国及びモンゴル金融事業もJT親愛貯蓄銀行の子会社化が寄与して同7,702百万円増となった。また、セグメント別営業損益では、東南アジア金融事業が同2,323百万円増となり黒字化を実現し、韓国及びモンゴル金融事業は堅調な事業状況に加え、Nexus Bankグループの子会社化に伴う負ののれん発生益7,576百万円の計上もあり、同8,181百万円増となった。負ののれん発生益を除く金融3事業のセグメント営業利益は48億円と前年同期比で倍増し、恒常的に年間100億円のベース利益を創出する実力がついたと評価できよう。また、事業基盤の強化が着実に進み、総資産は初めて1兆円の大台を超えた。



3. 2022年12月期の業績見通し

2022年12月期の連結業績予想については、2022年5月に続き2度目の上方修正を発表した。修正後の業績予想は、営業収益79,000百万円(前期比86.7%増)、営業利益13,000百万円(同147.1%増)、税引前利益16,000百万円(同171.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益12,000百万円(同968.4%増)としている。上方修正の主な要因は、主力の金融3事業が当初計画を上回って推移していることに加え、負ののれん発生益7,576百万円の計上による。営業利益は2014年3月期以来の100億円超を見込んでいるが、通期予想に対する進捗率は84.1%と好調に推移していることなどから、予想を達成する可能性が高いと弊社では見ている。一方、期末配当予想については、期初予想(前期比9.0円増配の10.0円)を据え置いていることから、業績が上振れて着地すれば、さらなる増配も期待できそうだ。



4. 成長戦略

同社グループでは、コロナ禍による世界的な経済環境の悪化に伴い、2020年12月期より抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めてきた結果、成長フェーズに転換した。2021年12月期は黒字化を実現し、中期業績予想として、最終年度である2024年12月期に営業収益1,152億円(2021年12月期比2.7倍)、営業利益177億円(同3.4倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益117億円(同10.4倍)を発表した。目標達成のために、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で利益拡大を目指すほか、東南アジア金融事業の黒字化等により持続的な成長を目指しており、初年度となる2022年12月期は計画を上回る好スタートとなっている。これにM&Aによるプラス要因が加われば、さらなる増収増益も期待されることから、収益力拡大に向けた今後の戦略が注目される。



■ Key Points

・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ

・2022年12月期第2四半期業績は計画を大幅に上回って着地。東南アジア金融事業が黒字化を実現したほか、韓国及びモンゴル金融事業や日本金融事業も順調に推移

・第2四半期の好決算を受け、2022年12月期業績予想を大幅に上方修正。営業黒字及び成長フェーズへ転換

・日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で利益拡大を目指すほか、東南アジア金融事業の黒字拡大等により、グループの持続的な成長を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)