■業績動向



1. 2022年12月期第2四半期の業績概要

Jトラスト<8508>グループでは、これまで事業ポートフォリオの見直しを行うとともに、持続的な成長を支える事業基盤の整備に注力したことで、グループの成長基盤を強固なものとした。



その結果、2022年12月期第2四半期の営業収益は33,431百万円(前年同期比63.8%増)、営業利益は10,927百万円(同54.8%増)、税引前利益は13,707百万円(同83.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は10,827百万円(同178.0%増)と大幅な増収増益決算となった。金融事業の成長と事業ポートフォリオの再構築により、営業利益は2018年3月期に国際財務報告基準(以下、IFRS)に移行して以来、第2四半期累計期間としては過去最高となった。負ののれん発生益を除く金融3事業のセグメント営業利益は48億円と前年同期比で倍増し、ベース利益は着実に増加している。イレギュラーな費用が発生しない限り、恒常的に年間100億円のベース利益を創出する実力がついたと評価できよう。



また、親会社の所有者に帰属する四半期利益も100億円を突破し、IFRSに移行して以来、第2四半期累計期間としては過去最大、また日本基準を採用していた2017年3月期以前と比較しても、2012年3月期第2四半期に次いで2番目の高水準であった。これは、Nexus Bankの上場廃止に伴い株式を公正価値で再測定した結果として評価益が発生したこと、HSホールディングス株式の売却に伴い前期税効果計上額の戻しが発生したこと、為替相場が円安に振れて外貨建て資産負債の評価替えによる為替差益を計上したことなどによる。



以上の結果、業績は期初の計画を上回るペースで改善しており、今後の利益成長に期待を持たせる好決算であったと評価できよう。



2. セグメント別業績

同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在は日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業の4事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の97.4%、営業利益の105.9%を占める。2022年12月期第2四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業で安定的な利益を確保したことに加え、東南アジア金融事業で黒字化を実現した。なお、投資事業では、前年同期に発生したGroup Lease PCL(以下、GL)関連の勝訴に伴う一過性の利益計上の反動により、小幅の損失となった。



(1) 東南アジア金融事業

2022年12月期第2四半期の営業収益は12,507百万円(前年同期比61.3%増)、営業利益は238百万円(前年同期は2,084百万円の損失)となった。銀行業における貸出金の増加に伴い利息収益が増加したことにより、増収となった。営業収益の増加に加えて、審査体制の見直しによる貸出債権リスクの低下、預金金利の低下による資金調達コストの減少、経費削減などによりJトラスト銀行インドネシア(以下、BJI)が黒字転換した結果、東南アジア金融事業全体でも黒字化を実現し、グループ全体の増益に大きく貢献した。



a) BJI

インドネシアにおいて長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったBJIについては、同社グループでは最優先課題の1つとして再生に取り組んできた。これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA(以下、JTII)を設立して、BJIから不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなど銀行再生を加速してきた。ただ、銀行再生が計画どおりに進まなかったことから、2019年3月期決算において抜本的な対応に踏み切った。具体的には、買収前からの負の遺産を含めた不良債権を前倒しで一括処理することを決断した。このように抜本的な不良債権処理を断行することで、東南アジア金融事業の業績急回復を実現するための基盤を整えた。



こうした抜本的な処理に加え、韓国で経営破綻した貯蓄銀行を2年半で通期黒転させた現 千葉副社長がインドネシアに入って経営再建を進めたことから、2022年12月期第2四半期の営業収益は64億円(前年同期比32億円増)、営業利益は4億円(同23億円増)となった。事業規模が損益分岐点を超えたことで、2022年3月から4ヶ月連続で営業利益を計上し、利益幅は拡大している。黒字を目指すフェーズから、より多くの利益の積み上げを追求する段階に入ったと見られる。厳格な審査体制が整ったことで、より安全性の高いローンの増加が続き、2022年6月末の貸出残高は1,406億円に拡大した。コロナ禍の収束傾向もあり、貸出残高は2022年に入ってから急増している。また、インドネシア各地で日系大手デベロッパーとの業務提携を締結していることも、貸出の増加につながっている。一方、債権回収による不良債権金額の圧縮もあって、NPL比率(90日以上延滞債権比率)は2.53%に低下している。2020年1月以降の新体制で積み上げた貸出残高は全体の84.39%まで拡大したが、NPL比率は0.13%の低水準にとどまり、不良債権はほぼ発生していないなど、リスクマネジメントを強化した成果が現れている。



また、預金残高も1,857億円(2022年6月末)に増加している。大口の高金利預金を抑制する一方、ショッピングモールでのキャンペーンなどにより小口の低金利預金を増やしたことで、COF(Cost of Funds)は2020年1月の7.08%から過去最低の4.11%まで低下していることも、BJIの黒字化に貢献した。新規預金口座獲得件数は2022年6月に2,218件と過去最高を更新し、好調を持続している。なおBJIは、2020年1月にインドネシア証券取引所(IDX)で取引再開を果たしている。



b) JTRB

2019年8月に、同社グループ6ヶ国目の進出先となるカンボジアの商業銀行42行中でTOP10に入る資産規模(2018年12月末当時)のANZ Royal Bank(Cambodia)の株式55%を取得し、商号をJTRBに変更した。グループ入り後、貸出残高は順調に増加していたが、カンボジア国内でのコロナ禍に伴い、一時は新規貸付を抑制していた。しかしながら、同国のコロナ禍は周辺国に比べて軽微であったことから、堅調な法人資金需要に対応して貸出残高の積み上げを再開している。法人向けを中心に貸出残高の拡大傾向が持続しており、2022年6月末時点で1,353億円(前年同期比27%増)となり、延滞債権比率は足元では若干上昇したものの1.50%と依然として低水準にとどまっている。高金利での預金獲得を抑制していることから、預金残高は1,351億円と横ばい傾向にあるが、COFは2.7%と低位で安定推移している。JTRBでは「Goal Saving」「The One」「Premier Savings Plus」など普通預金商品を開発し、低金利預金獲得につなげている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)