■業績動向



1. 2022年11月期上期決算の概要

サムティ<3244>の2022年11月期上期の業績は、売上高が前年同期比49.7%増の36,224百万円、営業利益が同23.5%減の2,753百万円、経常利益が同29.0%減の1,993百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同72.6%減の1,666百万円と増収ながら減益となった。



コロナ禍の影響が長引くなかで、新規開業ホテル等の本格稼働にはやや遅れが見られる一方、海外投資家を中心とした賃貸マンションの取得意向は根強く、とりわけ「不動産ソリューション事業」が大きく拡大した。また、重視する「インカムゲイン」についても、「資産保有型」ビジネスへの転換に伴うグループ資産の拡大等により、前年同期比31.6%増の7,975百万円と順調に伸ばすことができた。



一方、利益面で減益となったのは、1) 前年同期は保有ホテルの売却(自社開発2物件)が業績に大きく寄与しており、その反動を受けたことや、2) 新規開業ホテルの費用負担、3) 下期に引き渡しが予定されている「海外事業」の先行費用などが主因であり、本質的な収益性の低下を示すものではない。



今後の成長につながる仕入れについては、開発用地30物件(取得金額約159億円)、収益不動産30物件(取得金額約189億円)を取得し、通期計画に対してもおおむね順調に進捗している※。



※開発用地の取得は、通期計画450億円に対して35.3%の進捗率であるが、決済予定を含めると66.7%の進捗率となっている。同様に、収益不動産の取得についても通期計画495億円に対して38.2%の進捗率である一方、決済予定を含めると60.5%の進捗率となっている。





財政状態については、「資産保有型」ビジネスへの転換を図る方針により、開発用地や収益不動産を積極的に取得したことから、総資産は前期末比13.5%増の396,295百万円に拡大。一方、自己資本は前期末比ほぼ横ばいの94,722百万円で推移したことから、自己資本比率は23.9%(前期末は27.0%)に低下した。また、有利子負債も前期末比19.0%増の275,088百万円に拡大したが、長期借入金比率は約73%を占めていることから、資産拡大を図りながらも財務の安定性は維持されていると言える。



各事業の業績は以下のとおりである。



(1) 不動産開発事業

売上高は前年同期比3.7%減の14,205百万円、セグメント利益は同57.1%減の2,349百万円となった。前年同期は保有ホテルの売却(自社開発2物件)が業績に大きく寄与しており、その反動により減収減益となった。販売実績はレジデンス13物件※、投資分譲1物件の合計14物件(前年同期は2物件)であった。



※そのうち、SRRへは2物件を供給。





(2) 不動産ソリューション事業

売上高は前年同期比306.9%増の14,628百万円、セグメント利益は同634.4%増の2,563百万円と大幅な増収増益となった。REITや海外投資家を中心とする物件取得意向の高まりを背景として、賃貸マンション16物件※(前年同期は7物件)を売却し、利益率も高い水準を確保することができた。



※そのうち、SRRへは1物件を供給。





(3) 海外事業

売上高の計上はなく、先行費用の増加によりセグメント損失は174百万円(前年同期は50百万円の損失)となった。ベトナムでの分譲住宅事業「THE SAKURA プロジェクト」については、既に完売済のV8棟(684戸+ショップハウス19戸)の引き渡しが下期に予定されているが、上期の売上高計上はなかった。また、2022年5月より販売を開始したV9棟(全1,103戸)についても、順調に申し込みが伸びているようだ。



(4) 不動産賃貸事業

売上高は前年同期比17.3%増の4,352百万円、セグメント利益は同26.0%増の2,120百万円と順調に拡大した。レジデンスを中心とした保有資産は175物件(前期末は152物件)に拡大するとともに、レジデンスの稼働率は95%付近の水準を維持している。



(5) ホテル賃貸・運営事業

売上高は前年同期比69.4%増の1,339百万円、セグメント損失は1,562百万円(前年同期は1,488百万円の損失)となった。保有・運営ホテル18棟が期初から寄与したことや、稼働率の上昇により大幅な増収となった一方、利益面では、新規開業ホテルの費用負担等により先行投資フェーズが続いている。



(6) 不動産管理事業

売上高は前年同期比46.2%増の2,284百万円、セグメント利益は同122.9%増の390百万円と増収増益となった。SRRの資産拡大やホテルREIT組成に伴うAUMの拡大、PMによる管理受託戸数の拡大が業績の伸びに寄与した。AUMは約3,178億円(2022年1月末時点)、管理受託戸数は約20,000戸(同)の規模となっている。



2. 開発計画(パイプライン)の状況

レジデンス(S-RESIDNCE)の開発については、24棟(通期計画は57棟)が竣工するとともに、2022年5月末の保有分として34棟(前期末比9棟増)を確保するに至った。また、2023年11月期以降の竣工予定分についても、2023年11月期が71棟、2024年11月期が39棟※、合計143棟(約10,413戸)の開発が全国各都市で進行中であり、資産拡大に向けて順調にパイプラインを積み上げることができた。一方、ホテル・オフィスの開発については、ホテル5棟を含む7棟(うち、2棟はオフィス)の開発が進行中である。



※2024年11月期以降は仕入れ進行中であり、さらなる積み上げを目指している。





3. 2022年11月期上期の総括

以上から、2022年11月期上期を総括すると、ホテル事業等においてコロナ禍の影響が想定よりも長引いているものの、1) キャッシュ・フローの安定した賃貸マンションに対する投資家の取得意向が根強いことや、2) 「インカムゲイン」が順調に伸びていること、3) 開発用地や収益不動産の取得についても決済予定分を含めると、おおむね計画どおりに進捗していることを確認できた。また、戦略面でも、ラグジュアリーホテルの開発をはじめ、有力なパートナーとの共同によるテーマパーク事業への進出など、アフターコロナを見据えた取り組みを着々と進めているところも評価すべきポイントと言えよう(詳細は後述)。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)