■要約



日本ヒューム<5262>は総合コンクリートメーカーである。日本におけるヒューム管の歴史とともに始まり、我が国におけるヒューム管の標準仕様を生み出し全国普及につなげた。その後事業領域を拡大し、コンクリートパイル(杭)、下水道管路の耐震化工法や管渠(かんきょ)更生工事工法の開発、コンクリート二次製品の設計・製造・施工といった全方位のワンストップサービスを提供している。また、建設市場の人手不足を補うプレキャスト(成形済)製品、社会インフラの老朽化に対応する製品・施工方法の開発、ICTを活用した取り組み(i-Construction)等の技術開発も推進している。



1. 2023年3月期第1四半期の業績概要

2023年3月期第1四半期連結業績は、売上高7,677百万円(前年同期比16.0%増)、営業利益231百万円(同27.4%減)、経常利益784百万円(同7.1%減)、親会社に帰属する四半期純利益661百万円(同6.0%減)となった。売上高は、防災・減災、国土強靭化対策の推進により公共投資が底堅く推移し、民間投資も回復基調の兆しが見られるなど、好調に推移した。各利益は、受注競争の激化や原材料価格・エネルギー価格の高騰の影響が継続したため、減益となった。事業別では、基礎事業が売上高4,825百万円(同14.7%増)、営業利益48百万円(同20.7%減)となった。民間の工場建設などによりコンクリートパイルの出荷が好調に推移し、前年同期比で大幅増収となった。下水道関連事業は、売上高2, 463百万円(同21.6%増)、営業利益360百万円(同10.9%減)となった。気候変動の影響による気象災害の激甚化・頻発化、切迫する大規模地震、社会インフラの老朽化などを背景とする防災・減災、国土強靭化対策に向けた需要は旺盛であり、同社の高付加価値製品の営業活動が奏功した。太陽光発電・不動産事業は、売上高376百万円(同2.4%増)、営業利益223百万円(同6.6%増)となった。太陽光発電は、NH東北太陽発電所、NH岡山太陽光発電所ともに順調に推移したほか、不動産賃貸収益も堅調に推移した。その他は、売上高12百万円(同26.7%減)、営業利益9百万円(同33.7%減)となった。



2. 2023年3月期の業績見通し

2023年3月期の連結業績見通しは、売上高32,000百万円(前期比8.5%増)、営業利益1600百万円(同10.3%増)、経常利益2,500百万円(同1.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,800万円(同15.7%減)となった。2021年3月期から続いた減収・営業減益トレンドが、増収・営業増益に転換する計画である。鋼材価格がもう一段値上がる可能性はあるものの、都市防災や脱炭素ソリューション製品に関する引き合いは強く、基礎事業では公共構造物や物流倉庫関連、下水道関連事業では引き続き防災・減災関連の高付加価値製品で業績拡大を見込んでいる。



3. 技術開発戦略

地球温暖化、脱炭素社会、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)など、社会・経済環境は大きく変化してきている。同社は、これらの社会課題を解決すべく、これまで培ってきたプレキャストコンクリート製品(以下、プレキャスト製品)の技術開発に取り組んでいる。同社においては「技術開発の推進により企業価値向上を目指す」という考えが浸透していることから、基礎研究の成果は、応用研究・開発を経て技術として成長し、生産そして営業・販売とつなげていく。同社は2024期3月期(2023年度)を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「21-23計画」を進めている。このなかで、成長に向けた戦略の1つとして技術開発の強化を挙げている。具体的には1)「環境問題、社会問題を踏まえた製品開発、技術開発の強化を図る(研究開発投資の強化)」、2)「デジタル化に対応する設計技術のプラットフォームの構築、サービスの向上に取り組む」、3)「⽣産の更なる効率化、デジタル化による品質管理の合理化を推進するため、⽣産技術、施工技術開発の強化を図る(設備投資の強化)」である。



■Key Points

・2023年3月第1四半期は、防災・減災、国土強靭化対策の需要を受け好調。原材料価格高騰などは続くも、おおむね会社計画線上で推移

・2023年3月期は、基礎事業や下水道関連事業が堅調に推移し、前期比8.5%増収、同10.3%営業増益となり、減収・営業減益のトレンドが転換する見通し

・成長戦略の1つとして技術開発の強化を掲げ、コンクリートテクノロジーによる都市防災や脱炭素ソリューション製品の開発を推進



(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)