■業績動向



1. 2023年3月期第1四半期の業績概要

酒井重工業<6358>の2023年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が6,865百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益が448百万円(同121.7%増)、経常利益が516百万円(同140.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が402百万円(同160.9%増)となった。



国内は、国土強靭化加速化対策を背景として堅調な販売が続き、売上高は堅調に推移したが、原材料費やエネルギー価格の高騰などコストアップが先行し、コストアップに比べて価格転嫁が遅れたことから利益は伸び悩んだ。一方で海外は好調に推移した。特に米国とインドネシアで需要回復が進展し増収増益となったほか、ベトナム市場が好調に推移した。第1四半期の業績予想は開示されていないが、計画を上回る着地となったようだ。



売上総利益率は25.6%(前年同期は23.7%)と改善したが、主に販売価格の改定と物流効率化による。これに増収効果も加わり売上総利益は1,754百万円(前年同期比21.5%増)となった。一方で販管費は、行動制約状態からの事業活動再開に伴い旅費交通費が増加したほか、人件費の増加などにより同5.2%増となったが、増収により販管費率は前年同期の20.4%から19.0%へ低下した。この結果、営業利益は大幅な増益となった。



営業利益の増減要因を分析すると、増収による増益が183百万円、原価率の改善による増益が126百万円、販管費の増加による減益が64百万円(内訳は人件費19百万円増加、技術研究費18百万円増加、旅費交通費12百万円増加、その他費用15百万円増加)であった。



2. 地域区分別の動向

2023年3月期第1四半期の地域区分別売上高については、全体的に堅調に推移した。国内では国土強靭化加速化対策を背景に道路・土木関連工事などの公共投資関連が堅調に推移したことから、売上高は2,811百万円(前年同期比1.7%増)となったが、計画に対してはやや下回ったようだ。これは、世界的な物流の混乱等による部品調達の遅れにより一部で出荷が停滞したためで、需要そのものが弱かったわけではない。別の見方をすれば、部品が計画どおり調達できていれば、売上高はさらに伸びていた可能性が高い。



海外では、主要な市場での建機需要の回復が進んだことから、売上高は4,053百万円(同22.0%増)と大幅な増収となった。このうち北米は、好調な建設投資を背景として力強い需要回復が進展したことに加え、代理店開拓を進めたことによるシェアアップ効果もあり、売上高は1,729百万円(同25.6%増)となった。アジアでは、以前から好調であったベトナムに加え、停滞していたインドネシア市場でも需要回復が進んだ結果、売上高は2,184百万円(同22.6%増)となった。その他は140百万円(同15.2%減)となったが、全体への影響は軽微であった。





財務基盤は安定、手元の現金及び預金は9,391百万円と豊富



3. 財務状況

2023年3月期第1四半期末の財務状況について、流動資産は前期末比491百万円増の25,566百万円となったが、主に現金及び預金の増加1,397百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権を含む)の減少831百万円、棚卸資産の増加250百万円などによる。固定資産は同86百万円増の12,869百万円となったが、主に有形固定資産の増加156百万円、無形固定資産の減少45百万円、投資その他の資産の減少24百万円などによる。この結果、資産合計は同577百万円増の38,436百万円となった。なお、2023年3月期第1四半期末の現金及び預金は9,391百万円と高水準だ。



一方で、負債合計は前期末比170百万円増の14,867百万円となったが、主に流動負債のうち買掛債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の減少75百万円、短期借入金の増加162百万円、固定負債の減少6百万円などによる。純資産合計は同407百万円増の23,568百万円となったが、主に配当金の支払い等による利益剰余金の減少39百万円、為替換算調整勘定の増加485百万円、その他有価証券評価差額金の減少39百万円などによる。この結果、2023年3月期第1四半期末の自己資本比率は61.2%(前期末は61.1%)となった。



同社では、バランスシートのスリム化に注力してきたが、その成果として2023年3月期第1四半期末の正味運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は前年同期末比2.3%増(同212百万円増)の9,273百万円となった。主に棚卸資産の増加(同691百万円増)、売上債権の増加(同294百万円増)によるが、販売(売上高)が堅調に推移したことから、売上高/棚卸資産回転数は、前年同期比0.25回改善して年間3.67回に向上した。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)