■要約



戸田工業<4100>は、酸化鉄で培った微粒子合成技術を深化させ、光学レンズ研磨剤用高純度酸化鉄、一世を風靡したオーディオテープなどで使われる磁性酸化鉄、複写機・プリンター向けのトナー用材料、さらにはスマートフォンで多用される積層セラミックコンデンサ(以下、MLCC)向けに誘電体材料、電気自動車(以下、EV)等で利用拡大が続くリチウムイオン電池用材料などで事業を拡大してきた。現在、機能性顔料事業(各種着色材料、環境関連材料)と電子素材事業(磁石材料、誘電体材料、軟磁性材料、リチウムイオン電池用材料等)の2事業で事業展開している。



1. 2022年3月期の業績概要

2022年3月期の連結業績(新会計基準)は売上高35,332百万円(前期比34.9%増)、営業利益2,519百万円(同2,508百万円増加)、経常利益4,184百万円(同4,784百万円改善し黒字転換)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,116百万円(同7,258百万円改善し黒字転換)となった。機能性顔料事業は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの回復で複写機・プリンター向けの材料が大幅に回復、売上高は13,562百万円(同10.2%増)、営業利益は2,124百万円(同69.0%増)となった。電子素材事業も自動車市場におけるCASEの進展、情報通信市場のICT普及加速で磁石材料、誘電体材料を中心に売上が伸長、売上高21,770百万円(同30.3%増)、営業利益3,285百万円(同118.3%増)となった。2事業でのセグメント利益は5,410百万円(同95.8%増)、全社費用が2,890百万円(同5.1%増)に止まり、営業利益が大幅に増加した。また経常利益は持分法適用関連会社の収益が好調に推移、持分法による投資利益が1,520百万円(同2,351百万円改善し投資損失から投資利益に)、円安による為替差益151百万円(同117百万円増)などもあり、営業外収支が大きく改善、大幅に黒字転換し1983年3月期以来の4,000百万円超となり、歴代3位の経常利益水準まで回復した。さらに特別損益項目では減損損失が178百万円(同2,045百万円減少)に止まり、親会社株主に帰属する当期純利益も1984年3月期の2,642百万円を抜き、過去最高を更新した。



2. 2023年3月期の業績見通し

2023年3月期会社予想は売上高40,000百万円(前期比13.2%増)、営業利益1,600百万円(同36.5%減)、経常利益2,500百万円(同40.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,500百万円(同51.9%減)とした。売上高は市況に連動する分での伸びが見込まれるものの、利益面では原材料及びエネルギー価格高騰等の影響を受けて大幅反落を想定している。



3. 中期事業計画の進捗

2022年3月期〜2024年3月期の中期事業計画「Vision2023」について同社は営業利益で2022年3月期に最終年度の計画値を上回り、売上高についても2023年3月期に40,000百万円予想ということで、大幅な超過達成が見通せる状況となっている。今回、次世代分野として環境関連、軟磁性材料を加えて5分野について事業拡大を図るとしているが、この他にも革新的な材料開発が他にも進んでいるとのこと。同社の過去最高営業利益は1984年3月期の5,030百万円であり、売上高、親会社株主に帰属純利益ではすでに過去最高更新となっているが、早晩、営業利益についても戦略製品の拡大で上回ってくるとみられ、2023年に迎える創業200周年を超えてもさらなる成長を目指し、2024 年以降のビジョンとして「Go Beyond 200」の策定を進めており、新たな飛躍に期待が高まる。



■Key Points

・2022年3月期の連結業績(新会計基準)は34.9%増収、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を更新

・2023年3月期は13.2%増収予想ながら、原材料高などを想定し36.5%営業減益予想

・創業200周年目標の「Vision2023」は実質前倒し達成となり、創業200周年以降のビジョン「Go Beyond 200」でさらなる飛躍を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)