■今後の見通し



1. 2023年3月期の業績見通し

戸田工業<4100>の2023年3月期会社予想は売上高40,000百万円(前期比13.2%増)、営業利益1,600百万円(同36.5%減)、経常利益2,500百万円(同40.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,500百万円(同51.9%減)とした。売上高においては電子素材事業で自動車市場のCASE進展、情報通信市場のICT普及拡大、機能性顔料事業では世界的な経済活動再開などで増収見通しも、営業利益は原材料及びエネルギー価格高騰等の影響を加味して営業減益予想となっている。2023年3月期は減益を余儀なくされるものの、2024年3月期を含め、2021年8月に策定した中期事業計画3カ年合計での達成を目指すとしている。



事業別では電子素材事業260億円、機能性顔料事業140億円予想としているが、電子素材事業では原料価格上昇による見かけの売上拡大も含まれており、実質的な数量的な伸び率は低いとみられる。現在、自動車においては半導体不足や中国ロックダウンの影響、スマートフォンも同様に生産が停滞、この中でウクライナ情勢を反映してエネルギー、原材料価格が高騰し、さらには日米金利差拡大で円相場が大幅な円安となっており、同社収益のかく乱要因となっている。



2. 2023年3月期第1四半期の業績と上期見通しの修正

2023年3月期第1四半期の業績が8月8に開示され、売上高9,708百万円(前年同期比18.8%増)、営業利益853百万円(同33.2%増)、経常利益1,170百万円(同11.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益852百万円(同9.8%減)となった。事業セグメント別動向では電子素材事業が売上高5,795百万円(同13.5%増)、セグメント利益1,055百万円(25.7%増)と、基幹事業の磁石事業中心に販売が好調、特に磁気特性に優れた希土類ボンド磁石材料がEV/HEVモーター用途として需要が増加したほか、子会社化した江門協立磁業高科技有限公司の連結も寄与した。機能性顔料事業も売上高3,913百万円(同27.6%増)、セグメント利益514百万円(同8.0%増)と、主に複写機・プリンター向け材料、塗料向け材料、触媒向け材料など総じて好調に推移、原材料高等の影響で利益率は下落したものの増収効果で増益を確保した。なお、営業外収益においては円安による為替差益167百万円の計上があった一方で、持分損益が前年を299百万円下回ったことから、伸び率は鈍化した。



また、同社は第1四半期の収益が計画を上振れたことや主要原材料価格の変動を加味し、2023年3月期上期収益予想を修正した。売上高18,500百万円(期初計画比500百万円減額、前期比15.7%増)、営業利益1,100百万円(同300百万円増額、同12.7%減)、経常利益1,600百万円(同400百万円増額、同14.3%減)親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円(同300百万円増額、同35.6%減)と予想している。売上高については電池関連材料製造を手掛ける子会社において、主原料であるニッケル、コバルトの相場が想定以上の下落を減額要因としているが、数量においては堅調な推移を見込んでいる。利益面では基幹事業の磁石材料並びに着色材料で利益率の高い製品の売上が増加し、MIX良化で計画を上回る利益となる見通しだ。このため、逆算した2023年3月期第2四半期収益は営業利益が減益予想となっており、多少控え目な予想となっている。また2023年3月期通期予想については、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期、半導体不足による自動車市場への影響、原材料及びエネルギー価格の高騰、為替相場の変動など、不確実要素が多いとして、予想を変更しなかった。ただし、第1四半期の収益推移を見る限り、収益性の改善が進んでいることから、今後、収益の上方修正が期待できると弊社では見ている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)