■今後の見通し



1. 2023年3月期第1四半期の連結業績概要

巴川製紙所<3878>の2023年3月期第1四半期決算は、売上高8,894百万円(前年同期比18.0%増)、営業利益761百万円(同78.1%増)、経常利益944百万円(同61.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,150百万円(同175.9%増)となった。主力事業の好調持続に加え、円安加速で海外売上が300百万円程度嵩上げされたことも増収に寄与した。利益面では円安やウクライナ情勢による原燃料価格高騰の影響はあったが、構造改革や円安分の価格転嫁により、コストアップを吸収し営業利益は大幅増となった。また特別利益として、米国トナー工場の跡地等の売却益453百万円が計上し、親会社株主に帰属する当期純利益も大幅に膨らんだ。



全体として営業利益の334百万円の増減要因では、増販効果で500百万円、為替円安分(同期比20円円安)150百万円のプラス効果に対し、労務費、原材料高、その他経費増などで300百万円の減益影響があったとしている。なお期初に懸念していた原燃料調達難による影響は150百万円程度下期にずれて発生する見通しとした。



トナー事業は、売上高3,805億円(前年同期比43.3%増)、営業利益652百万円(同255.9%増)と、前期からのからの好調を維持した。特に海外向けが3,241百万円(同56.5%増)となり、地域別では工場撤退の北米が361百万円(222.3%増)、欧州が1,079百万円(同47.2%増)、上海ロックダウンの影響があった中国も1,297百万円(同38.9%増)となった。いずれも為替円安分を差し引いても、高い伸びとなった。国内は564百万円(同3.6%減)と緩やかな減収となった。利益面では、期初に懸念していた納入業者事由に伴う原料調達難の影響が後ずれとなったこと、収益性の高い製品の傾斜生産、加えて円安効果が寄与し、大幅増益となった。



電子材料事業は、売上高1,497百万円(同3.6%増)、営業利益156百万円(同50.2%減)となった。半導体、電子材料関連事業が好調を維持したものの、2022年3月期のスマートフォン向け光学フィルムの大口売上の反動減が影響した。利益面でも、この影響により大幅減益となった。



機能紙事業は、売上高2,628百万円(同8.5%増)、営業損失28百万円(前年同期は43百万円の損失)となった。既存事業の縮小が継続するなかで一部の好調な製品の拡販、一部価格転嫁が進んだことなどにより増収を確保、利益面では2022年3月期に実施した2台の抄紙機停機効果を含む構造改善効果などで原料価格高騰の影響を受けたものの、赤字縮小となった。



セキュリティメディア事業は、売上高908百万円(同6.5%減)、営業利益49百万円(同23.5%増)と、通帳類の減収と2022年3月期の特需による反動減で減収、利益面では固定費減で増益となった。



新規開発事業は新製品上市で売上高17百万円(同39.8%増)、営業損失111百万円(前年同期は103百万円の損失)となった。





2023年3月期は5.2%増収、24.3%営利減予想へ修正。しかし、為替前提などを変更しておらず再見直しも

2. 2023年3月期の連結業績予想

2023年3月期通期の連結業績は2022年7月に増額修正し、売上高34,500百万円(前期比5.2%増)、営業利益1,500百万円(同24.3%減)、経常利益1,550百万円(同32.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,500百万円(同9.1%減)予想とした。



業績予想の修正について、上期は売上高1,000百万円、営業利益600百万円、経常利益750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益750百万円増額となった。下期は売上高を変更せず、営業利益で100百万円、経常利益で300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益250百万円減額予想とした。



同社はセグメント別予想を開示しておらず、増額修正の中身は不明であるが、売上高は主力のトナー事業の好調、半導体、電子部品の好調持続による増額修正と見られる。加えて、為替影響が売上で1円の円安で60百万円のプラス効果、営業利益で30百万円程度のプラス効果となるもようだ。しかしながら、通期予想は下期の不透明感、原材料調達難に伴うコスト高が下期にずれる分を加味して慎重な予想となったと弊社は推測している。なお為替前提が1米ドル=130円程度となっており、今後のさらなる円安による影響が加味されていないことから、2023年3月期収益の再増額修正が行われると弊社は見ている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)