■業績動向



1. 事業環境

2022年3月期から2023年3月期にかけて、日本経済はコロナ禍の影響による停滞感は残るものの、製造業を中心とした設備投資の再開などにより、回復の兆しを見せはじめている。橋本総業ホールディングス<7570>が属する建設業界においても、持家・貸家・分譲といった民間住宅投資、事務所・工場・倉庫などの民間非住宅投資が増加しているほか、公共投資やリフォーム投資もプラスで推移している模様である。なかでもリフォーム・リニューアル・リノベーションといった新しい生活様式に関連する需要が好調で、中長期的にも拡大が期待されている。一方、半導体などの部材不足や一部商品の供給遅延に伴う素材価格の高騰により、多くのメーカーが価格改定を進めている。同社では商品の安定供給を図るため、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力したほか、仕入先との連携を強化して代替品提案や納期管理などを行っている。





2022年3月期業績は増収増益、全セグメントで増収



2. 2022年3月期の業績動向

2022年3月期の業績は、売上高137,606百万円(前期比4.5%増)、営業利益2,504百万円(同1.0%増)、経常利益3,424百万円(同3.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,407百万円(同7.8%増)となった。2022年3月期から「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、旧基準と比較し売上高で2,999百万円、営業利益で505百万円それぞれ減少した。しかしながら、営業利益の減少は営業外費用から仕入原価に振替したものであり、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益については当該基準等適用の影響はない。また、当該基準等の適用により、売上高については、手数料(口銭)商売にもかかわらず仕入と売上が立っていた取引が口銭だけの計上に、売上割引については、金利収入扱いから売上値引きと同様の扱いとなる。



一部商品の供給遅延等に対して同社は、在庫、配送機能、情報力という卸機能を活用することでカバーした。また、安定供給が困難となった商品については、代替商品や部材を調達することで機会損失を極力排除した。供給が細るときに在庫をしっかりと積み、配送を滞らせず、情報を的確にスピード感を持って的確に発信することで、取引先との関係をより緊密に築けたようだ。各セグメントや各営業拠点では、在庫・物流機能を活用した安定供給、メーカー生産状況の情報発信など、機能やサービスの充実を一段と強化した。このほかにも、主要メーカーとの取り組み強化(重点商品の設定)や、会員専用Webサイト「OPS」のアイテム数拡大・顧客とのシステム連携強化を推進した。



トピックスとしては、営業ネットワークの強化が挙げられる。事業環境が堅調であることから、2020年4月に滋賀営業所を移転し1.3倍に増床、仕入先の拡販策実行のためのフリースペースを設置したほか、南関東ブロック(神奈川・相模原・川崎)での売上拡大を目指し、相模原支店の事務所及び倉庫の移転、川崎支店の新設、神奈川支店の移転を実施した。



セグメント別の業績は以下のとおりである。



管材類の売上高は39,408百万円(前期比5.8%増)となった。住宅分野では、コロナ禍により延期となっていた新築住宅の着工が進んだほか、生活様式の変化に伴いリフォーム需要が増加した。非住宅分野でも設備投資需要が回復し、大型案件の着工が進展した。第3四半期以降は、素材価格高騰による商品価格改定が続き、価格転嫁が進んだ結果、管材類の売上が伸長した。このようななかで同社は、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力し、商品の安定供給に努めた。



衛生陶器・金具類の売上高は42,226百万円(前期比4.1%増)となった。新設着工戸数におけるコロナ禍の影響は未だ収束が見られないものの、職場環境の変化に伴う移住需要の高まりに伴い増加した。リフォーム需要についても、生活様式の変化による設備の交換需要が増加した。非住宅分野は非接触商品需要の高まりに伴い、トイレの自動洗浄や水栓の交換需要が好調に推移した。一方、第3四半期以降は、商品供給の減少により温水暖房便座や一体型便器の売上が減少した。



住宅設備機器類の売上高は24,317百万円(前期比6.1%増)となった。給湯機器分野では、コロナ禍の影響に伴う半導体不足により、部材調達が困難な状況となり生産が減少した。このため、故障による取替需要については修理等で対応した。エコキュートはメーカーにより供給量が異なるものの、需要は増加した。キッチン設備はショールーム展示会やイベントなどの自粛により営業活動に制限があったものの、オンラインでの商談やショールームを予約制にするなどの対応により好調に推移した。



空調・ポンプの売上高は30,110百万円(前期比1.4%増)となった。空調機器類の需要は、補助金等の影響により上期は好調に推移した一方、下期は減少したため、通期では前期並みとなった。住宅用空調機器については、高機能タイプのルームエアコンが増加したほか、寒冷地域では暖房用としての需要が増加した。業務用空調機、汎用ポンプ、家庭用ポンプは堅調に推移した。換気扇の需要は住宅竣工件数と連動する形で推移した。また、汎用ポンプはモーターなどの部材調達が困難な状況となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)