■中期成長戦略



2. ネットワークセキュリティ事業

(1) テレワーク用VPNの販売強化

コロナの発生を皮切りに総務省のテレワーク普及促進も後押しして在宅勤務のスタイルが急速に広まり、一般化した。それにより、セキュリティレベルの高いリモートアクセス(テレワーク・モバイル用の遠隔暗号通信ネットワーク)の需要が急速に増え、「Verona」サービスの契約数も例年と比較して高い伸長率となっている。今後も恒常的なリモートワークの流れは変わらないと予想され、網屋<4258>もさらなるサービスの機能拡張と販売促進を行い、事業の拡張を図る戦略である。



(2) 無線LANサービスの販売強化

コロナ禍で企業のネットワーク環境の見直しが進み、有線ケーブルを敷設せずに構築できる無線LANの設備導入が加速している。同社のクラウド無線LANサービス「Hypersonix」は、2021年12月期末までの5期で8倍の売上成長率、1,000社以上の導入を達成している。今後も恒常的にニューノーマルオフィス形態が継続すると予想されるため、「Hypersonix」の販売促進を強化する戦略である。



(3) 運用代行サービスの強化

少子化による国内人口の減少と比例する形で、ITエンジニア人材の不足も顕著になっている。企業では社内エンジニアの不足から、ネットワークセキュリティベンダーによる運用・監視への委託需要が一層強まると思われる。企業のIT投資が、人材派遣型の労働集約モデルから、社内に人材や資産を持たないクラウドサービスにシフトする可能性は今後も高く、顧客の情報システム業務全般を代行・支援するサービス「ランサポ」の需要は一層高まると思われる。今後はさらなるサービス体制の強化、効率化に取り組み、事業を拡大する戦略である。



(4) 「UniFi」製品の販売開始

クラウドネットワーク機器でグローバル販売実績上位の米国Ubiquiti社製「UniFi」製品は、高性能なインターネットゲートウェイ、スイッチ、無線アクセスポイントをシームレスに統合管理できるSDN※製品である。高性能ながらも価格競争力も高く、クラウドネットワークに適した機能を有していることから、同社のクラウドサービス内で利用する機器としてだけでなく、物販流通も今後積極的に展開する戦略である。



※Software-Defined Networkの略称。ソフトウエアを用いてルータなどのネットワーク機器やファイアウォールを一元的に管理、制御することで、柔軟かつ迅速にネットワーク構成を制御する技術の総称。





(5)「クラウドカメラ」

2022年6月に「Network All Cloud」のラインナップとしてクラウドネットワークに監視カメラを搭載した「クラウドカメラ」の提供を開始している。ターゲットは、大学や病院、外食産業、小売事業のような拠点数の多い大型の法人顧客である。当該サービスでは、AIで様々な自動追尾や分析が実施可能なうえ、すべてをクラウドデータとして管理せずとも、端末からインターネットを通じてカメラの監視状況、映像を即座に認識できるようにしている。当該分野においても、世界的な半導体不足の影響を受け、カメラの供給不足が発生しているものの、国産製品等の代替製品の調達により現時点では回復しているとみられる。第3四半期以降、多くの受注が期待される。



(6)「ゼロトラスト」

同社は「ゼロトラスト」という新しい領域の研究開発を進めており、2022年12月期下期(12月)にリリースする予定である。企業における従来のネットワーク構成は、様々な場所から、いったん本社のネットワークに通信を集中させ、そこからインターネット通信を行うといった構成が多い。ただ、足元ではテレワークやモバイルネットワークの拡大がみられ、本社を経由せずに直接通信を行う場合も増えてきている。その場合、通信の脆弱性を担保できず、セキュリティも担保できないという状態となり、そのことが問題視されてきた。さらに、本社に通信が集中するため、ネットワークの通信経路上にボトルネックが生じ、非常に効率の悪い通信環境になることも課題となっている。このような問題の対応策として生まれた新しい概念が「ゼロトラスト」である。ゼロトラストを開発すればソフトウエアで制御きるため、モビリティや電化製品などのIoTにすべて搭載できることになる。あらゆる通信ネットワークをセキュアな状態に自動的に変換することができるという新しいモデルといえ、今後の需要拡大が期待される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)