■今後の見通し



2. 中期計画の進捗状況

サイバーコム<3852>は、3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023〜増収増益の継続〜」を2021年12月期からスタートしている。基本方針として、1) 満足度の追求、2) サービス提供型ビジネスへの転換、3) 戦略的投資による拡大(事業拡大投資、人財投資、システム投資)の3点に取り組むことで持続的な収益成長を目指している。また、サステナブルな社会の実現や働き方改革への取り組みが求められるなか、環境経営方針も策定し、「『環境』と『暮らし』をICTで支える」をテーマに、事業活動を通じて様々な社会課題の解決に貢献していく方針だ。



外部環境としては、コロナ禍を契機としてテレワークが普及するなどワークスタイルの変革が起こるとともに、情報セキュリティ対策の重要性が高まるなか、5Gの商用化やAI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、AR/VR技術の実用化によって様々な市場が立ち上がっている。また、企業の情報システムもクラウドへの移行が進行するなど、DXに対する取り組みが活発化している。これらの技術を支えるソフトウェア開発の需要も旺盛で、同社にとっては追い風が続いている状況にある。



こうしたなか、最終年度となる2023年12月期の業績目標として売上高17,200百万円、営業利益1,060百万円を掲げていたが、1年目の2021年12月期は当初計画(売上高14,400百万円、営業利益850百万円)を上回り、2年目の2022年12月期も計画を上回るペースで進捗するなど順調で、営業利益については1年前倒しで達成する可能性も出てきていると弊社では見ている。この要因としては、企業のDX投資が旺盛で良好な外部環境が継続していることに加えて、成長を実現していくうえで必要な戦略的投資を着実に取り組んできたことが挙げられる。エネルギー価格の高騰やコロナ禍が長引くなかで、景気の先行きについて楽観視できないものの、同社は以下の施策に注力することで持続的な成長を目指していく。



(1) ソフトウェア開発事業

ソフトウェア開発事業の成長戦略としては「変化&創造」をテーマに掲げ、DX対応力の強化や対応領域の拡大、直接受注の拡大に取り組むことで継続的な売上成長を目指す。



a) 通信ソフトウェア開発

通信ソフトウェア開発では、5G/ローカル5G関連の需要拡大に対応するために技術者の増強・育成を図るほか、超高速モバイルIP制御、通信基盤の仮想化、IoT技術領域の拡大などが今後の戦略テーマとなる。特に5G/ローカル5G関連では、ローカル5Gを活用した新サービス等の開発プロジェクトが増加しており、5Gコアネットワーク装置関連の開発案件減少をカバーしていくものと見込まれる。また、2030年頃の実用化が見込まれている6Gの開発プロジェクトでも同社が活躍する余地は大きい。



6Gでは5Gの10倍の超高速・大容量通信が可能となるほか、1/100の低消費電力、宇宙空間・海上も含めた地球規模でのエリア化の実現に向けて、通信技術の飛躍的な進化を目指している。NTTやNEC、富士通等は6Gの研究開発及び実証実験を2022年から共同で開始することを発表している。具体的には、6GHz以上のミッドバンドからサブテラヘルツ帯の活用に向けた分散MIMO技術※1と、高周波数帯電波の空間多重により大容量化を実現するOAM多重伝送技術※2の研究開発・実証実験に取り組んでいく。また、NECは小型・低消費電力化に向けたデバイス技術、高精度なビームフォーミング技術、高周波数帯に適した伝送方式や伝搬モデル、AIを活用した最適化や信号処理技術などの研究開発を推進する予定で、開発費用は5Gと比較し格段に増えることが予想される。同社は、5G基地局やコアネットワーク装置の開発並びに基地局の評価検証サービスを手掛けてきた実績から、6G開発案件受注の可能性は高く、売上規模も5G開発案件より大きくなることが期待される。



※1 エリア内に分散して配置された基地局のアンテナとユーザ端末との間でMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送を行う技術。直進性が高く遮蔽物の影響を受けやすい高い周波数帯であっても通信の安定性を高めることが期待され、6Gの高い周波数帯を有効に活用するために有望とされている。

※2 異なる軌道角運動量(Orbital Angular Momentum::OAM)の状態(OAMモード)を持つ複数の電波にそれぞれ信号を乗せて無線伝送をすることで、同時に送信するデータ信号の数(多重数)を増加させる技術。従来から使用されている偏波多重と組み合わせることで、さらに高い周波数利用効率と大容量化を実現できる。課題である伝送距離を拡大するためには、ミリ波・サブテラヘルツ波の利用が望まれている。





b) 制御ソフトウェア開発

制御ソフトウェア開発では、AI技術を活用したロボット制御分野への挑戦と、車載システムのなかでも今後の成長が見込まれるCASEやMaaS等の先進技術が要求されるモビリティ分野に注力していく。また、自動車分野においても、自動運転技術の実現には高速無線通信技術が必要とされるため、同領域で高い技術開発力を持つ同社にとっては受注拡大の好機になると弊社では見ている。



c) 業務ソフトウェア開発

業務ソフトウェア開発では、クラウド技術者(AWS、Microsoft Azure、GCP)やAI(画像認識、予測)・RPA技術者の増強による受注能力の拡大に加えて、IoT技術をベースとしたDX対応技術の高度化や、スマートデバイスへの対応力強化に取り組むことでさらなる成長を目指す。特に、需要が旺盛なクラウド関連やIoTソリューションに対応していくための技術者の採用・育成が成長のカギを握ると見られる。また、景気変動の影響を受けにくい公共分野についても注力していく方針だ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)