■業績動向



1. 2023年3月期第1四半期累計業績の概要

ビジネス・ブレークスルー<2464>の2023年3月期第1四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比11.1%増の1,691百万円、営業利益が同67.5%減の10百万円、経常利益が同78.1%減の7百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が2百万円(前年同期は7百万円の利益)と増収減益となった。売上高は法人向け研修・人材育成サービスが好調に推移したほか、インターナショナルスクール事業(プラットフォームサービス事業)において生徒数が順調に増加したこと、2022年3月期に子会社化したブレンディングジャパン(2021年5月子会社化)や日本クイント(同年11月子会社化)の売上貢献などもあって、第1四半期累計として過去最高を更新した。



一方、利益面ではリカレント教育事業の損失額が増収効果により縮小したものの、2022年1月に開校した「AJIS文京キャンパス」の賃借料やその他固定費の増加によってプラットフォームサービス事業が減益となり、全体の営業利益を押し下げる要因となった。ただ、会社計画比では売上高、利益ともにおおむね順調な滑り出しとなったようだ。



(1) リカレント教育事業

リカレント教育事業の売上高は前年同期比13.5%増の758百万円、セグメント損失は55百万円(前年同期は83百万円の損失)となった。事業別の状況は以下のとおり。



a) University事業系

2022年度春期における入学者数の状況は、BBT大学経営学部が前年同期比18名減の72名、BBT大学大学院が同12名増の88名となった。BBT大学については新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によって増加したオンライン教育に対する需要が沈静化した影響で減少に転じたものの、ポストコロナ時代に向けたグローバル人材の育成ニーズの高まりを背景に、BBT大学大学院の入学者数が増加に転じた。また、BOND-BBT MBAプログラムは、コロナ禍以降にMBA取得を目的とした海外留学の需要を取り込んできたが、こうした需要もやや一巡したことで2022年5月期の入学者数は23名と若干減少した。ただ、年間ベースでは平年並みの入学者数が見込める状況となっている。



また、在籍生徒数で見ればBBT大学経営学部が前年同期比横ばい、BBT大学大学院については増加傾向となっており、Univercity事業系全体の売上高は堅調に推移したものと見られる。なお同社では時代の趨勢に合わせて、科目新設や既存科目の改定を適宜実施しており、BBT大学大学院では2022年春にリーダーシップ、論理的思考力、財務などMBAコースの必修科目について改定を行った。



b) 法人向け人材育成事業系

法人向け研修・人材育成サービスは、ポストコロナ時代に求められる人材の育成ニーズが高まるなかで、若手向け経営人材育成プログラムやDX関連プログラムなど最新のプログラムを提供することで他社との差別化を図り、同社が強みとするオンライン研修に対するニーズを取り込むことができた。また、経営者や人材育成担当者を対象としたオンラインセミナーを開催するなどマーケティング強化に取り組んだこともあり、第1四半期における新規取引社数も42社と目標を45%上回る好調な滑り出しを見せた。



次世代の経営人材育成ニーズが高まるなかで、同社独自のケーススタディメソッド「Realtime Online Case Study (RTOCS)」を活用した経営幹部候補生向けの「BBT経営塾」も引き続き数百人規模の受講生を獲得し堅調に推移した。そのほか、2021年3月期より開始している受講生1人ひとりのキャリアプランや企業の育成ニーズに合わせてカリキュラムを提供する「BBTパーソナライズ」も前年同期比2倍増のペースで成長を続けるなど各種サービスが全般的に伸長した。



c) 英語教育事業系

英語教育サービスについては、同社が運営する18歳以上のビジネスプロフェショナルを対象としたグローバル人材開発プログラム「PEGL」や、2022年4月より新たに開始した3歳〜15歳を対象としたオンライン英語バイリンガルスクール「GO School」、ブレンディングジャパンが運営する子ども専用オンライン英会話スクール「ハッチリンクジュニア」の3つのサービスを提供している。また、ブレンディングジャパンでは学校・学習塾向けサービスも提供している。2023年3月期第1四半期の売上高はブレンディングジャパンが加わった効果もあり前年同期比で増収となったようだ。



「PEGL」については2022年7月にリニューアルを実施し、学習プロセスにAI技術を導入した「ビジネス英会話AI」コースの提供を開始した。発音やアクセント等をAIによって分析・評価するアプリ「ELSA(エルサ)※」を実装したプログラムである。また、「GO School」は同社及びアオバ、ブレンディングジャパンのノウハウを結集したサービスで、2022年4月より提供を開始した。英会話能力の向上やインターナショナルスクールへの進学、英語での中学受験を検討している子ども向けのサービスである。Webプロモーションにより集客し、オンライン説明会や無料体験などを通して生徒を獲得する戦略だ。



※ELSA(English Language Speech Assistant)は英語をより正しく話せるようになるためのAIパーソナルコーチアプリで米ELSA Co Ltd.が開発した。独自の音声認識技術により、スピーキングの弱み(発音、アクセント、イントネーション、流暢さ、語彙力、文法)を特定し、短期間で改善することができる。世界100ヵ国以上、4,000万人のユーザーに利用されている。





ブレンディングジャパンが運営する「ハッチリンクジュニア」は個人会員が約2,800人、法人会員(学校・学習塾)の学習者数が約2,000名と順調に増加した。2022年4月には兵庫県加古川市の全12校、約7,000名の中学生を対象としたオンライン英会話委託事業を3年契約で受注した(受注額は数千万円程度)。今後も日本全国の教育委員会・自治体を中心とした教育機関への営業強化に取り組み、導入拡大を推進する。



d) ITマネジメント事業系

ITマネジメント事業系の売上高は、2022年3月期に日本クイントをグループ化した効果もあり2ケタ増収となった。企業のDXへの取り組みが進むなか社内におけるDX人材の育成ニーズが高まっており、顧客層が従来のIT企業のみならず幅広い業種に広がっていることや、オンライン講座の拡充に取り組んだことで受講者数が順調に拡大した。とりわけ、BBT大学総合研究所とITPJが共同開発したプログラム「DX推進 基礎講座〜業務の視点から考える〜」(2021年9月開講)の累計受講者数が100名を超え、企業のDXを後押しする有力なトレーニングプログラムとして成長するなどシナジーも顕在化し始めている。



ITPJと日本クイント(2022年4月にITPJに吸収合併)とのシナジーについては、双方が保有する教育コンテンツを総合的に組み合わせたサービスメニューの強化や、営業チャネル及び顧客ベースの共有化による既存顧客との取引拡大並びに新規顧客の拡大が見込まれる。ITPJの強みであるコンテンツビジネス(教育事業者及び社内講師を抱える顧客企業へのテキスト・試験の販売や講師派遣)と、日本クイントの強みであるソリューション提供(企業に対する人材育成計画の作成支援、研修開発と提供、コンサルティング)のシナジーによって競争力が向上し、さらにBBTとのコラボレーションも進めることで、DXに取り組む企業の顧客開拓を推進する。直近も大手企業と大型案件の商談が進んでいるもようで、今後も高成長が期待される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)