■要約



サイバーリンクス<3683>は、主に流通業と官公庁向けに基幹業務システム等を提供するITサービス会社である。事業セグメントについては、2020年12月期まではITクラウド事業とモバイルネットワーク事業の2本柱であったが、2021年12月期からは流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業の4つに変更している。同社が提供するクラウドサービスは、共同利用する「シェアクラウド」であり、高機能・高品質でありながら低価格を実現している点が特色であり強みとなっている。また、モバイルネットワーク事業は、(株)NTTドコモの2次代理店としてドコモショップの運営を行っている。



1. 2022年12月期第2四半期の業績概要

2022年12月期第2四半期の連結業績は、売上高6,233百万円(前年同期比9.2%減)、営業利益729百万円(同26.0%増)、経常利益732百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益487百万円(同20.1%増)となり、経常利益は上期として過去最高を達成した。期初計画に対する達成率については、売上高は97.0%と若干下回ったものの、経常利益123.7%など各利益は計画を上回り、好調な結果であったと言える。セグメント別では、流通クラウド事業は、クラウドサービスの提供が拡大したことで定常収入が着実に増加し、さらにソフトウェア償却費も減少したことからセグメント利益率が向上し、大幅な増収増益となった。官公庁クラウド事業は、防災行政無線デジタル化工事等の特需が2021年12月期第1四半期までに終了した影響により減収となったが、比較的利益率の高いスポット案件等が計上され粗利率が改善したことから増益となった。トラスト事業は、事業化の加速を担い、新サービスの開発など積極的な研究開発投資を続けていることから依然として損失を計上しているが、損失幅は縮小した。モバイルネットワーク事業は、端末販売台数が減少したことに加え、NTTドコモからの支援金が減少したことから、減収減益となった。



2. 2022年12月期の業績見通し

2022年12月期の連結業績は、売上高13,267百万円(前期比0.2%増)、定常収入6,849百万円(同2.5%増)、営業利益1,043百万円(同10.4%増)、経常利益1,046百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益670百万円(同3.8%増)とする期初予想を据え置いた。主力の流通クラウド事業が拡大期に入ることなどから、3期連続の増収増益・過去最高益の更新を目指す。セグメント別では、流通クラウド事業は定常収入の積上げなどから増収増益予想だが、官公庁クラウド事業は前期までの特需の反動により減収減益予想としている。トラスト事業は2021年12月期に始動したサービスの提供拡大等により増収を見込むものの、大胆な投資を継続することから、損失計上を予想している(損失幅は縮小見込み)。モバイルネットワーク事業は厳しい経営環境が続くが、顧客ロイヤルティの向上に努めることで収益の安定化を図り、増収減益を見込んでいる。しかし、上期実績が計画を大きく上回ったことを考慮すると通期予想の据え置きはかなり控えめと言え、上方修正される可能性は高いと弊社では見ている。



3. 中期経営計画

同社は2021年2月に、2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。基本方針としては『「トランスフォーメーション2025」〜業界、顧客企業とともに、DXで生産性向上〜』を、数値目標としては、最終年度の2025年12月期に売上高145億円、経常利益16億円、経常利益率11.0%、定常収入90億円、定常収入比率62.5%、ROE13%以上を掲げている。しかし、2021年12月期及び2022年12月期第2四半期実績が計画値を上回って推移していることに加え、2022年7月に子会社化した(株)シナジー※が2023年12月期第1四半期から連結対象となることから、同社は中期経営計画の見直しの検討を発表した。現時点において発表時期は未定であるが、その内容が注目される。



※2022年9月末日をみなし取得日とし、2022年12月期第3四半期及び2022年12月期は貸借対照表のみを連結する予定。損益計算書の連結は2023年12月期第1四半期からを予定している。





■Key Points

・シェアクラウド、流通業界向けに特化したユニークなITベンダー

・2022年12月期第2四半期は流通クラウド事業の収益性が大きく改善し、トラスト事業での先行投資を吸収

・2022年12月期は前期比9.1%経常増益とする期初予想を据え置いたものの、上振れの可能性も

・足元の業績は好調で経常利益率が計画以上に改善。新規子会社の連結化等を踏まえ、中期経営計画の見直しを検討



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)