■業績動向



1. 2022年7月期の業績概要

アイル<3854>の2022年7月期の連結業績は、売上高が12,944百万円、営業利益が2,100百万円、経常利益が2,121百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,377百万円となった。「収益認識に関する会計基準」等を適用した影響として、売上高が570百万円、売上原価が102百万円、営業利益が468百万円それぞれ増加した一方、営業外収益が1百万円減少し、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ466百万円増加した。



2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、対前期増減率は公表していない。予想比達成率については、売上高で2.7%下回ったものの、営業利益で5.0%、経常利益で4.7%、親会社株主に帰属する当期純利益で6.2%上回り、営業利益は4期連続で最高益を更新した。売上高は、会計基準変更の影響のほか、システムソリューション事業のイニシャル減少や半導体不足の影響を受け未達となったものの、第3四半期以降は回復傾向にある。利益面については、ここ数年来継続している売上総利益向上施策が奏功し、超過して着地した。



ストック売上高は前期比16.0%増の5,576百万円、全社売上高に対する構成比は同6.7ポイント上昇し43.1%となり、初めて40%を超えた。ストック売上総利益は同18.4%増の3,304百万円、ストック売上総利益率は同1.1ポイント上昇し59.2%となった。



全社の売上総利益率は前期比5.6ポイント上昇し52.1%となり、初めて50%を超えた。販管費率は同3.2ポイント上昇して35.8%となった。これは主に、順調な要因確保や賞与水準の引き上げによって人件費が増加したほか、大阪本社の家賃増、イベントの一部再開に係る費用の増加などだが、当初計画の範囲内で推移した。これらの結果、営業利益率は同2.3ポイント上昇し16.2%となった。営業利益の増減要因※については、増加要因としてシステムソリューション事業の売上総利益が476百万円、Webソリューション事業の売上総利益が124百万円それぞれ増加した一方、減少要因として販管費が330百万円増加(人件費が167百万円、その他販管費が162百万円それぞれ増加)した。



※2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、比較は旧会計基準との単純比較の参考値となる。







システムソリューション事業、Webソリューション事業ともに売上総利益率が上昇



2. 事業別の動向

(1) システムソリューション事業

システムソリューション事業の売上高は11,036百万円、売上総利益は5,775百万円、売上総利益率は52.3%となった。



半導体不足によるサーバー機器の納期遅延の影響を一部受けたほか、クラウド案件増加に伴うイニシャル売上減少により、売上高は計画未達となった。一方で、クラウド案件増加によるストック売上拡大、営業と開発SEの製販一体による見積精度向上、システム品質向上と安定稼働の実現、パッケージソフトウェアの継続した機能強化など、売上総利益向上施策が奏功し、売上総利益率は同6.2ポイント上昇した。また、システム規模の大きな商談やクロスセルの増加により、受注高(2018年7月期を100とした場合の指数)はイニシャルが121、ストックが183と、過去最高を更新した。



(2) Webソリューション事業

Webソリューション事業の売上高は1,907百万円、売上総利益は962百万円、売上総利益率は50.4%となった。このうちCROSS事業の売上高は1,385百万円、売上総利益は792百万円、売上総利益率は57.2%、その他Web事業の売上高は522百万円、売上総利益は170百万円、売上総利益率は32.6%であった。また、「CROSS MALL」のストック売上高は前期比14%増、「CROSS POINT」のストック売上高は同24%増と伸長した。



会計基準変更等の影響は軽微で巡行速度を維持し、引き続き越境ECとの連携強化を推進した。主力のCROSS事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による各企業のEC事業新規参入は一服感があるものの、連携パートナーや既存顧客からの紹介により新規契約者数及び解約率ともにおおむね前期並みを維持した。利益面では、「CROSS MALL」次世代サービスの開発を併行しつつも、紹介商談を拡大したことにより、高い売上総利益率を維持した。





財務の健全性は良好



3. 財務状況と経営指標

2022年7月期末の資産合計は前期末比1,126百万円増加し9,576百万円となった。主に契約資産が1,481百万円増加した。負債合計は同1百万円増加し3,861百万円となった。主に未払法人税等が127百万円増加した一方で、未払消費税等が270百万円減少した。純資産合計は利益剰余金の積み上げなどにより同1,125百万円増加し5,715百万円となった。この結果、自己資本比率は同5.4ポイント上昇し59.7%となった。



なお、営業活動によるキャッシュ・フローは1,134百万円の収入となり、一時的に減少した。これは、半導体不足による納期遅延リスク回避のためのサーバー機器等の先行仕入や、会計基準変更による売上債権(契約資産)の増加に伴うものであり、懸念材料ではない。財務の健全性は引き続き良好と弊社では見ている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)