■中長期の成長戦略



2. 海外展開

現中期経営計画以降もダイキアクシス<4245>の成長を牽引すると期待されるのは、海外事業の急拡大である。2025年12月期の海外売上高は4,000百万円、海外売上高比率8.9%を計画している。うち、半分をインドが占める見込みだ。インドでは、営業・工場・メンテナンスを担う人材の育成を進める。インドでロールモデルの確立・発展を進め、他の海外市場への展開を図る。2030年12月期の海外売上高は、さらに倍増の8,000百万円を計画している。



日本の下水道整備の展開を振り返ると、1人当たり名目GDPが1,000ドルを超えた1965年頃と5,000ドル超となった1975年頃の約10年間で、下水道普及率が全国で8%から23%へ、東京都区部で35%から63%へ拡大した。同社がターゲットする国では、2021年における1人当たり名目GDPがインドで2,279ドル、インドネシアが4,361ドルであった。下水道普及率のデータは2017年時点になるが、それぞれ18.1%と1.2%にとどまる。同年の日本の普及率は79.7%、マレーシアが76.2%であった。2021年7月時点の人口の中位年齢は、日本が48.4歳、インドが27.6歳、インドネシアが29.4歳になる。インドやインドネシアは、人口ボーナスに恵まれ、高い経済成長が見込まれるこれからの時期が下水道など社会資本を整備する時期にあたる。



インドの人口は世界第2位の14億人と日本の11倍で、2027年には中国を抜いて世界一になると予測されている。国土面積は世界第7位の328万km2と、日本の37万km2(第62位)の約9倍の大きさである。同社は、物流面を考慮して、日本に4ヶ所の生産拠点を置く。さらに多拠点で生産を展開している大栄産業(株)(本社:愛知県美浜町)と業務提携をして、相手先ブランドで製造し、製品を相互供給することでお互いの販売先に近い生産拠点から出荷する仕組みを構築し、物流コストを削減している。インドにおける委託工場は西部のムンバイにあり、自社の第1工場は北部のデリーに建設された。今後も、地域別に販売と生産のセットで市場開拓が続くことになろう。



3. ESG経営と関連するSDGs

同社のESG経営は6つのSDGsの達成に寄与する。ESG経営のE(環境=Environment)では社業を通じた環境改善の推進を図っており、SDGsの「6」(安全な水とトイレを世界中に)、「7」(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、「12」(つくる責任 つかう責任)、「13」(気候変動に具体的な対策を)を網羅する。S(社会=Social)とG(ガバナンス=Governance)では、「5」(ジェンダー平等を実現しよう)、「8」(働きがいも経済成長も)をカバーする。



(1) SDGsの6番目の「安全な水とトイレを世界中に」

成長戦略の筆頭に挙げられている「海外展開の加速」は、SDGsの6番目の「安全な水とトイレを世界中に」に深く関わっている。アジアやアフリカの新興国では、水質汚濁による環境汚染が看過できない状態となっていることから、新しい排水処理基準が導入されている。同社が手掛ける中小規模の排水処理関連分野では、現地の企業が厳格化された基準をクリアできる技術水準にない。また、高い技術力を有する海外企業も、未開拓の市場においては現地の水事情に適合したコスト競争力のある製品を供給できていない。同社は、それぞれの国や地域の水事業に適合する製品開発、厳格化された規制水準をクリアしていることを証明する実証実験と認証を取得することを心掛けている。現地で受け入れられるコストを実現するため、主要な市場において子会社や合弁企業の設立、外部への生産委託、自社による現地組立及び一貫生産など、地域と市場の発展に適した生産形態を採っている。



(2) 7番目の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と13番目の「気候変動に具体的な対策を」

2022年も、世界の広範囲で異常気象が多数発生した。長期的な雨や集中豪雨による浸水被害や洪水が多発する一方、降雨不足による干ばつと食糧危機、内陸水運への影響、水力発電の稼働低下、高温による健康被害と電力不足など、多くの国や地域が深刻な被害を被った。



日本政府は2050年の排出実質ゼロ(Net Zero)のカーボンニュートラル達成のために、2030年までの温室効果ガス排出量の削減を2013年度比46%減とする新しい目標を発表した。企業情報の開示に関して、東証はプライム市場上場企業に、気候変動によるリスク情報の開示を実質的に義務付けた。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD : Task Force on Climate-related Financial Disclosures)では、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」を開示推奨項目としている。「指標と目標」の項目では、科学に基づく目標設定のSBT認定を受けた日本企業は277社(2022年10月3日現在)に増加した。個々の企業がカーボンニュートラル実現を目指すにあたって、排出量の算定は自社施設の燃料消費(スコープ1)、自社施設で購入した電気・熱の使用(スコープ2)ばかりでなく、上流のサプライヤーによる物品製造時排出量や下流の顧客による自社製品使用時の排出量(スコープ3)まで対象が広がる。企業が自らの事業の使用電力を100%再エネでまかなうことを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」の認定企業は79ヶ国1,803社(2022年10月現在)に達した。国別では、英国が293社、日本が277社、米国が260社、ドイツが101社、フランスが94社となる。



同社は、再生可能エネルギー関連事業を成長事業と位置付け、推進している。これには、再生可能エネルギーである太陽光や風力による発電に係る売電事業、小形風力発電機の開発・製造、カーボンニュートラルなバイオディーゼル燃料事業があり、顧客のニーズに合わせて、RE100の電力や発電装置を提供する。太陽光発電では130ヶ所のDCM店舗の屋根にパネルを設置して売電事業を行うことで安定収益源を得た。卒FIT対応では、サンエイエコホームを買収・子会社化したことにより、顧客となる企業などが発電した電気を自社施設で消費する自家消費型太陽光発電への取り組みをサポートする機能を得た。荒廃農地の活用や、営農型太陽光発電、障がい者も従事できる農業生産、農業と福祉、エネルギーを連携させた新たな農福連携・営農型太陽光発電という社会課題解決型提案を提供する。小形風力発電では、FIT売電施設の系統連系目標を、2021年12月期末の12サイトから2025年12月期末には70サイトへ拡大することを目標に掲げている。環境省実証事業として3社で共同開発している小形風力発電機は、FITだけでなく、独立電源ニーズやスマート・グリッドへの活用が想定される。



住宅機器関連事業においては、環境配慮型特殊商材の販売に注力している。同社は事業全体で、コーポレートスローガンである「PROTECT×CHANGE環境を守る。未来を変える。」を体現し、ESG経営を遂行する方針である。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)