■短・中期の成長戦略



unerry<5034>は2024年6月期を最終年度として短・中期の成長戦略を策定している。リテールDXにおいては、既存業界(小売・外食)での新規顧客の獲得と新規業界(消費財メーカー)への進出によって業績を拡大する考えだ。スマートシティに関しては、日本における実績を積み重ねたうえで、グローバル市場への進出を計画している。



(1) 小売・外食向け

リテールDX事業の小売・外食業界向けの戦略として同社は、「顧客数×単価×NRRの最大化」によって売上と利益の最大化を実現する構えだ。具体的には、リカーリング顧客数の増加を目的に、販売代理店としての機能を持つパートナー制度の拡充と認知向上のために広告宣伝活動の強化を行っていく。リカーリング顧客の年間単価の向上に関しては、顧客業界に造詣の深いDX専門家の採用や短期で活躍できるスタッフを育成するために社内教育制度を拡充することによって、顧客のROIを高めることができる体制を強化する方針だ。また、成功事例を社内で共有することにより、同社全体の提案力をさらに底上げすることを目指す。NRRの最大化に関しては、AI・自動化技術による提供価値のさらなる向上と複層的な顧客リレーションの構築によって実現を目指す。AI・自動化技術による提供価値の向上には、分析結果の活用方法に関する顧客へのコンサル業務をAIにより自動化することなどを想定している。これにより、顧客が同社ソリューションを利用する際の利便性をさらに高める考えだ。



(2) 消費財メーカー向け

現在、小売・外食向けに展開しているソリューションをより川上の顧客である消費財メーカーに展開し、マーケティング費用を獲得していくことを目指す。そのために消費財メーカーが必要としているデータの蓄積を強化していく方針だ。また、分析レポートなどで提示する項目(商圏・来店数・頻度など)に関しても消費財メーカーが必要とする項目にカスタマイズし、顧客への訴求力を高めることを計画している。



(3) スマートシティ

現在は国・自治体のスマートシティ公募案件に応募をして、要件に合わせた分析や施策を実施することにより収益を得ている。今後は、これから立ち上がってくる都市OSに対応した「分析・可視化サービス」「行動変容サービス」「One to Oneサービス」を提供することにより、手数料を獲得していく。さらには、スマートシティ関連の事業を展開するプレイヤーが増えて市場規模が拡大するなかにおいて、しっかりと業績に取り込み、業績を拡大することを目指す。最終的には日本で確立したモデルをグローバル市場にローカライズしたうえで世界市場へ展開させ、TAMを大きく拡大する考えである。同社資料によると、グローバルスマートシティIoT市場は2030年までに171兆円に拡大することが予想されている。巨大な市場に参入することによって、業績拡大のスピードが加速することが期待される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)