■要約



ティーケーピー<3479>は、貸会議室ビジネスを起点とした「空間再生流通事業」を展開している。不動産オーナーから遊休不動産等を大口(割安)で仕入れ、会議室や宴会場などに「空間」を「再生」し、それを法人に小口で販売・シェアリングを行う独自のビジネスモデルに特徴がある。遊休不動産の有効活用を図りたい不動産オーナーと、低コストで効率的に会議室を利用したい法人のニーズを結び付けるところに新たな市場を創出し、高い成長性を実現してきた。国内の主要都市に239拠点・2,033室(約13.8万坪)と幅広く展開し、顧客基盤は3万社以上に上る(2022年8月末時点)。



2019年5月からは、レンタルオフィス「Regus」等を展開する日本リージャスホールディングス(株)(以下、日本リージャス)を買収すると、2021年3月にはTKPによる新ブランド「Work X Office(ワークエックスオフィス)」の立ち上げにより、貸会議室ビジネスとの親和性の高い短中期オフィス事業にも本格参入した。この2年間は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により業績は低迷してきたが、足元で回復基調にある貸会議室需要をはじめ、コロナ禍をきっかけにさらなる拡大が見込まれるフレキシブルオフィス※需要を取り込むことで成長を加速する戦略である。リージャス施設としては、日本国内で172施設(約4.4万坪)、台湾で13施設(約0.6万坪)を展開している(2022年8月末時点)。



※一般的なオフィスの賃貸借契約ではなく、より利用者の目的に対応したワークスペースを活用することができる新しいオフィスの在り方のこと。





1. 2023年2月期上期の連結業績

2023年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比16.8%増の25,655百万円、営業利益が1,928百万円(前年同期は498百万円の損失)と大幅な増収及び営業黒字化を実現し、重視するEBITDA※についても同102.6%増の4,624百万円と大きく回復した。TKP貸会議室・宿泊事業(以下、TKP事業)及び日本リージャスがともに増収となった。TKP事業は、採用研修需要の獲得により第1四半期が順調に滑り出すと、第2四半期も夏期講習や宿泊の需要を取り込み、回復基調が継続している。一方、日本リージャスについても、レンタルオフィス需要の回復とともに施設稼働率が伸長し、過去最高売上高を連続更新した。損益面でも、売上高の一定の回復や収益体質の強化により大幅な営業増益となった。また、戦略面についても、将来を見据えた大型施設の仕入れや、日本リージャスのサブフランチャイズ展開など、ポートフォリオ改革に向けて動き出した。



※EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却費+長期前払費用償却費+顧客関連資産等の無形資産償却費。





2. 2023年2月期の連結業績予想

2023年2月期の連結業績について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比14.1%増の51,000百万円、営業利益を2,000百万円(前期は883百万円の損失)と増収及び各段階利益での黒字化を見込んでいる。また、EBITDAについても同62.0%増の7,500百万円と大きく伸びる見通しである。コロナ禍の影響を一定程度見込むものの、期末に向けコロナ禍は徐々に収束へ向かうことを前提とした業績予想となっている。TKP事業については回復基調にある貸会議室需要を取り込み、日本リージャスについても出店を継続しながら順調な稼働上昇を想定している。このほか、社会経済活動の正常化に伴う需要回復を見据え、新規出店の推進にも意欲的に取り組む方針である。損益面では、売上高の一定の回復と収益体質の強化(損益分岐点の引き下げ)等により、各段階利益での黒字化を実現する見通しである。



3. 今後の方向性

コロナ禍の影響により、同社の成長戦略は2年続けて足踏み状態となっているものの、中長期的な方向性に見直しはない。足元で回復基調にある貸会議室需要をはじめ、コロナ禍をきっかけにさらなる拡大が見込まれるフレキシブルオフィス需要を取り込んでいくほか、コロナ禍収束とともに需要回復が予想されるビジネスホテル分野にも注力していく考えである。一方、コロナ禍収束後(以下、ポストコロナ)を見据えた当面の戦略としては、1) ポートフォリオ改革、2) リアル×オンラインによる需要の総取り、3) 事業提携による高付加価値化の加速を掲げており、新規出店の推進や日本リージャスにおけるサブフランチャイズ展開の始動、事業提携の推進等により、今後さらなる拡大が見込まれるスペース需要に幅広く対応していくことで、早期に成長軌道に回帰していく方針である。



■Key Points

・2023年2月期上期は貸会議室・宿泊需要の回復基調継続により、大幅な増収及び営業黒字化を達成

・2023年2月期は期初予想を据え置き、売上高の一定の回復と各段階利益での黒字化を見込む

・仕入れ環境が追い風にあるなか、ポストコロナを見据えた出店加速に取り組む方針

・需要拡大が見込まれるフレキシブルオフィス市場で圧倒的なポジションを確立していく中長期的な方向性に見直しはない



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)