■クリーク・アンド・リバー社<4763>の業績動向



2.事業セグメント別動向

(1)クリエイティブ分野(日本)

クリエイティブ分野(日本)の売上高(社内取引含む、以下同様)は前年同期比3.2%増の14,976百万円、営業利益は同13.7%増の1,479百万円と過去最高を連続更新した。新規エージェンシー事業がやや伸び悩んだものの、ゲーム、Web、映像など主力分野の拡大によりカバーした。旧会計基準ベースの売上高では10.3%増となっている。



分野別業績の前年同期比伸び率を同社が開示している構成比から試算すると、映像(テレビ、映画)分野は11.5%増収、21.3%増益となった。前年同期は東京オリンピック・パラリンピックの開催により、手掛けていたレギュラー番組がなくなる影響が出たが、テレビ局各局の番組制作需要を的確に捉え順調に成長した。



ゲーム分野は18.4%増収、7.8%増益となった。新作ゲームの旺盛な開発需要を背景に、同社及び子会社の(株)クレイテックワークスともに受託開発案件が好調に推移した。利益率が若干低下したが採用費や広告費の増加によるものとなっている。Web分野(紙媒体含む)は3.2%増収、28.5%増益となった。売上高については前年同期に伸長した請負案件が一段落したことで伸び悩んだものの、生産性向上により利益率は上昇した。



電子書籍・YouTube等分野は65.6%減収、1.1%増益となった。売上高は会計基準変更の影響で減収となっているが、旧会計基準ベースでは増収となっている。電子書籍については、Amazon Kindle等の電子書店向け配信数やダウンロード数が順調に増加したほか、「漫画LABO」で制作されたオリジナルのヒット作品について、紙のコミックス書籍として発売するなど収益モデルの多様化に取り組んだ。また、YouTube関連では企業やテレビ番組のYouTubeチャンネルの運用受託が着実に増加し、ネットワークするYouTubeクリエイターによる総チャンネル数では2022年8月末時点で400超と前期末比で1.3倍に増加し、売上高も堅調に推移した。



新規エージェンシー・その他分野(建築、シェフ、コンピュータサイエンス、ライフサイエンス、アグリカルチャー、CXO、アスリート、舞台芸術、XR等)の売上高は3.2%増とやや伸び悩み、営業損失も1.9億円と前年同期から若干拡大した。売上規模の大きい建築分野に関しては、一級建築士の紹介及び設計・建築の受託案件が堅調に推移したほか、2021年12月にオープンしたVR建築展示場「XR EXPO(R)」※についても、掲載モデルハウス・実例で着実に増加している。同プラットフォームでは、リアル展示場と比較して30分の1以下の費用でモデルハウスを構築でき、住宅購入希望者もVRゴーグルを使って外観、内装などをリアル展示場と同じ感覚で確認することができるため、注文住宅の商談における次世代プラットフォームとして今後の成長が期待される。



※中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ビジネスモデル構築型)」に採択され、補助金によって開発資金や広告費用などを賄っている。





そのほか、AI等のコンピュータサイエンスの技術者や博士、ライフサイエンスの研究開発者及び研究補助者、料理人、企業における業務や機能の最高責任者のエージェンシー事業等を展開し、今後の成長に向けた取り組みを推進した。また、XR (VR/AR/MR)分野に関しては、顧客自身がVR教材を短時間で制作・研修できる「ファストVR」の販売拡大や、企業と共同で危機体感教育ツールの開発等を推進し、企業の教育研修やビジネス領域におけるハードからコンテンツまで一貫したソリューションの開発・販売に取り組んだ。なお、子会社の(株)VR Japanとの連携による拡販活動を進めてきた「低遅延VRリアルタイム配信システム」については、一部の大学で導入実績はあったもののまだ普及までには時間が掛かると判断し、営業活動を一旦休止している(販売はVR Japan)。



(2)クリエイティブ分野(韓国)

クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前年同期比1.6%増の1,771百万円、営業損失は3百万円(前年同期は2百万円の利益)となった。コロナ禍等の影響により、テレビ局向け派遣事業の稼働数が一時的に減少したため、前年同期並みの収益水準にとどまった。ただ、コンテンツ事業においてデジタルコミック(Webtoon)の開発に注力し、オリジナル作品を韓国、米国、フランス、日本、中国、ドイツ等の8か国でグローバル配信を行うなど、今後の収益向上につながる新たな取り組みを推進した。オリジナル作品は50タイトルまで拡充しており、今後のコンテンツ事業の収益成長が期待される状況となっている。



(3)医療分野

医療分野では、子会社の(株)メディカル・プリンシプル社(出資比率100.0%、10月決算)で「民間医局」ブランドによる医師紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした合同説明会「レジナビFair」や「レジナビFairオンライン」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」等のサービスを提供している。また、2021年6月には介護事業を含む効果的な地域医療周辺サービス事業を展開すべく、孫会社として(株)コミュニティ・メディカル・イノベーション(出資比率100.0%)を新設した。



2023年2月期第2四半期累計の売上高は前年同期比21.7%増の3,186百万円、営業利益は同38.8%増の1,146百万円と過去最高を連続更新した。全国各地での慢性的な医師不足を背景に、スポット案件やレギュラー案件などの医師紹介案件が好調に推移したことが主因だ。スポット案件については2022年2月期から自動マッチングシステムを導入したこともあり、案件の増加並びに収益性の向上に寄与した。同システムは顧客の医療機関の約5割に導入が進んでおり、今後も導入先を拡大していくことで案件数の拡大を目指す。一方、レギュラー案件については全国に配置している約200名のエージェントを介した獲得を強みにしている。また、イベント事業の「レジナビFair」については今期第2四半期よりリアルでの開催も再開した。リアルイベントの開催を希望する医療機関があったためで、オンラインでの開催も含めて参加医療機関が増加し増収増益に寄与した。一方、新規事業であるクリニック経営支援サービスについては、支援先が2件と前期末から変化はなかったが、将来的には47都道府県に展開していくことを目標としている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)