■事業別の取り組み



4. ファンド事業

霞ヶ関キャピタル<3498>は、新規事業としてレジデンスファンド事業に参入した。1号案件として、2022年1月に、デジタル技術を活用した不動産・インフラを中心とする実物資産のアセットマネジメント事業を行っている三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)と、都心賃貸マンション16件を組み込む私募ファンドを組成し、運用を開始した。この共同アセットマネージャーは、不動産管理ができる会社として同社が選定したものだ。同事業は、2022年8月期に都心や地方の賃貸マンションに投資する私募ファンドを4件組成するなどAUMを着実に積み上げ、合計470億円規模に拡大している。



レジデンスファンド事業参入の背景には、賃貸住宅市場の需要が回復傾向であること、低金利環境が継続するなかで国内外投資家の物件取得意欲は旺盛で、取引価格水準が高値圏で推移していることがある。物流施設、ホテル、再生可能エネルギー施設に続く新規アセットとして賃貸住宅に注目しており、レジデンスファンド組成を積極的に進めることで、AUM拡大を目指す。



一方、不動産投資の東京一極集中を是正したいという同社の考えも背景にある。J-REITの資産の内訳を見てみると、首都圏のアセットが資産額ベースで80%を超えているが、地方都市にも投資適格なアセットはあり、それらを投資商品に置き換えるべきと同社は考えている。この具体策として、三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)と私募ファンドを組成し、運用を開始した。同社はレジデンスファンド物件をシードアセットに、デジタル証券として小口化投資商品の開発運用分野へ参入することを目指しており、ファンドの規模拡大と魅力的な投資商品の提供を目指す方針だ。なお、同事業は同社のビジネスモデルである成果報酬志向型ファンドマネージャーとしての収益貢献を想定していることから、将来にわたって同社の業績及び企業価値の向上に寄与すると考えられる。



5. その他事業

(1) 再生可能エネルギー開発事業

地球温暖化への対応として、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーへのシフトは社会的な課題である。同社でも、再生可能エネルギー開発事業に積極的に取り組み、北海道から鹿児島県まで全国25件の太陽光発電施設を開発し売却済である。一方、太陽光発電が成熟市場となり採算が取れにくくなっていることから、今後は風力発電施設開発を強化する方針である。2021年4月に北海道松前郡松前町で稼働済みの小型陸上風力発電施設8基及び開発用地を取得したことで、同社本社オフィスの使用電力量をカバーする年間電力量となった。また、これまでのノウハウを生かし、大型風力発電施設開発への参画も予定しており、今後はオフィスだけでなく、保有物件や開発物件にも対象範囲を拡大する予定だ。なお、新たに取得した土地については、協働パートナー及び関係機関とともに風力発電施設開発に向けて準備を進めている。



(2) 海外投資事業

海外投資事業としては、ASEANで最もインフラが整っているタイと、人口が現在の2億6,000万人から3億人に増加すると予想されるインドネシアに現地法人を設立している。タイは、日本とアジア、そして世界をつなぐ「ハブ」となる立地であり、高速鉄道・路線複線化計画により国内交通インフラの整備が進められている。同社は2018年8月に、世界中に複数の上場会社を傘下に持つ、世界有数のコングロマリットCharoen Pokphand Groupの関連子会社であるAlpha Capital Enterprises Limitedの株式を取得し、そのネットワークを今後の事業展開に活用する考えだ。また、インドネシアは多くの島々で成り立っており、太陽光をはじめとする分散型電源が求められていることから、同社の持つノウハウを活用する計画だ。なお、インドネシアの不動産デベロッパーであるPT Baruna Realty(GREENWOODS)とジョイントオペレーションスキームを用いた投資契約を締結し、戸建て住宅開発プロジェクト「Citaville Pilar Cikarang」を推進している。インドネシアは消費市場をけん引する中間所得層の拡大が進み、住宅をはじめとする不動産市場の需要拡大が期待されることから、同国でのさらなる事業拡大を目指す。



同社の海外投資事業の役割は、事業を企画し、適切なファイナンスで資金を調達して販売するスキームを作り上げ、日本の投資家、デベロッパー、事業会社に、海外への水先案内人として投資機会や事業機会を提供することである。当面は大きな進展はないものの、長期的には有望な事業分野と言えよう。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)