■事業概要



1. 事業内容

日本和装ホールディングス<2499>の事業は、和装品の販売仲介及びこれに関連したサービス(仕立・加工の請負、納品代行、割賦販売の斡旋など)の単一セグメントであるため、セグメント情報は開示されていない。事業全体の概要は以下のとおりである。



(1) 和装品の販売仲介

同社は、和装品を製造するメーカーではなく、商品を仕入れて販売する商社でもない。主力事業は、生産者と消費者(顧客)の間に立ち、無料着付け教室や販売会等を通じて和装品の販売を促進し、その販売額に応じて手数料を得る販売仲介である。



一般的に和装業界においては、多くの生産者・消費者(顧客)それぞれが問題(悩み)を抱えている。生産者側では、市場が縮小するなかでの販売拡大、消費者ニーズの把握、入金までの時間などが挙げられる。一方、消費者側としては、自分で着付けできない、きものの価値がわからない、きものを着る機会がないなどがある。これらの問題(悩み)に対し、同社が仲介業者として生産者と消費者の間に入ることによって双方の悩みを解決し、和装品販売に寄与している。言い換えれば、それまで和装業界(呉服業界)にあった複雑な流通形態をよりシンプル化することで、和装品販売全体を伸ばしているとも言える。



(2) 販売方法

主な販売方法は、全国各地にある拠点で定期的に開催される「無料着付け教室」(1開催は週1回を6回を実施)である。既述のとおり、消費者がきもの購入をためらう最大の理由は「着付けできない・価値がわからない」ことであるため、無料着付け教室へ参加することで、これらの悩みや理解不足を解消している。



さらに、同社の着付け教室は無料であるため、参加の敷居が低くなっている。また、独自に企画した販売会やイベントを適宜開催しており、これらをとおして消費者にきものの魅力を直接丁寧に説明することで、きものの理解度を高め販売を増やしている。2021年12月期の実績としては、無料着付け教室を全国に約400教室開催した。



(3) 関連事業

同社は、主力の和装品の販売仲介だけでなく、仕立てや加工、検品、納品などの付帯業務も行っている。さらに子会社において、割賦販売の斡旋・管理や博多織の製造・販売も行っている。このため、生産者・消費者(顧客)ともに、同社をとおすことで和装品購入・販売のすべてのサービスをワンストップで受けることができる。



(4) 拠点と加盟店

同社は全国に20拠点程度(2022年6月末現在)を有しており、同社へ商品を提供する和装品の生産者(加盟店)は17社(同)となっている。各拠点では、定期的な着付け教室を開催すると同時に、各地区独自の販売会やイベントなども開催している。



2. 特色・強み

(1) ワンストップ・ソリューションの提供

既述のとおり、同社は生産者及び消費者(顧客)に対して、ワンストップ・ソリューションを提供している。具体的には、和装品販売の仲介だけでなく、着付けの習得、仕立て・加工の請負、修理や検品、納品代行、さらには割賦販売の斡旋・管理や博多織の製造・販売など、和装品購入における様々なサービスを提供している。



(2) 「無料着付け教室」と「質の高い講師陣」

多くの同業他社や各種学校等も着付け教室を提供しているが、その多くは有料である。また、着付け教室の講師についても、同業他社や他教室に比べて「経験豊富な質の高い講師陣を配している」と同社は述べている。このような質の高い講師陣が同社に多いのは、長い間の信頼関係によるもので、同業他社が追いつくのは容易ではないだろう。この結果、第三者機関※での調査で主要着付け教室13社のうちトップの評価を得ている。



※アンケートモニター提供元:GMOリサーチ(株)2021年12月調べ。





(3) 独自の企画力

同社は和装業界において長い歴史と経験を有しており、これらが質の高い企画力につながっている。また、この企画力によって様々な販売会やイベントを開催している。このため、企画力の高さ・強さも同社の特色であり強みと言える。



(4) 財務的負担が軽い

同社は生産者ではないことから固定資産である製造設備を持たず、また、商社や問屋でもないことから在庫も保有していない。この結果、バランスシートはスリムであり、財務的な負担は軽い。このため、企業として変化に対する対応力は強いと言えるだろう。



3. 競合と市場シェア

同社の知る限り、日本の和装品市場は販売を含めた各分野において多くの競合企業が存在するが、同社と同等の規模で、同様なワンストップでサービスを提供する企業は見当たらないとのことである。



和装品市場全体については、流通経路も複雑であり正式な統計がないことから正確な市場規模については把握が容易ではないが、(有)きものと宝飾社「着物市場規模に関する調査2022年」によれば、2021年の着物小売市場は2,446億円(前年比12%減)となっており、コロナ禍の影響を受けたようだ。このような市場の下での同社のポジショニング(市場シェア)については、同社の売上が販売仲介手数料であり、手数料率等が非開示であることから正確な算出は難しいものの、同社の2021年12月期の連結売上高は、50億円程度で前年比11.2%増加しており、コロナ禍においても安定した業績を残している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)