■要約



ネットイヤーグループ<3622>は、インターネット技術を活用した顧客起点のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業を展開しており、主にデジタルマーケティング領域において豊富な実績を持つ。2019年2月にNTTデータ<9613>と資本業務提携契約を締結し、グループ会社となっている。NTTデータのシステム開発力と同社のCX(Customer Experience、顧客体験)デザイン設計力を組み合わせた協業案件が増加しており、NTTデータ向けの売上構成比が3割を超える。



1. 2023年3月期第2四半期累計の業績概要

2023年3月期第2四半期累計(2022年4月〜9月)の業績は、売上高で前年同期比28.8%増の1,826百万円、営業利益で同156.1%増の70百万円と増収増益となった。オウンドメディア(自社Webサイトやスマホアプリなど)を用いたデジタルマーケティングやCXの向上に取り組む企業が増加しており、NTTデータとの協業の取り組みが奏功し、通信業界や小売業界、自治体からの受注が増加したほか、前期に受注したスターバックスコーヒージャパン(株)向けデジタルマーケティング支援案件なども引き続き増収に寄与した。業務量の増加に伴い外注費が増加したことで原価率が若干上昇したものの、増収効果でカバーし2ケタ増益となった。なお、新規事業として「Shopify(ショッピファイ)」アプリの開発販売を2022年3月期から開始し、現在8本をリリースしているが、売上への影響は軽微で、今後顧客要望を収集しながら機能拡充を図っていく方針となっている。



2. 2023年3月期の業績見通し

2023年3月期の業績は、売上高で前期比5.4%増の3,600百万円、営業利益で同17.0%増の240百万円とする期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗状況は受注も含めて順調で、今後不採算案件などが発生しなければ計画を達成できる見通しだ。NTTデータとの協業案件が引き続き増加するほか、リアルとデジタルを融合した顧客起点でのUXデザインやシステム構築案件、EC構築支援サービスの拡大が見込まれる。また、売上規模はまだ小さいものの「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス※(以下、POS)」についても顧客数が順調に拡大(2022年9月末時点で30社以上)しており、収益増に貢献する。トピックスとしては、2022年10月にNTTテクノクロス(株)と業務提携を発表しており、NTTテクノクロスが提供するコールセンター向けAIソリューション「ForeSight Voice Mining(フォーサイト・ボイス・マイニング)」とカスタマーサポート向けWebサイトを連携させるコンサルティングサービスを開始する。



※顧客企業のオウンドメディアの活性化とマーケティング費用対効果の最大化を目的に、顧客課題や市場状況、競合動向などのデータ分析を行い、「SEO」「デジタル広告」「サイト改善」の3つの領域で改善施策と予算配分の最適提案を行うほか、運用・分析、改善提案までをワンストップソリューションとして支援するサービス。





3. 成長戦略

同社は2020年3月期から2023年3月期までを「経営基盤の強化」を図る期間と位置付け、利益体質への転換に取り組んできた。2024年3月期からスタートする新たな中期計画(策定中)では、既存事業の成長に加え、新規事業の開発・育成に取り組むことで一段の収益成長を目指していく方針だ。新規事業としては、Shopify関連サービスやPOSのほか、社会インパクト事業の育成に取り組んでいく。社会課題解決型の新規事業の立ち上げを目指す企業に対して、サービスデザインやシステム構築、デジタルマーケティング支援等を行うサービスで、将来的には社会起業家とのオープンコラボレーション等も推進していく。その第1弾として2022年9月に(一社)日本顧問介護士協会と介護離職リスクの軽減支援に関する業務提携を発表しており、同協会が提供するサービスプラットフォームのDX支援や専門ECサイトの開発支援を行う予定だ。また、行政のデジタル化が今後一段と進展していくなかで、豊富な取引実績を持つNTTデータとの協業案件の増加も期待される。市民サービスの向上を目指す自治体にとって、同社の持つCXデザイン力は大きな強みになると考えられ、事業規模拡大が期待できる。課題であった人的リソースの強化については、新卒・中途採用の強化に加えて、IT人材の育成サービスを展開する(株)LULLとの協業によって、プロジェクトごとに必要な人材を補充していく予定だ。



■Key Points

・2023年3月期第2四半期累計業績は、既存主要顧客向けの取引深耕が進み増収増益に

・顧客起点のDX関連投資の拡大により、2023年3月期も増収増益が続く見通し

・NTTデータとの協業推進に加えて、新規事業の育成により中長期的な企業価値向上を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)