■業績動向



1. 2023年3月期第2四半期の業績動向

Jストリーム<4308>の2022年3月期第2四半期の業績は、売上高5,903百万円(前年同期比6.1%減)、営業利益773百万円(同27.8%減)、経常利益763百万円(同28.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益459百万円(同32.6%減)となった。コロナ禍における収益急拡大の反動と、一部大手製薬企業の販促費圧縮により利益進捗が遅れているが、利益水準はコロナ禍以前と比べて高い水準を維持することができた。



日本経済は、ウクライナ情勢の悪化に伴う資源価格の高騰や、アメリカの金融引き締めに伴う急速な円安進行などから物価高への懸念が増しており、個人消費や企業収益の動向に不確実性が高まっている。コロナ禍に関しては、2022年7月に新規感染者が急増したものの8月には減少に転じて行動制限が解除され、旅行支援の再開や入国規制の緩和などもあって経済の平常化が進んだ。これに伴ってオフィス回帰の動きがあるが、DX推進の必要性が広く認識されていることから、ネットとのハイブリッドイベントや各種の情報共有、研修、会議、面談などのオンライン化は定着したと言えそうだ。これらがコロナ禍以前に比べて同社が高い利益水準を維持している要因であると思われる。



同社は、各種イベントのライブ配信や社内情報共有・教育などのオンデマンド配信のニーズに対応して、主力サービスである「ライブ配信サービス」や「J-Stream Equipmedia」を中心に、製薬業界のWeb講演会やバーチャル株主総会、社内情報共有のための動画利用といった企業需要に応える営業活動を展開した。また、オンラインやハイブリッドイベントの開催に関連する企業との協業・連携を推進し、共同で市場開拓を図るとともに、顧客企業の多様な利用シーンとニーズに応える高品質なサービスの開発を進めた。



この結果、オンライン化が定着しつつあるEVC領域(医薬以外)は堅調に成長したものの、コロナ禍により急伸したEVC領域(医薬)の受注が想定を下回ったこと、OTT領域で東京オリンピック・パラリンピック案件の反動減や大型受注があとズレしたことなどにより、第2四半期の累計売上高は前年同期の水準に届かなかった。なお、EVC領域(医薬)はコロナ禍で急伸した分は減少したが、コロナ禍以前から進んでいるMRからWeb講演会への製薬企業の販促手法のシフトは、ベースの部分で継続的に広がったと見なすことができる。また、「J-Stream Equipmedia」の単価が上昇した。これはEVC領域(医薬以外)での需要増加でアクセスが増えたCDNに超過流量が発生したためで、オンライン化の定着を示していると言えるだろう。利益面では、動画関連の機能やサービスの開発体制充実のため労務費や業務委託費用が増加したため売上総利益率は低下したが、外注費などを削減したこともあって40%台を維持することができた。販管費は、規模拡大による営業や間接部門の人員増加や新規営業の強化に向けた販売支援などにより、減収のなか増加した。これまで機能開発や規模拡大に向けて人員を強化してきたが、社内システムの開発が山を超えたこともあり、サービス開発要員以外はおおむね充足しつつあるようだ。



なお2023年3月期第2四半期は、第1四半期に対して売上高、営業利益ともに増加に転じた。こうした直近を含めたコロナ特需からウィズコロナへ至る収益の流れは、次のとおりである。2020年3月期第2四半期からコロナ禍が追い風となって2020年第3四半期には収益が大きく積み上がったが、その後1年ほどコロナ環境下における平常ラインを維持し、2022年3月期第3四半期からはコロナ特需が落ち着きを見せ、企業の販促やイベントの計画に合わせた通常の需要に戻り始めていた。2023年3月期第1四半期には高い水準を維持したまま収益が底打ちし、第2四半期には従来想定していた中長期のトレンドイメージに沿って伸びに転じたという状況である。とはいえ、第2四半期は前年同期比減益と踊り場となり、同社は、将来の再成長へ向けて企業体制や機能を磨くなど踊り場をチャンスへと変える策を進めているところである。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)