■要約



前澤給装工業<6485>は東京都目黒区に本社を置く給水装置の総合メーカーとして、サドル付分水栓、止水栓、継手といった製品の設計・製造・販売を行ってきた。「QSO」(Quality, Safety & Originality)『品質は人格であり、安全は協調であり、独創は、改革である』という会社指針に基づき、「きれいな水」「安全な水」「おいしい水」を届けることを使命に、大切な水を人々の暮らしへとつなぐ給水装置のトップメーカーとして、水道事業発展の一翼を担ってきた。近年は、屋内給水・給湯配管部材や床暖房設備部材の製造販売を手掛けるなど、積極的に事業領域を拡大している。また、顧客ニーズに合わせた新製品の開発や、環境に配慮した生産体制の確立を推進している。



1. 2023年3月期第2四半期の業績概要

2023年3月期第2四半期の連結業績については、売上高が15,401百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益が1,090百万円(同4.2%減)、経常利益が1,174百万円(同2.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が773百万円(同1.5%減)となった。回復する需要に応じた供給体制の確保や、材料価格高騰の影響を最小限に抑えるための販売価格交渉に注力した結果、売上高は順調に推移した。一方、製品の主要原材料である銅の価格高騰や円安の進行などの影響を受け、減益となった。ただし、営業利益の減益幅は前年同期比で4.2ポイント縮小しており、販売価格改定の効果は緩やかに現れていることが見て取れる。セグメント別では、給水装置事業が増収減益、商品販売事業が減収減益となったものの、成長ドライバーに位置付ける住宅・建築設備事業※が2ケタ増収増益と好調に推移し、全体の業績を押し上げた。



※2023年3月期第1四半期より、従来の「住宅設備事業」を「住宅・建築設備事業」に名称変更している。





2. 2023年3月期の業績見通し

2023年3月期の連結業績については、売上高で29,290百万円(前期比1.7%増)、営業利益で1,830百万円(同14.5%減)、経常利益で1,990百万円(同13.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,320百万円(同11.9%減)とする期初計画を据え置いた。コスト上昇による収益低下に歯止めをかけるため、引き続き販売価格改定交渉や業務効率化によるコスト削減を推進する。価格改定については、2022年7月出荷より適用しているものが下期にかけて業績に寄与する想定であり、収益回復が期待できる。加えて、期初の銅建値と比較し、直近の銅価格は落ち着いていることもプラス材料と言える。実際、通期業績に対する進捗率は、売上高で52.6%、営業利益で59.6%、経常利益で59.0%、親会社株主に帰属する当期純利益で58.6%と順調である。以上のことから、通期業績を達成する可能性は高いと弊社では見ている。



3. 中期経営計画

同社の事業内容は公共工事に関連した安定した部分もあるが、景気変動の影響を受けやすい住宅需要も多く、見通しが大きく変動しやすいことから、これまで中期経営計画は公表していなかった。しかしながら、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場への移行に当たり、2022年5月に2025年3月期を最終年度とする「中期経営計画2024」を策定した。(1) 事業ポートフォリオ・マネジメントの推進、(2) サステナビリティ経営の実現、(3) 利益還元の強化、の3つの基本方針の下、2025年3月期に売上高305億円、営業利益26億円、営業利益率8.5%、ROE5%以上を目指している。このうち、(1) 事業ポートフォリオ・マネジメントの推進では、ものづくりに関する数々のノウハウなど強みを活かした差別化を推進し競争優位を追求することで、コア事業で安定的な収益拡大を目指す。同時に、M&Aも含め周辺領域を拡大することで新たな成長ドライバーを生み出し、事業ポートフォリオを強化する方針だ。同社が扱う配管部材は水道にとどまらず、ガス・空調設備など適用範囲が広いこと、住宅・建築設備事業は事業の裾野が広く関連多角化を模索できることなどを考慮すると、事業拡大の選択肢は多いと弊社では見ている。また、前澤リビング・ソリューションズ(株)を連結子会社化し、床暖房事業への進出や営業活動効率化などが実現したことから、M&Aによる事業拡大や新たな成長ドライバーの獲得は再現性が高いと弊社では見ている。



■Key Points

・「きれいな水」「安全な水」「おいしい水」と「快適な住空間」を届けることを使命に、給水装置のトップメーカーとして水道事業発展の一翼を担う

・2023年3月期第2四半期は販売価格改定や業務効率化の効果により減益幅が縮小、通期業績に対する進捗率も順調に推移

・中期経営計画では2025年3月期に売上高305億円、営業利益26億円を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)