クオールホールディングス<3034>は11日、2023年3月期連結決算を発表した。売上高が前期比2.3%増の1,700.36億円、営業利益が同3.7%減の94.95億円、経常利益が同0.0%増の100.98億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.0%増の56.56億円となった。



保険薬局事業の売上高は前年同期比1.5%増の1,553.70億円、営業利益は同3.1%減の114.99億円となった。当年度における出店状況は、新規出店22店舗、事業譲受2店舗、子会社化による取得46店舗の計70店舗増加した一方、閉店により12店舗減少した結果、当事業全体で店舗数は892店舗となった。薬局運営については、前期より新たな事業の柱としている在宅・施設調剤において、在宅調剤の全店実施に向けて取り組むとともに、在宅専門店舗を積極的に展開し、社会的ニーズに対応すべく推進している。また、2022年4月よりサービスを開始している「クオールおくすり便(LINEミニアプリ)」の機能を拡充するとともに、店舗における自動精算機の導入を開始するなど、さらなる利便性や安心の提供を目指して取り組んでいる。業績については、前期に実施したM&Aや新規出店の寄与と、在宅・施設調剤の推進等により、受付回数が増加した。一方で、新型コロナウイルス感染症の一時的な急拡大への対応により人件費が増加するとともに、物価上昇等の影響により経費が増加した。



医療関連事業の売上高は同12.0%増の146.65億円、営業利益は同29.0%増の15.34億円となった。CSO事業においては、幅広い経験を持つ人財の採用強化や、専門領域MRの育成プログラム拡大等の質の高い教育による優秀な人財の育成に引き続き注力していくとしている。紹介派遣事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響を依然として受けているが、薬局等への薬剤師紹介派遣需要は回復に向けた動きが見受けられた。また、健康経営推進への関心の高まりから、産業医・産業保健師の派遣については成約件数及び売上高が増加しているため、健康経営推進に関するサービスラインナップの拡大に取り組むとしている。出版関連事業は、リアルな講演会とWeb配信のハイブリッド運営にも対応できるコンベンション事業を拡大するとともに、製薬メーカーの制作物等が各種規制を遵守していることを検証するコンプライアンスサービス事業を新たに立ち上げて拡大に注力している。医薬品製造販売事業においては、薬価改定による売上高の減少や原材料価格の高騰による影響があったものの、2022年12月に発売を開始した新型コロナウイルス抗原検査キット「テガルナ(R)スティックSARS-CoV-2Ag」が業績に寄与した。



2024年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比5.9%増の1,800.00億円、営業利益が同5.3%増の100.00億円、経常利益が同1.0%減の100.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.8%減の55.00億円を見込んでいる。