■業績動向



1. 2023年1月期の業績概要

鎌倉新書<6184>の2023年1月期の連結業績は、売上高5,004百万円(前期比30.8%増)、営業利益686百万円(同28.9%増)、経常利益683百万円(同26.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は453百万円(同25.6%増)と前期比増収増益となった。期初計画に対しては、売上高は0.1%超、営業利益で7.3%超、経常利益で5.9%超、親会社株主に帰属する当期純利益で5.5%超となり、売上高・各利益とも上回って着地した。



供養に関する3事業(葬祭、お墓、仏壇)合計では前期比10.9%の増収と安定成長するとともに、ここ数年の間にサービスを開始した相続、不動産、介護、官民協働の各事業の成長が加速した。特に、前期から本格的に参入した介護事業は年率354.9%の増収と急成長。同じく前期からスタートした官民協働事業も2年間強で44都道府県300の自治体との提携を行い、年率で202.6%の増収を実現した。利益面では、相続などの専門性を持つ人材やシステム内製化を進めるためのエンジニアを中心に人員採用を増やしたほか、初のリアル店舗である「窓口de終活」の開設などのサービス拡充により人件費や広告宣伝費などを増やした結果、営業利益率は13.7%と同0.2ポイント減となった。同社ではこれらのコストを、ユーザーの需要増加に応える情報供給体制を整備・構築するための先行投資と考えている。なお、2022年1月期には未だ投資フェーズにあった供養3事業以外の相続、不動産、官民協働、Storyの4事業が2023年1月期より利益貢献を始めた。



2. 事業(サービス)別業績概要

同社は終活サービスを単一セグメントとして捉えており、事業別の損益は公開していない。



(1) 供養3事業:お墓、葬祭、仏壇事業

2023年1月期の3事業は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が薄れ、霊園の見学、葬儀・お別れ会などへの参加が可能な環境になってきたこと、また大阪へ拠点を開設し西日本の提携事業者への積極的な営業を展開したことなどにより、3事業とも安定的に成長した。提携事業者に対するユーザーニーズに応じた必要な葬祭オプションの提案、高価な仏具などの購入判断を容易にする詳細な商品説明掲載など、細かな営業提案によるリレーションの強化が集客力アップにつながっているようだ。



お墓事業については、紹介数は増加しているものの、一般墓より樹木葬や納骨堂の購入が増加し単価が下がってきているため、2023年1月期の売上高は1,893百万円(前期比9.6%増)の1ケタ成長となった。葬祭事業については、コロナ禍で家族葬や直葬・火葬式を選ぶ人が増え葬儀規模が縮小傾向にあったが、コロナ禍の影響がやや薄れてきたなか、売上高は1,075百万円(同12.5%増)と2ケタ成長となった。仏壇事業については、紹介数の増加に支えられ売上高は343百万円(同12.7%増)と同じく2ケタの成長となった。



(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)