■業績動向



1. 2023年3月期連結業績の概要

日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の2023年3月期の連結業績は売上高が2022年3月期比11.2%増の22,853百万円、営業利益が同32.5%増の1,195百万円、経常利益が同26.7%増の1,212百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同46.7%増の672百万円だった。パーキングシステム事業の想定以上の回復も寄与して、計画(2023年3月1日付修正値、売上高23,000百万円、営業利益1,100百万円、経常利益1,130百万円、親会社株主に帰属する当期純利益600百万円)を上回る大幅増益で着地し、売上高、営業利益ともに過去最高だった。



売上面では、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)がDX需要を背景として引き続き好調に推移し、パーキングシステム事業はコロナ禍影響が和らいで駐輪場利用料収入を中心に売上高が回復基調となった。営業利益は、システム開発事業が人件費等の先行投資の影響で小幅増益にとどまったが、サポート&サービス事業が原価率改善で2桁増益、パーキングシステム事業が増収効果や収益性向上に向けた各種取り組みの成果などで大幅増益となり、全社ベースでも大幅増益だった。売上総利益は17.9%増加し、売上総利益率は0.9ポイント上昇して16.8%となった。販管費は人的資本への投資などで12.3%増加し、販管費率は0.1ポイント上昇して11.6%となった。この結果、営業利益率は0.8ポイント上昇して5.2%となった。なお特別損失では、減損損失が79百万円減少(2022年3月期は215百万円計上、2023年3月期は136百万円計上)したが、退職給付制度移行損失85百万円を計上した。ROE(自己資本当期純利益率)は3.6ポイント上昇して14.3%となった。



2. セグメント別業績

セグメント別の動向を見ると、IT関連事業は、システム開発事業の売上高が2022年3月期比10.5%増の9,243百万円で営業利益(全社費用等調整前)が同1.2%増の1,033百万円、サポート&サービス事業の売上高が同13.0%増の6,892百万円で営業利益が同13.5%増の703百万円だった。システム開発事業は、人的資本への投資などで小幅増益にとどまったが、主要顧客である保険会社との取引が拡大し、会計シェアードサービスやワークフロー導入案件なども堅調だった。サポート&サービス事業は、情報システム部門業務のアウトソーシング案件(ニッスイ<1332>グループ向けのシステム運用)の業務領域拡大や、クラウド関連の新規案件受注などで2桁増収増益だった。



なお、業務別分類の売上高で見ると、主力のSIサービスが同28.6%増収、ITインフラが同10.0%増収と好調だった。顧客の高水準のDX需要も背景として、注力しているアカウントプラン(既存顧客に対して受注していない領域をターゲットとする提案営業)を推進し、システム開発事業では保険会社の新商品関連システム開発案件の獲得、サポート&サービス事業では大手エネルギー会社におけるITインフラのリモート運用サービスの受注などにつながった。



パーキングシステム事業は、売上高が前年同期比9.9%増の6,675百万円で営業利益が同81.1%増の817百万円だった。売上高の内訳は機器販売が同18.7%減だが、自営駐輪場が同82.5%増、指定管理が同4.5%増、受託が同8.8%増だった。機器販売の回復が遅れているものの、コロナ禍の影響が和らいで鉄道利用状況が改善し、一部自営駐輪場における料金改定効果も寄与して、駐輪場利用料収入がコロナ禍前の2020年3月期を上回る水準となった。取引先拡大の面では、新たに秩父鉄道との取引を開始し、ローカル線において駅員による駐輪場管理の必要がない月極駐輪場「ECOPOOL」を7駅にオープンした。営業利益は増収効果に加えて、外部委託業務の内製化など管理運営コスト削減施策の成果も寄与して大幅増益だった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)