■業績動向



1. 2023年5月期の業績概要

日本プロセス<9651>の2023年5月期の連結業績は、売上高が前期比12.3%増の8,923百万円、営業利益が同17.1%増の908百万円、経常利益が同19.7%増の967百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.1%増の682百万円だった。前回予想(2023年3月31日付上方修正値、売上高8,800百万円、営業利益865百万円、経常利益925百万円、親会社株主に帰属する当期純利益645百万円)を上回る大幅増収増益で着地し、売上高、営業利益ともに上場来最高を更新した。



売上面は全セグメントが好調に推移し、大規模請負案件の増加に伴って進行基準売上が増加したことも寄与した。利益面は、制御システムがコロナ禍の影響で業績が悪化したJR各社の設備投資抑制の影響などで減益だったものの、他のセグメントは好調に推移し、特に自動車システムの大幅伸長が牽引した。売上総利益は前期比8.9%増加したが、売上総利益率は21.5%で同0.7ポイント低下した。販管費は同2.4%増加にとどまり、販管費率は同11.3%で1.1ポイント低下した。この結果、営業利益率は同0.4ポイント上昇して10.2%となった。サービス価値向上による採算性改善やプロジェクト管理強化による不採算プロジェクトの最小化なども寄与した。そして中期的な目標としていた営業利益率10%を達成した。なお親会社株主に帰属する当期純利益については、賃上げ税制による税負担減少も寄与した。





自動車システムが大幅伸長

2. セグメント別動向

セグメント別の動向は以下のとおりである。



(1) 制御システム

制御システムは、売上高が前期比1.5%増の1,429百万円、セグメント利益(連結調整前営業利益)が同8.4%減の302百万円と、増収ながら減益だった。セグメント利益率は21.1%で同2.3ポイント低下した。エネルギー関連分野では、電力系統制御関連、再生可能エネルギー関連、プラント監視制御関連などが順調に拡大した。交通関連分野では、ATOSのリプレース案件が順調に立ち上がったが、新幹線関連が保守フェーズに入ったため体制を縮小したことに加えて、在来線運行管理システム関連もコロナ禍で業績悪化したJR各社の設備投資抑制の影響で低調だった。



(2) 自動車システム

自動車システムは、売上高が同14.8%増の2,148百万円、セグメント利益が同27.1%増の623百万円と、各分野が好調に推移して大幅増収増益だった。セグメント利益率は29.0%で同2.8ポイント上昇した。AD/ADAS関連は第4四半期に受注した新規案件も寄与して好調に推移した。電動化関連は海外向け開発規模の拡大で受注が増加し、車載情報関連もクラスターメーター関連の大型案件を含めて開発量が大幅に増加した。



(3) 特定情報システム

特定情報システムは、売上高が同9.9%増の811百万円、セグメント利益が同0.7%増の167百万円と、概ね順調に推移して増収増益だった。セグメント利益率は20.6%で同1.8ポイント低下した。危機管理関連の大規模請負案件が収束し、画像認識・識別関連ではAD/ADAS関連の体制を縮小したが、衛星関連システムが新規案件への参画によって好調に推移した。



(4) 組込システム

組込システムは、売上高が同9.1%増の1,334百万円、セグメント利益が同5.8%増の301百万円と、順調に推移して増収増益だった。セグメント利益率は22.6%で同0.7ポイント低下した。ストレージデバイスは既存のSSD関連で担当範囲を拡大し、新ストレージのSEF(Software-Enabled Flash)関連の開発も進展した。IoT建設機械関連はプロジェクト変更の影響で減少した。



(5) 産業・ICTソリューション

産業・ICTソリューションは、売上高が同18.3%増の3,199百万円、セグメント利益が同7.5%増の549百万円と、各分野が概ね順調に推移して増収増益だった。セグメント利益率は17.2%で同1.7ポイント低下した。航空宇宙関連は複数の大型案件に参画した。公共システム分野では特に自動改札など駅務機器関連が想定以上に好調だった。システム構築関連もクラウドシステム構築案件や開発環境構築案件などが増加した。





財務の健全性は極めて高い

3. 財務の状況

財務面で見ると、2023年5月期末時点の資産合計は12,311百万円で前期末比575百万円増加した。主に流動資産で有価証券が償還によって550百万円減少した一方で、現金及び預金が402百万円増加、売掛金が215百万円増加、電子記録債権が475百万円増加した。負債合計は2,233百万円で同169百万円減少した。賞与引当金が124百万円増加した。純資産は10,077百万円で同405百万円増加した。親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げによって利益剰余金が335百万円増加した。この結果、自己資本比率は81.9%となり同0.5ポイント低下した。自己資本比率は若干低下したものの、80%台の高水準を維持している。



キャッシュ・フローの状況としては、営業活動によるキャッシュ・フローは主に税金等調整前当期純利益の計上により312百万円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローは主に有価証券の償還により435百万円の獲得、財務活動によるキャッシュ・フローは配当金支払により347百万円の使用となった。この結果、2023年5月期末における現金及び現金同等物は前期末比401百万円増加して4,157百万円となった。懸念される変動は見られない。



同社は無借金経営で内部留保も潤沢である。今後は潤沢な内部留保の有効活用が課題となるが、財務の健全性は極めて高いと弊社では評価している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)