■事業概要



1. 事業概要

BeeX<4270>はクラウドソリューション事業の単一セグメントのため、サービス区分を、SAPシステムを中心とするクラウド環境構築・移行のクラウドインテグレーション、クラウド移行後の保守・運用のMSP、AWSやAzure等のクラウドライセンスの仕入・販売(月額課金)のクラウドライセンスリセールとしている。なお、計画・設計・構築フェーズであるクラウドインテグレーションの受注増加は、その後の運用フェーズとなるMSP及びクラウドライセンスリセールの受注増加につながる。フロービジネスを起点にストックビジネスへ移行して顧客との長期リレーションを確立するビジネスモデルである。また、MSP及びクラウドライセンスリセールでは、クラウド利用、アカウント一元管理、テクニカルサポート、24時間365日監視サービス、運用代行サービス、セキュリティサービスなどをセットにしたマルチクラウド対応マネージドサービス「BeeXPlus」も提供している。なお同社はエンドユーザーへの直販を主力としているが、一部をパートナー企業経由で販売している。



サービス別売上高と構成比の過去3期の推移は次の通りである。クラウドインテグレーションはプロジェクト件数や大型案件によって売上高及び売上構成比が45.4%(2021年2月期)、32.4%(2022年2月期)、28.6%(2023年2月期)と変動するが、MSPは9.9%(2021年2月期)、12.7%(2022年2月期)、11.4%(2023年2月期)と、クラウドライセンスリセールは44.8%(2021年2月期)、54.9%(2022年2月期)、60.0%(2023年2月期)となり、契約数の増加に伴って売上高が拡大基調となっている。2023年2月期の売上構成比は、クラウドインテグレーションが28.6%、MSPが11.4%、クラウドライセンスリセールが60.0%だった。ストック型売上となるクラウドライセンスリセールの構成比が60%台まで上昇し、同じくストック型売上のMSPを加えるとストック型売上比率が70%台に上昇している。2024年2月期第1四半期の売上構成比はクラウドインテグレーションが28.4%、MSPが10.7%、クラウドライセンスリセールが60.9%となった。



(a) クラウドインテグレーション

クラウドインテグレーションは、独SAP SEが提供する企業向け大規模基幹システムであるSAPシステム(SAP ERPなど)を中心に、基幹システムの基盤環境をオンプレミス環境からクラウド環境へ移行するためのサービス(調査・分析・企画・コンサルティング、設計、構築・移行、データ分析基盤構築、クラウドアプリケーション開発など)や、マルチクラウド利用コンサルティングなどを展開している。2023年2月期の業務分野別売上構成比は、SAPシステム移行が54%、クラウド導入支援・基盤構築が27%、アプリケーション開発が19%だった。SAPシステム移行は2022年2月期の45%から9ポイント上昇した。後段の成長戦略の項で解説するように、現在の主力となっているSAP ERP 6.0のサポート終了が予定されているため、S/4HANA及びクラウドへの移行需要が始まっていると考えられる。



クラウドインテグレーションの四半期別のプロジェクト(PJ)数の推移はPJ数は四半期ごとの変動はあるが、119(2020年2月期第1四半期)から189(2024年2月期第1四半期)となり、全体として増加基調となっている。2024年2月期第1四半期は189件で、前年同期比では2件減少したが、過去最高水準だった。



(b) MSP

MSPは、顧客企業がクラウド環境に構築したシステムの仮想サーバやネットワークの監視・保守運用などを、24時間365日のリモート遠隔運用体制によって受託するサービスである。業務の一部をテラスカイの子会社(同社の兄弟会社)である(株)スカイ365に委託している。MSPの四半期別の売上高及び顧客数(各四半期末月に取引のあったエンドユーザー数)の推移は2020年2月期第1四半期の売上高は55百万円、顧客数は25社であったが、2024年2月期第1四半期の売上高は178百万円、顧客数は73社となった。売上高、顧客数ともに、全体として増加基調となった。2024年2月期第1四半期の顧客数は前年同期比では12社増加、前四半期比では5社増加し、過去最高だった。



(c) クラウドライセンスリセール

クラウドライセンスリセールは、パブリッククラウドベンダーであるAWS Inc.(Amazon.comの関連会社で、正式名称はAmazon Web Services, Inc.)、Microsoft、Google LCCから、それぞれのクラウドサービスであるAWS、Azure、Google Cloudのライセンスを仕入れ、顧客企業に販売することで月額課金料金を代行するサービスを展開している。単に再販するだけでなく、同社が提供する付加価値としての請求代行を行うサービスや問い合わせ対応サービスなども含まれている。パブリッククラウドベンダーから課金されるクラウド利用料は外貨建てで請求され、顧客企業に対しては円建てで請求する。為替変動リスクとしては、多少のタイムラグが発生するものの、基本的には円建て請求額が為替連動しているため、為替変動影響は軽微となっている。



クラウドライセンスリセール(AWS、Azure、Google Cloudの合計)の四半期別の売上高及びアカウント数の推移は2020年2月期第1四半期の売上高は272百万円、アカウント数は45アカウントであったが、2024年2月期第1四半期の売上高は1,021百万円、アカウント数は396アカウントとなった。売上高、アカウント数ともに、全体として増加基調となった。2024年2月期第1四半期のアカウント数は前年同期比では136アカウント増加、前四半期比では16アカウント増加し、過去最高だった。なおアカウント数は2023年2月期第3四半期に大幅に増加(前四半期比75アカウント増加の352アカウント)した形となっているが、これは顧客基盤の分散化に向けて、協業パートナーを増加させて中堅・中小企業向けの拡販を本格化したためである。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)