■決算動向



2. 2024年2月期上期の業績

SFPホールディングス<3198>の2024年2月期上期の業績は、売上高が前年同期比41.0%増の14,286百万円、営業利益が1,009百万円(前年同期は948百万円の損失)、経常利益が同10.2%減の1,109百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同18.6%減の652百万円と大幅な増収となり、営業黒字化を実現した。一方、経常利益以下が減益となったのは助成金収入の剥落によるものであり、その点は想定内である。



売上高は、コロナ禍の収束に伴う国内消費の回復やインバウンド需要の取り込みが増収に寄与した。実質既存店売上高(上期平均)はコロナ禍前比(2020年2月期比)85.5%(前年同期は61.2%)にまで回復した※1。特に、訪日客向け売上高は高単価メニュー投入等もあり前年同期比で大きく拡大した※2。一方、人手不足の影響等により深夜帯営業(22時から翌5時)を再開できていない店舗(磯丸水産)がまだ3割ほど残っており、そこは今後の伸びしろとしてみることもできる※3。



※1 特に「客単価」の上昇が既存店売上高の伸びをけん引しているようだ。今後は深夜帯営業の完全再開やマーケティング強化(話題性の創出など)により「客数」の拡大にも注力する方針である。

※2 訪日客売上高(磯丸水産)の全体に占める比率は、第1四半期が8.9%(前年同期は0.3%)、第2四半期が10.2%(前年同期は0.5%)と拡大傾向にある。

※3 深夜帯は、酒類の注文が多く高マージンであり、居酒屋にとっては稼ぎ時となる。同社では、外国人スタッフ採用などを含めて人手不足対策を進めており、段階的に深夜帯の営業を再開する計画である。





出退店については、新規5店舗及び業態転換により2店舗を出店※した一方、契約満了を含めて7店舗(うち子会社3店舗)を退店し、2023年8月末の店舗数は208店舗(うちFC15店舗)となった。



※新規5店舗及び業態転換2店舗には、磯丸水産2店舗(長野県松本駅前、仙台駅前)、ネオ大衆酒場(五の五)3店舗(大阪駅前、京都河原町、横須賀)が含まれており、地方出店及び「ネオ大衆酒場」が軸となっている。





損益面では、物価上昇による影響を受けたものの、メニュー見直しや価格の一部改訂などにより原価率は安定推移した。さらには、営業時間の拡大に伴う人件費や店舗運営費※の増加分を増収によりカバーし大幅な営業増益(黒字転換)を実現した。営業利益率も7.1%の水準にまで回復している。一方、経常利益以下が減益となったのは、前述のとおり、助成金収入の剥落(約22億円)によるものである。



※水光熱費(特に電気・ガス代)は補助金制度によって120百万円の増加に留めることができた。





財政状態については、総資産が前期末比1.3%増の17,798百万円となった。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより、同3.0%増の12,921百万円に増加し、自己資本比率は72.6%(前期末は71.4%)と高水準を維持した。なお、株主への利益還元の強化及び資本効率のさらなる向上、上場維持基準の適合(流通株式比率)を目的として、2023年9月12日付けで自己株式の取得を実施した※。本件に伴う資本構成の変化やROE(資本効率)改善に向けた影響等について、今後注視する必要がある。



※公開買付け(買付期間2023年7月21日〜2023年8月21日)により自己株式3,000,000株(取得総額5,940百万円)を取得





事業別の業績は以下のとおりである。



(1) 鳥良事業

売上高は前年同期比37.2%増の2,580百万円となった。退店1店舗により2023年8月末の店舗数は36店舗となった。



(2) 磯丸事業

売上高は前年同期比40.2%増の8,642百万円となった。新規出店1店舗※及び退店3店舗により2023年8月末の店舗数は直営102店舗、FC15店舗となった。



※磯丸水産(仙台2号店)。なお、子会社による磯丸水産(長野県松本駅前店)は含まない。





(3) その他(ネオ大衆酒場業態を含む)

売上高は前年同期比48.8%増の2,042百万円となった。新規出店2店舗及び業態転換1店舗※により、2023年8月末の店舗数は29店舗となった。また、そのうち注力業態である「ネオ大衆酒場」の店舗数は14店舗となっている。



※ネオ大衆酒場(五の五)での出店は新規2店舗(京都河原町三条、横須賀中央)及び業態転換1店舗(大阪駅前)となっている。





(4) フードアライアンスメンバー(連結子会社)

売上高は前年同期比43.3%増の1,020百万円となった。業態転換1店舗※1、新規出店2店舗※2及び退店3店舗により、2023年8月末の店舗数は26店舗となった。



※1 「前川珈琲レストラン」1店舗を「光の森珈琲」へ業態転換。

※2 磯丸水産(長野県松本駅前店)を含む。





3. 2024年2月期上期の総括

以上から、2024年2月期上期を総括すると、コロナ禍からの回復により大幅な損益改善(営業黒字転換)を達成したことはもちろん、アフターコロナに向けても、同社業態(収益モデル)の優位性が失われていないことが確認できた点は重要なプラス材料として評価できる。また、人手不足の問題等により深夜帯営業がまだ完全再開できていない点も、今後の伸びしろとして捉えることができるだろう。今期の注目ポイントは、1) 既存店の回復、2) 物価高への対応、3) 出店再開に向けた動き(地方出店及び注力業態の育成)にあると見ているが、それぞれに一定の成果をあげており、いよいよ本格的な成長回帰に向けて道筋が見えてきたと言える。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)