■事業概要



トレンダーズ<6069>は「マーケティング事業」「インベストメント事業」の2つの事業セグメントを展開しており、売上高の92%(2023年3月期)を占めるマーケティング事業においては、主力の「美容マーケティング」と新領域となる「メディカルマーケティング」の2つを軸に事業を展開している。



1. マーケティング事業

クライアント企業へのマーケティング支援を行うマーケティングソリューション、新規事業であるブランド・メディア開発とメディカルビューティーの3領域で事業を進めてきたが、2024年3月期以降は、マーケティングソリューションを美容マーケティングに特化し、ブランド・メディア開発とメディカルビューティーをメディカルマーケティングに統合して、2領域体制で事業を推進する。積極的なM&Aによって改革を推進しており、2022年2月に子会社化した(株)クレマンスラボラトリーは、美容医療の施術開発やクリニックのマーケティングコンサルティング、クリニック専売品の開発販売と「DOCTORS PICKS Online Shop」の運営など、幅広く手掛けている。また、TikTokクリエイターを活用した新たなプロモーション商品の開発と、動画の企画制作を行うCARAFULを2023年4月に完全子会社化し、グループ3社で事業を展開する。



美容マーケティングでは、SNS美容メディアの「MimiTV」を提供する。2015年にスタートし、YouTube、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、LINEを中心に総フォロワー570万人を超える(2023年4月現在)。ユーザーの情報収集トレンドをいち早く察知し、SNSに最適化した美容情報を発信することで美容に興味を持つ層からの支持を得ている。ここで培った「美容オタク」と「SNSユーザー」への知見を生かし、化粧品が消費者の間で評判を獲得するためのマーケティング戦略を提案している。



また、ソーシャルメディアマーケティング、インフルエンサーサービスとして、LIN(Life-Influencers Network)を提供する。独自のソーシャルデータを基にインフルエンサーの得意領域を分析することで、パワーからマイクロまで幅広くネットワーク化、企画設計〜レポーティングまで「17ステップ」にわたる高度なディレクションにより、リスク対策も踏まえたうえで効果的な施策を実現する。生活者の美容情報収集源がSNSにシフトしたことに伴い、化粧品ブランドの広告費もTVCMや雑誌広告などのマス広告からデジタル・SNS広告へのシフトが進んでいる。大手広告代理店のシェアが大きいものの、同社の需要は拡大しているSNSに特化し、さらに一気通貫で対応できる体制を整えていることが強みとなると弊社では考えている。



なお、これまでマーケティングソリューションで展開されてきた、家でごはんを楽しむ方に向けて、食卓を楽しくするアイデアや商品情報を発信する食卓アレンジメディア「おうちごはん」については、美容カテゴリに経営資源を集中することから利益に与える影響は縮小している。現在は新型コロナウイルス感染症拡大が収束化し経済活動が正常化するなか、中食需要が減少していることもあり、再び消費者のニーズが高まるまでは、積極的に経営資源を投入する動きは抑えられるだろう。



メディカルマーケティングでは、クレマンスラボラトリーがプロデュースした、美容皮膚科・美容内科・アートメイクの「MAISON the BEAUTY CLINIC(メゾンザビューティクリニック)」が、(一社)涼香会が運営する形で、2022年9月に銀座に開院した。開院するにあたり、クリニックコンセプトの企画開発をはじめとしたプロデュースを手掛けており、同サービスを今期からグループとして本格化している。全国展開している大手美容外科チェーンなど認知度の高い医院が競合相手との差別化を図るうえでも、マーケティングコンサルティングの需要が見込まれる。同社が開院に向けて医院とともに取り組むことで、医院は初期費用を抑えることができ、その後運営が軌道に乗った段階で同社がレベニューシェアを得るという戦略である。このように、長期的な施策となるため、当面は先行投資が見込まれる。



また、次世代型遺伝子発現ベクターの開発・ベクターの受託製造・靭帯の細胞療法の開発などの再生医療領域に取り組んでいるレプリテックと2023年8月に業務提携し、再生医療への取り組みを開始した。レプリテックが独自開発した幹細胞培養上清液の毛髪再生治療活用に向けて、同社の事業提携先である自由診療クリニックでの評価を2023年9月より開始した。今後は、毛髪再生治療専門クリニックのプロデュースや薬剤の卸販売などの事業展開を予定している。



2. インベストメント事業

売上高に占める割合は数%である。美容マーケティング領域に注力して成長するイメージを掲げるとともに、特に今後数年間はメディカルマーケティング領域への投資が先行するため、インベストメント事業をやめるわけではないものの、営業利益計画から外している。



(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)