■業績見通し



1. 2024年2月期の業績見通し

クリーク・アンド・リバー社<4763>の2024年2月期の連結業績は、売上高で前期比13.3%増の50,000百万円、営業利益で同13.7%増の4,500百万円、経常利益で同12.4%増の4,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.5%増の3,000百万円と期初計画を据え置いた。これにより、5期連続で最高益を更新する見通しだ。主力のクリエイティブ分野(日本)を中心に売上拡大を見込んでいるほか、投資段階の子会社の収益改善も進む見通しだ。直近3年間の第2四半期までの平均進捗率(売上高50.2%、営業利益62.4%)に対して、2024年2月期は売上高で50.5%、営業利益で57.8%とやや営業利益の進捗率が低いように見えるが、新卒社員を大幅に増員したことにより、上期に教育研修費用や未稼働分の人件費負担が増加したことが主因である。これら人員が下期はフルに収益貢献することを考えれば、利益ベースでも計画の達成は十分に可能と見られる。実際、新卒社員の稼働率は2023年8月末時点で97%となっている。



人員については今後も積極的に採用を進める方針に変わりなく、2024年春の新卒社員については現状で350名程度が内定しており、最終的には400名程度の水準となる見通しだ。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が3.5%と1ケタ台にとどまるのは、前期に適用された人材投資に関連した税額控除※1を想定しておらず、実効税率が元の水準に戻ることを前提としているためである。しかし、2024年2月期においても「賃上げ促進税制※2」が導入されており、同要件を満たせば実効税率が低下し、親会社株主に帰属する当期純利益の上乗せ要因となる可能性がある。



※1 2023年2月期は「人材確保等促進税制」の適用に伴う税額控除で、実効税率が前期の33.4%から24.7%に低下した。同制度では、新規雇用者給与等支給額が前年度より2%以上増えていること、教育訓練費の額が前年度より20%以上増えていることなどを適用要件とし、これら要件を満たすことで控除対象新規雇用者給与等支給額の15%または20%を法人税額または所得税額から控除できた。

※2 「賃上げ促進税制」は、通常要件として継続雇用者給与等支給額が前事業年度より3%以上増加していれば、増加額の15%を法人税額から控除できる制度。また、上乗せ要件として同支給額が前事業年度より4%以上増加していれば10%、教育訓練費が同20%以上増加していれば5%それぞれ控除率が上乗せでき、すべての要件を満たせば最大30%の税額控除の適用を受けることが可能となる。適用期間は2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度としている。







2024年2月期もクリエイティブ分野(日本)が引き続きけん引し、子会社の収益改善も進む

2. 事業セグメント別見通し

(1) クリエイティブ分野(日本)

クリエイティブ分野(日本)の売上高は前期比17.6%増の35,800百万円、営業利益は同12.8%増の3,100百万円となる見通しだ。シオングループの子会社化が約20億円の増収要因となり、既存事業ベースの増収率は11.1%増となる。主力のゲーム分野に加えて、上期に伸び悩んだWeb分野についても人員増強効果等により下期は順調な売上拡大が見込まれる。新規エージェンシー・その他分野ではCXO分野の伸長が期待される。新卒社員がフルに収益貢献し始めることもあり、営業利益率は上期の8.4%から下期は8.9%に上昇する見込みだ。



(2) クリエイティブ分野(韓国)

クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比横ばいの3,460百万円、営業利益は0百万円(前期は16百万円の損失)を計画している。デジタルコミック等のコンテンツ事業は海外配信タイトル数の増加もあり、下期も増収基調が続く見通しだが、テレビ局向け派遣事業の低迷が続いていることから、売上高については若干下振れする可能性がある。利益については、コンテンツ事業のコスト削減施策がどの程度進むかが計画達成のカギを握ることになる。



(3) 医療分野

医療分野の売上高は前期比7.9%増の5,640百万円、営業利益は同4.5%増の1,400百万円を計画している。新型コロナワクチン接種関連のスポット案件の減少が約3億円の減収減益要因となるものの、常勤及び非常勤医師の紹介案件数増加や、「レジナビFair」等のイベント需要の回復により吸収する見通しだ。



(4) 会計・法曹分野

会計・法曹分野の売上高は前期比10.6%増の2,560百万円、営業利益は同19.0%増の190百万円を見込む。コロナ禍で抑制していた企業における会計・法務分野のプロフェッショナル人材の需要が引き続き旺盛なほか、登録者数の増加に取り組むことで2ケタ増収増益を達成する見通しである。



(5) その他事業

子会社で構成するその他事業については売上高で前期比33.5%増の4,100百万円、営業損失で50百万円(前期は275百万円の損失)を見込む。売上高については全体の4割程度を占めるリーディング・エッジ社を中心に既存子会社の増収を見込んでいるほか、前期に新設・グループ化した子会社が通年でフル寄与することも増収要因となる。利益面では、前期に損失を計上したリーディング・エッジ社が黒字化することで1億円以上の損益改善が見込まれるほか、インター・ベルが増益、プロフェッショナルメディアや中国子会社も増収効果により黒字転換する見通しである。



一方、プロフェッショナル人材と知財を融合した付加価値型サービスでは、forGIFTの「sture」(ファッション×IT)やNextrekのモーションコミック「モブコミ」(作家×クリエイティブ×IT)が期待されていたが、まだ成長軌道に入るまでには時間がかかる見通しだ。IdrasysのChatGPTと連携したAIサービスについては、企業や自治体などで需要があると見られ、営業強化とサービス品質の向上を図りながら、導入件数を拡大することが期待される。



第2四半期までの進捗率は売上高で43.0%となる。営業利益で通期の計画を達成するためには下期に63百万円の黒字に転換する必要があるが、現在の進捗状況を見ると計画を下回る可能性が高い。ただ、売上高、営業利益ともに調整額でバッファをある程度見込んでいるため、連結業績は会社計画を達成できるものと予想される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)