■会社概要



2. 事業内容

ホットリンク<3680>の事業は、SNSマーケティング支援事業・DaaS事業・Web3関連事業に大別される。ソーシャルビッグデータ市場において、収集・分析・活用の3領域を統合させた事業を展開している。そして、既存事業の深化と新たな事業機会の探索による「両利きの経営」により、高成長率を実現する事業ポートフォリオを構築している。2022年11月には、グループリソースの効率的な活用と企業価値の最大化を目的に、クロスバウンド事業を売却し連結子会社から除外した。クロスバウンド事業の売却で得た資金を既存事業と新規事業へ投資することで、外部環境に左右されない独自成長を実現する事業ポートフォリオの創造を目指す方針だ。



(1) SNSマーケティング支援事業

ホットリンクで展開する同事業には、国内向けのSNS広告・SNS運用コンサルティングと、SNS分析ツール「クチコミ@係長」がある。2023年12月期第2四半期の売上構成比ではSNS広告・SNS運用コンサルティングが36.6%、SNS分析ツールが9.7%となった。企業のSNS活用などの需要は旺盛であり、市場の成長に伴い獲得できる領域も広がっている。また、wevnalからSNS広告及びメディア事業を事業譲受したことでサービスの領域が拡大し、市場の成長を獲得できる受け皿が広がっていると言える。これらを背景にSNS広告・SNS運用コンサルティングの割合は、今後さらに拡大する見込みである。



SNSマーケティング支援事業では、主にX(旧Twitter)を活用したマーケティング支援サービス(SNS広告代理販売・SNS運用コンサルティング)を展開する。SNS運用コンサルティングでは、保有するソーシャルビッグデータと長年蓄積してきたノウハウや独自メソッドを生かして、顧客企業の商品の認知度拡大や売上アップにつながる施策をX(旧Twitter)などで実施している。サービス構成は、SNS広告・レポート・コンテンツ制作からなるフロー型と、コンサルティング・SNSアカウント運用代行からなるストック型に大別される。ストック型であるコンサルティング・SNSアカウント運用代行の契約数が着実に増加しており、これに伴いフロー型サービスの受注も増加する好循環が生まれている。



顧客企業は食品・飲料、美容・コスメなどBtoC企業を中心に幅広い業種にわたり、企業規模としては売上高で1,000億円前後の企業が多い。それ以上の大企業になるとテレビCMなどを利用する企業が多く、大手広告代理店との関係構築が既にできあがっており、参入するにはハードルが高いためだ。ただ、SNS広告運用のパフォーマンスについては大手広告代理店よりも勝っており、大手自動車メーカーから受注したケースもある。足元では、Fintech及び通信など景況感に左右されない業種の比率を高め、顧客ポートフォリオの拡充を図っている。また、顧客単価の上昇・新規顧客獲得に向けた取り組みとして、業種業界の垣根を超えたアライアンスを実施する方針である。



SNSを使った効果的なプロモーション施策として、同社はUGC(User Generated Contents:ユーザーが発信する口コミなどのコンテンツ)を増やすことが重要と考えており、UGCの発生に伴って起きる一連の消費者の購買行動プロセスを「ULSSAS(ウルサス)」として体系化している。具体的には、起点となるUGC(X(旧Twitter)上での投稿)に、それを見たフォロワーがLike(いいね!)を付ける。そして、SNS内での検索(Search1)や、Googleなどの検索エンジンを使って商品を確認し(Search2)、購入(Action)する。その後にX(旧Twitter)上で拡散(Spread)する。このような一連のプロセスを循環させることで、顧客企業の商品の売上アップを図る。



この循環プロセスを効率的に作り上げるには、同社が長年蓄積してきた成功パターンから編み出した独自メソッドがカギを握っており、他社との差別化要因となっている。例えば、X(旧Twitter)の情報収集だけでなく、ブログやほかの口コミサイトなど様々なデータを組み合わせて分析し、AIによって自動抽出した最適なUGC発信者に対してプロモーション対象商品の広告を配信している。このため、同社のマーケティング支援サービスは費用対効果の高いサービスとして注目されており、リピート率も70%以上と高く、「X(旧Twitter)マーケティング」と言えば「ホットリンク」というブランドを確立している。



一方、SNS分析ツールとなる「クチコミ@係長」の特長は、国内最大級のソーシャルメディアデータを保有し、トレンド分析や属性分析などを簡単操作、かつリアルタイムに実行できること、テレビやWebニュースなどとのクロスメディア分析のほか自社が保有するデータ(アンケート、コールログ等)のテキストマイニングを行うデータインポート分析機能なども実装していることである。特に、ソーシャルメディア分析では国内ブログの約90%をカバーしているほか、投稿サイト「5ちゃんねる」の過去データや、全世界のX(旧Twitter)データを相手先との契約に基づいてすべて収集するなど、国内では圧倒的なソーシャルメディアデータを保有していることが強みである。



顧客企業は「クチコミ@係長」を使ってソーシャルビッグデータを分析し、自社の商品開発や販促活動、競合他社比較等の調査などに利用している。初期導入費用は10万円、月額利用料は14万円からで、利用可能ID数や対象メディア、データ容量などによって料金が加算される。大口ユーザーでは月額100万円程度となる企業もある。累積導入社数は1,000社以上で、このうち現在の実稼働数は約300社となっている。利用企業の約8割は大企業で、消費財メーカーやサービス、金融機関など幅広い企業に導入されている。



(2) DaaS事業

DaaS事業は、Effyis(ブランド名:Socialgist)がグローバルで展開するソーシャルメディアのデータアクセス権販売事業となる。X(旧Twitter)を除く世界中の公開型SNS運営会社とソーシャルメディア(ブログ、掲示板、Q&A、レビューサイト等)のデータアクセス権に関する販売契約を締結し、グローバルIT企業(ソーシャルビッグデータ分析、マーケティングプラットフォーム、BI等のツールベンダーなど)に販売している。主要顧客にはsalesforceやIBMなどのほか、金融機関や政府機関、SaaS事業等を手掛けるベンチャーIT企業など数多くの企業がある。ソーシャルビッグデータの流通企業で世界最大級の企業であり、SNSデータアクセス権の販売契約を世界中の多様なデータ提供元から獲得しているのはEffyisだけである。主要な同業者には米国GNIP, Inc.が存在するが、X Corp.の子会社でありX(旧Twitter)データのみを専門に扱っている。



(3) Web3関連事業

Web3関連事業は、インターネット全体の大きなパラダイムシフトを見据え、新たに設けられたセグメントである。背景には、Web2.0の行き過ぎた中央集権化の弊害による自律分散型のWeb3技術の発展があり、Web2.0における「見る&発信」の時代から「見る&発信&参加」の時代に移行する動きが生まれていることがある。足元でも「暗号通貨の発行」「サービスの非中央集権化」「デジタルデータの所有権の明確化」「トークンによるインセンティブ革命」「トークンによる自律分散型組織」等、ブロックチェーン技術を生かした様々なイノベーションが次々と発生している。同社ではWeb3関連事業の本格立上げに向けて、子会社Nonagon Capitalを通じてWeb3業界への投資活動を通じリサーチするためパイロット・ファンド(プロジェクト)に取り組んでいる。Nonagon Capitalのシンガポール法人立ち上げは、スピーディーな投資判断を日本国内の法規制が妨げることのないようにする狙いがあった。2023年12月期以降は、ファンドサイズの拡大も視野にグローバルネットワークを拡大していく。また、企業やトークンへの出資にとどまらず、Web3関連事業として自社事業とのシナジーの創出に加え、新規事業としてインキュベーションを行うことも検討する方針だ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)