■リソー教育<4714>の今後の見通し



2. 中期経営計画の進捗状況

(1) 中期経営計画の概要

2024年2月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、最終年度となる2026年2月期の業績目標として売上高で39,500百万円、営業利益及び経常利益で4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,700百万円を掲げた。3年間の年平均成長率は売上高で7.9%、営業利益で18.6%となり、2023年2月期に7.6%に低下した営業利益率を3年間で10%台まで引き上げる。



少子化が進む中でも首都圏における小中学校の受験者数は増加傾向が続いており、従来と同様に高品質な“本物”の教育サービスの提供による徹底した差別化戦略を推進し、価格改定の実施や営業強化により売上高を拡大していく。利益面では、不採算校の統廃合が広告宣伝費等の費用の戦略的な見直し及び削減を進めることで利益構造を適正化し、営業利益率を着実に引き上げる計画である。



(2) 事業別の見通し

a) 学習塾事業

学習塾事業の売上成長率は年率7〜8%程度を計画している。校舎数は90校を超えた段階だが、同戦略を推進することで150〜180校程度まで出校余地があると見ており、新規出校による売上拡大余地は大きい。既存校についても生徒数の増加により手狭となった教室は、順次増床または移転リニューアルを進める方針だ。「インターTOMAS」や「メディックTOMAS」については「TOMAS」が進出しているエリアで、需要が見込めると判断すれば開校する。また「Spec. TOMAS」や新たに立ち上げた「駿台TOMAS大学受験部」については、既存校の収益化に目途がついた段階で新規校舎の開校を検討していく。



b) 家庭教師派遣教育事業

家庭教師派遣教育事業の売上成長率は年率7〜8%程度を計画している。家庭教師派遣の「名門会」については、首都圏のほか大阪、名古屋などの大都市並びに地方の主要都市に36校を展開してきたが、今後は既存校での生徒獲得と収益力強化に重点を置きながら着実な成長を目指す。また、医学部志望の生徒をターゲットとした「メディック名門会」については、開校した2校が順調に滑り出していることもあり、今後、10校以上の新規開校を目指す。一方、「TOMEIKAI」については地方の少子化進行を背景に生徒獲得に苦戦していることや、オペレーション効率が低いこともあって、不採算となっている校舎については今後も段階的に閉校していく意向で、「TOMEIKAI」の減少分を「名門会」「メディック名門会」の拡大によりカバーする格好となる。2023年2月期に5%台まで低下した営業利益率も、コロナ禍前の10%台の水準まで回復することが期待される。



c) 幼児教育事業

幼児教育事業については提携戦略を推進することで、年率5%の売上成長を目指す。「伸芽’Sクラブ学童」についてはコナミスポーツとの業務提携によって、コナミスポーツが運営する施設内に「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」を約20校まで展開する予定としている。子どもの成長を体力面だけでなく学力面でも育てていきたいと考える保護者は多く、同社にとっても生徒獲得コストが殆どかからないため提携メリットは大きい。中長期的にはヒューリック、コナミスポーツとの共同プロジェクトとなる教育特化型ビル「こどもでぱーと」の展開による「伸芽会」「伸芽‘Sクラブ」の拠点数拡大も見込まれる。



2022年3月に資本業務提携を締結したKids Smile Projectとは伸芽会との間で相互に役員を派遣し、それぞれのサービスの相互支援を行うとともに、共同開発したオリジナル教育プログラム「KID’S PREP.PROGRAM」を全国の保育園や認定こども園等に展開していく。また、優秀な保育士を確保するための採用・研修制度の確立も進めている。相互の強みを融合することでコンテンツ力、ブランド力、集客力の強化に取り組んでいる。



d) 学校内個別指導事業

学校内個別指導事業については、年率15〜20%の売上成長を目指す。少子化が進行するなかで、生徒獲得と教師の業務負担軽減を経営課題に抱える私立学校は多く、同社のサービスに対する潜在ニーズは大きいと弊社では見ている。今後も高品質なサービスと多彩なコンテンツを強みとして、導入拡大が進むものと予想される。



(3) 教育特化ビル「こどもでぱーと」シリーズの展開

同社は2020年9月にヒューリック、コナミスポーツとの3社で業務提携を締結し、今後、ヒューリックが首都圏で開発する教育特化ビル「こどもでぱーと」シリーズを展開することを発表した。同ビル内では、同社グループの「伸芽’Sクラブ託児・学童」「伸芽会」「TOMAS」「インターTOMAS」や、コナミスポーツの「運動塾」※等が入居し、乳幼児から高校生まで複数の教育サービスを同一拠点で提供可能となる。子どもを勉強と運動の両面でバランス良く育てたいというニーズは強く、好立地の場所で各種サービスを提供することでこれらのニーズを取り込んでいく。同社にとっては、乳幼児から顧客を囲い込むことで、顧客のLTV最大化とグループシナジーが発揮できる取り組みとして注目される。



※子ども向けを対象とした運動スクールで全国に140ヶ所以上展開している。





現在の進捗状況については、東京都城南エリアや横浜、千葉エリアなどで合計7件のプロジェクトが具体化しており、このうち2件の「(仮称)こどもでぱーと 中野」(東京都中野区)、「(仮称)こどもでぱーと たまプラーザ」(神奈川県横浜市)がいずれも新築物件で2025年春に開業予定となっている。



また、ヒューリックが2026年に渋谷に竣工予定の複合ビル「MITAKE Link Park(渋谷)」※にも「こどもでぱーと」を展開することが決まっており、「伸芽’Sクラブ託児・学童」「伸芽会」を開校する計画となっている(伸芽会、TOMASは既存校が渋谷にあるため拡大リニューアルとなる見通し)。「こどもでぱーと」としては2029年までに首都圏の主要駅をターゲットに20棟まで広げる構想を描いており、2026年以降も年間4〜5棟のペースで開業していくことになる。同社にとっては、駅前好立地の物件を独力で探す必要がなく複数の教育サービスを同時に開校できるほか、顧客が複数のサービスを利用する可能性が高まるといったメリットが大きく、2026年2月期以降の収益拡大に貢献する取り組みとして注目される。



※東京都と渋谷区が実施する「都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷一丁目地区共同開発事業」の開発事業者としてヒューリックが選定され、地下2階、地上14階建ての複合ビルの開発を進めている。敷地面積は9,670m2。事務所、店舗、賃貸住宅、こども教育施設、多目的ホール等が入る予定。





(4) DX戦略の推進

同社は収益体質の強化と売上拡大を図るべく、2024年2月期からグループ全体のDX戦略推進に着手している。具体的な取り組みとしては、入会申込手続きなど従来は紙媒体で行っていた作業を電子化することで業務の効率化を図る。教務社員はDXによって削減した事務作業時間を保護者へのフォローアップや営業提案などの時間に振り向けることで、顧客満足度の向上と生産性の向上が見込まれる。



また、グループ各社が保有する顧客データベースの統合にも着手する予定で、重複機能の統一化による費用の効率化と、ブランド横断的アプローチによる囲い込み戦略が従来以上に進むものと期待される。新システムの稼働時期は2026年を予定しており、総投資額としては2〜3億円を見込んでいる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)