■要約



1. 一気通貫したハイエンドのCX改善サービスを提供。顧客に有力小売企業が多い

サイジニア<6031>は、ECサイトの利便性を向上させるCX(顧客体験)改善サービスを事業領域に、EC事業者に対しデジタルマーケティングサービスを提供している。ECサイト内商品検索エンジン「ZETA SEARCH」を中心に、レビュー・クチコミエンジン「ZETA VOICE」やハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」など、EC全般に対応可能な一気通貫したハイエンドサービスを提供していることから、顧客に有力な小売企業が多いことが特長だ。同社が属する国内インターネット広告市場とデジタルマーケティング市場は変化が激しいが、いずれも中長期的な成長が見込まれており、CX改善サービスの需要は順調に拡大している。一方、「クッキー規制※」により、リターゲティング広告が縮小していることを背景に、2023年7月に低収益のネット広告サービスから撤退した。



※クッキー規制:3PC(3rd Party Cookie)は他社サイトを含むWebサイト閲覧者の行動をトラッキングできる技術で、リターゲティング広告などに広く普及している。しかし、ユーザーのプライバシー保護の観点から3PCの利用に制限が求められており、利用が制限された場合、多くのWebマーケティング企業やターゲティング広告などのサービスに影響が及ぶことが予想されている。なお、影響は小さいが、自社サイトでの行動履歴である1st Party Cookieも規制に含まれる。





2. CX改善サービスで高収益・高成長。拡大開始のリテールメディアもビジネスチャンス

CX改善サービスの主軸である子会社ZETA(株)は、コマースとCXのリーディングカンパニーで、ストック型の高収益・高成長企業である。強みは、(1) 他に類を見ないハイエンド多機能サービスの提供、(2) 自社開発による高収益及びストック型収益であるため粗利率上昇が加速しやすいビジネスモデル、(3) 売上拡大に伴って高まるEC事業者のハイエンドニーズへの対応、(4) 一気通貫したサービスを背景に増加するサービスの複数導入、などである。さらに、リターゲティング広告の代替の1つとして、自社ECサイトを広告メディアと位置付け、高付加価値化したリテールメディアが注目されている。この潮流は、リテールメディアの足がかりとなるリテールメディア広告エンジン「ZETA AD」を有する同社にとって、大きなビジネスチャンスである。



3. 中期経営計画を策定。目標は2026年6月期に営業利益10.5億円。株主還元も強化へ

同社はCX改善サービスによる成長をより確実にするため、中期経営計画を策定した。EC市場の拡大が続くなか、CX改善サービスを成長ドライバーに全社成長を加速する計画である。また、クッキー規制をきっかけに企業のマーケティング予算がリターゲティング広告から自社ECサイトの強化などにシフトしていることを受け、「ZETA AD」を足がかりに、サイト内リスティング広告などリテールメディアを強化する方針である。さらに長期的な視点から、リテールメディア全域においてUGC※など新規事業開発も検討する意向である。これにより、2026年6月期に営業利益10.5億円の達成を見込んでいる。また、利益目標を達成することと併せて、EPSやROEを向上させることで株主還元も強化し、20%以上の配当性向を目指す方針である。



※UGC(User Generated Content):レビューやクチコミなどユーザーによって生成されるコンテンツ。





4. 2024年6月期第1四半期業績は減収も、超過達成と好業績。通期も上振れ期待へ

2024年6月期第1四半期業績は、売上高が209百万円(前年同期比57.4%減)、営業損失が98百万円(前年同期は61百万円の損失)となった。大幅な減収はネット広告サービス事業を売却したためで、損失は主力のZETAにおいて第1四半期が費用先行期になるためである。なお、期初予想との比較では、売上高で36百万円、営業利益で40百万円の超過達成となり、想定以上に好調な着地となった。2024年6月期の通期業績について、同社は売上高1,800百万円(前期比26.2%減)、営業利益470百万円(同23.4%増)を見込んでいる。さらに、第1四半期業績の超過達成に加えて、期初予想に織り込んでいない「ZETA AD」の受注拡大と「ZETA BASKET」のリリースなどにより、やや上振れて着地することが期待できる。



■Key Points

・有力小売企業などにハイエンドなCX改善サービスを提供。ネット広告サービスからは撤退

・中期経営計画の策定により2026年6月期に営業利益10.5億円を見込むほか、株主還元も強化へ

・2024年6月期第1四半期はネット広告サービス撤退で減収も、想定以上の好業績



(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)