■ベルシステム24ホールディングス<6183>の中期経営計画



(3) 共創:NEW BPO領域開拓

第3の重点施策として、新領域開拓の探求を目指す。新領域であるCX業務の圧倒的な深化を図りながら、提携するパートナーとともに新領域であるNEW BPOを開拓する。伊藤忠商事やTOPPANホールディングスのほか新たなパートナーを加えることで、事業分野の拡大を目指す。



BPOの市場環境を見ると、長期的には国内の労働人口は減少に向かうと予想され、“人材不足”に伴い企業はコア業務を担う労働力を確保し、バックオフィス業務や外部委託が可能な業務はBPO化すると見られる。また“働き方改革”が進み、無期雇用社員の増加、派遣法改正での直接雇用の増加、時間外労働の上限規制等から、現在の従業員では業務が回らず、不足分をBPO化すると予想される。さらに“DXの促進”に伴い、自社でデジタル化できない業務をBPO化することも考えられる。こうしたことから、BPO領域・市場は、今後10年間で約4.5兆円から 5.5兆円へと約1兆円の拡大が見込まれる。同社では新たなパートナーとの提携や伊藤忠グループのリソースを最大限に活用して、新たに創出されるBPO市場シェアの3〜4割の獲得を目指している。



2024年2月期の実績としては、2023年9月にデータマーケティング事業やAIソリューション開発を手掛けるシンカーを子会社化し、コンタクトセンターに蓄積されるVOCに加えたあらゆる顧客接点のデータを利活用することで、最適なCXを一貫して実現する「マーケティングBPO」を推進する計画だ。その背景としては、企業のマーケティング活動においては顧客データの1つとして、電話やメール、チャットなどのコンタクトセンターに蓄積するVOCの活用が見直され、「個客」ごとに最適な顧客対応実現に向けたデータ利活用を進める企業が増加している。一方、自社のマーケティング戦略や課題を踏まえた施策のプランニング、データ活用の設計やソリューション選定・構築、施策運用までを実現するためのリソースやスキルに課題を持つ企業も多くある。そこで、このような課題の解決に向け、シンカーの持つ、データマーケティングやAI関連プロダクト開発に関するノウハウ・スキルと、同社グループが持つ1,000社を超えるクライアント企業の顧客接点の設計・運用やコンタクトセンターでのVOCの利活用ノウハウを融合することで、設計から構築・運用までの一気通貫でのデータ利活用型マーケティングBPO 体制の構築を進める。既に大手百貨店において、AIによるデータ解析でリスト化した購入可能性の高い潜在顧客上位者への架電により、受注率が3倍に上昇するなどの成果を上げている。



また、2023年9月には、同社としては初めて一次産業向けBPOとして、養豚経営システムを手掛ける(株)Eco-Porkと資本業務提携を締結した。同社が持つ「ヒト」の力と、Eco-Porkが持つ「テクノロジー」を掛け合わせ、養豚現場の課題を解決する新サービスの創出・展開を目指す。養豚業においては生産者数が減少の一途をたどる一方、持続的な生産を営むために、経営規模の拡大が進んでいる。そのため従業員1人当たりが管理する頭数も増大し、養豚現場では業務効率化が喫緊の課題である。そこで同社とEco-Porkの提携により、食料問題という社会課題の解決に向け、共同で養豚業界、畜産分野の業務効率化につながる開発・提供を目指す。具体的には、同社ではEco-Porkが提供するクラウド型養豚経営支援システム「Porker」への初期データ移行・日々のデータ入力代行、養豚現場設置のAIカメラによる夜間の遠隔監視、在場頭数カウント、異常検知等のプロセスの効率化を行う。同社ではほかの畜産業等に対しても同様のサービスを行うべく、横展開を開始している。



さらに、2023年8月には、自治体課題に沿ったDXサービスの提供を推進する(株)BlueShipと協定を結び、神奈川県藤沢市のデジタル市役所実現にむけた「藤沢市コンタクトセンター」の開設を支援し、2023年10月より運用を開始している。「市民からの問い合わせ一元化」「問い合わせ履歴に基づいたFAQ構築」「データ活用の新施策立案支援機能」を有するコンタクトセンターを構築し、今後はAIによる検索、問い合わせへの回答だけでなく、電子申請やキャッシュレス決済と連動しオンラインで手続きが完結する仕組み作りの支援を行う計画だ。自治体向けの新たなBPOのように、今後もNEW BPOの拡大を目指し、新たなパートナーとの提携や新領域での取り組みが増えると予想される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)