■要約



アドバンスクリエイト<8798>は、国内最大級の保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」を運営する独立系保険代理店の大手である。「保険市場」サイトを通して問い合わせのあった見込み顧客に対して、非対面販売(通信販売、ネット完結型販売)や同社直営のコンサルティングプラザ、提携代理店、オンライン保険相談など最適なチャネルで保険商品を販売している。事業としては保険代理店事業のほか、ASP※事業、メディア事業(「保険市場」サイトによる広告収益)、メディアレップ事業、再保険事業を展開している。



※ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)とは、インターネットを通して各種アプリケーションを提供するサービスまたはサービスを提供する事業者のこと。





1. 2023年9月期の業績概要

2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比14.3%減の10,163百万円、経常損失で2,190百万円(前期は2,015百万円の利益)となった。円安の進行に伴う外貨建保険商品の解約・失効や株高を背景とした貯蓄性保険商品の解約・失効が増加したことで解約率が想定を上回り、過去に売上計上した正味現在価値(以下、PV:Present Value)が低減したため売上戻入が1,700百万円発生した。また、テストマーケティング費用やコールセンター人員の増強に伴う人件費の増加、新型コロナウイルス感染症の「みなし入院給付金」支払額の増加により再保険事業の費用が増加したことなどが収益悪化要因である。



2. 2024年9月期の業績見通し

2024年9月期の連結業績は売上高で前期比18.0%増の12,000百万円、経常利益で1,500百万円と増収増益を見込む。PVの不確実性低減に向けた施策を実施済みで、前期に発生した売上戻入の影響がほぼ無くなることに加えて、営業の生産性向上やマーケティングコストの効率化、コールセンター人員の適正化を図ることで収益回復を見込んでいる。営業の生産性向上については、効率的なWebプロモーション施策を行うとともに、アバター接客トレーニングの実施による若手社員の早期戦力化、並びに生産性の高いアポイント獲得に取り組む。また、損害保険商品の取り組みを強化し、契約者の生命保険見直しニーズを掘り起こし新規契約獲得につなげる戦略だ。第1四半期はコスト高の影響が一部残るものの、第2四半期以降はこれら施策の効果により収益回復も鮮明化するものと予想される。



3. 成長戦略

同社はICTを駆使した先進的なマーケティング施策と生産性の高い営業手法を組み合わせて「アポイント数×稼働率×人財」の3要素を強化することで、保険代理店事業の高成長を目指す。国内のリテール向け保険商品の年間販売額約20兆円のうち同社の販売シェアは1%未満であり、シェア拡大による成長余地は大きい。保険代理店事業を拡大することでメディア事業やメディアレップ事業、再保険事業も連鎖的に拡大するほか、提携代理店との取引件数増加等によりASP事業も高成長が期待できる。独立系保険代理店として保険に関するあらゆる収益機会にアプローチできる強みを生かしていくことで、中長期的に業績は拡大基調が続くものと弊社では予想している。目標とする経営指標として、ROE、売上高経常利益率でそれぞれ20%以上を掲げており、目標達成に向けた今後の取り組みが注目される。



4. 株主還元策

株主還元策として配当金と株主優待を実施している。配当金は配当性向50%以上を目安としており、2023年9月期の1株当たり配当金は前期比2.5円増配の35.0円とし、2024年9月期も同額の35.0円(配当性向85.2%)を予定している。株主優待では、9月末時点で100株以上を保有する株主に対して2,500円相当のカタログギフトと福利厚生サービス「保険市場Club Off」の利用権を付与する。配当金とカタログギフトを合わせた総投資利回りは約6%※の水準となる。



※12月27日終値985円で算出。





■Key Points

・2023年9月期は解約率上昇による売上戻入等の影響で一時的に業績が悪化

・2024年9月期業績は売上戻入の影響がほぼ無くなるほかコスト削減効果もあってV字回復を見込む

・国内のリテール向け保険市場における販売シェアは1%未満でシェア拡大と収益ポートフォリオの拡充による成長余地は大きい



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)