■今後の見通し



1. 2024年9月期の業績見通し

アドバンスクリエイト<8798>の2024年9月期の連結業績は、売上高で前期比18.0%増の12,000百万円、営業利益で1,700百万円(前期は2,020百万円の損失)、経常利益で1,500百万円(同2,190百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で900百万円(同1,769百万円の損失)と2期ぶりに黒字転換する見通し。前期業績に大きく影響した解約による売上の戻入等の不確実性を低減するためのスキームを導入し、解約率の変動が売上に及ぼす影響を少なくしたほか、前期に実施したテストマーケティングのための費用がほぼ無くなること、コロナ禍の収束により再保険事業の損益改善が見込まれること、コールセンター部門の契約社員削減等でコスト構造の改善が進むことなどが収益改善要因となる。また、ITを活用した営業の生産性向上も進む見通しだ。コスト構造の改善や営業の生産性向上は段階的に進む見込みであることから、第1四半期については、まだコスト高の影響が一部残るものの、第2四半期以降は収益回復が鮮明化するものと予想される。



(1) 保険代理店事業

保険代理店事業のうち、生命保険についてはデジタルアポイントにより保険商品の購入意欲のある顧客のアポイントを獲得していくほか、保険に精通した正社員をコールセンターのオペレーターとして配置することで、生産性の高いアポイントの獲得を進める。コールセンター部門では契約社員を90名程度まで絞り込む一方で、正社員数を2023年6月時点の20名から11月には33名まで増員しており、オペレーター1人当たりの生産性向上が見込まれる。



デジタルアポイント獲得の手法については、前期に実施したテストマーケティングにより、LINEを用いたWEBマーケティング×テキストによるアポイント取得スキームを確立済みで、実際、四半期ベースでは2023年9月期第3四半期以降のデジタルアポイント獲得件数が従来の1万件ペースから1.7万件を上回るペースに拡大している。また、営業部門の生産性向上施策として、「AIアバター接客トレーニングサービス(β)」で実際の顧客対応を想定したロールプレイング研修を繰り返すことで、若手社員の早期戦力化を図っており、こうした取り組みにより売上高の増加と収益性の回復を図る方針だ。



一方、損害保険商品については自動車保険を中心に契約の更新率が高いため、ストック収益としての積み上げが続く見通しだ。2023年9月期の第4四半期単独は前四半期比で契約件数や保険料が減少したものの、早晩上向きに転じるものと予想される。



なお、2023年10月の申込ANP(損害保険、少額短期保険除く)については前年同月比11%減と4カ月連続のマイナスとなった。対面販売(オンライン面談含む)については同5%増と堅調に推移したものの、協業販売が同32%減、通信販売(通販・ネット完結)が同20%減と低迷した。アポイント取得数も1万件弱と8月以降はやや伸び悩んでいることから、第1四半期の売上は前年同期比で減少する可能性があるものの、今後質の高いアポイントを増やしていくことで、需要期となる第2四半期以降の回復が期待される。



(2) ASP事業

ASP事業では、導入契約件数の積み上げにより増収増益が続く見通し。乗合代理店向けに「御用聞き」や「丁稚」などの導入が広がるほか、「Dynamic OMO」に関しては新機能を追加し利便性向上を図ったことで、さらなる成長が期待される。新機能としては、顧客とビデオ通話をつないだまま、カメラ機能を使用し書類を撮影、リアルタイムでコンサルタントと共有できるようにしたほか、撮影した書類をアプリに保存できるようにし、よりスムーズな商談が行えるようにした。そのほか、社員教育用ツールとして「AIアバター接客トレーニングサービス」の外販も開始しており、収益貢献するものと期待される。



(3) メディア事業/メディアレップ事業

メディア事業については、保険会社の広告費用配分の見直しを背景に、今後も保険業界で抜群の認知度を誇る「保険市場」への広告出稿が順調に増加するものと予想される。従来は生命保険会社の出稿が中心であったが、2023年9月期より自動車保険や季節性の強い海外旅行保険、自転車保険などの損害保険商品の取り組みを強化しており、第2四半期に偏重する季節性も徐々に薄まるものと予想される。メディアレップ事業については、費用対効果の高い広告運用を行うことで増収増益を目指す。



(4) 再保険事業

再保険事業は、保険代理店事業の拡大に合わせて再保険契約が積み上がるため、売上高は着実に増加する見込みだ。利益面では新型コロナウイルス感染症の「みなし入院給付金」が2023年5月で終了となったことから、支払保険金が減少する見通し。今後も自然災害などで突発的に生命保険や医療保険の支払いが増加するようなことがなければ、2024年9月期は黒字化する可能性が高く、中期的には適正水準である10%台の利益率まで回復するものと予想される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)